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最新戦法の事情【豪華版】(2019年9月~10月・振り飛車編)

どうも、あらきっぺです。

タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋を見ていきましょう。今回は、9月と10月の合併版です。

前回の内容は、こちらからどうぞ。

なお、当記事の注意事項については、こちらをご覧くださいませ。


最新戦法の事情 振り飛車編
(2019.8/1~9/30)


調査対象局136局。8月は67局。9月は69局指されました。それでは、戦型ごとに見て行きましょう。


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◆先手中飛車◆


25局出現。8月に11局。9月に14局。先手振り飛車の中では多くの支持を集めています。

対する居飛車は超速系統の将棋を取ることが多く、(13局)これをどのように迎え撃つかが先手中飛車の課題となっています。

前回の記事で取り上げたのは早めに▲7五歩と突く作戦でしたが、この期間では一局も指されませんでした。個人的には有力と感じているのですが、前例では中飛車側が敗れているということもあり、良い印象を持たれていないのかも知れません。


代わって、先手は▲6六銀型の形を作って後手超速に対抗する将棋がポピュラーな指し方になっています。ただ、▲6六銀型に組むと角が使いにくくなるので、そういったデメリットをきちんと解決する駒組みを行うことが必須ではあります。(第1図)


000解説だよ

2019.9.25 第61期王位戦予選 ▲竹内雄悟五段VS△藤井聡太七段戦から抜粋。

例えば、このような局面になってしまうと先手は6六の銀が前進できないので、角が攻めに参加しにくい状況になっています。

第1図では▲7五歩と突っ掛けて暴れる手段はありますが、△8四飛と浮かれると高い成果は上がりません。こういった局面になれば、居飛車としては作戦の趣旨(主導権を握る・角の働きを抑制する)を通しているので不満は無いと言えるでしょう。


そこで、先手はもっと早い段階で工夫を凝らす将棋が見られるようになっています。(第2図)


000解説だよ

2019.8.22 第78期順位戦C級2組3回戦 ▲杉本和陽四段VS△本田奎四段戦から抜粋。

ここから▲5七銀△6四銀▲6六銀...のように進めるのは無難ではありますが、そうなると先ほど明示した局面と似たような状況になりかねません。

そこで、本譜はここから▲5四歩と動きました。角を交換してしまうと後手は攻めの目標を見失うので△4四歩は妥当ですが、▲5三歩成△同金▲5七銀△6四銀▲6六銀と進めておきます。(第3図)


000解説だよ

先手は5筋の位を自ら消したので手損を受け入れていますが、後手に△4四銀型を作られていないので、6六の銀が前進しやすい配置になっていることが主張です。この銀が五段目に上がれれば、先手は角の活用も見込めますね。

実戦はここから△4三金▲3八銀△3三角▲4六歩△8五歩▲5九飛△7三桂と互いに陣形を整備しましたが、こういった進行になれば、中飛車は第1図よりも得をしているように感じます。(第4図)


000解説だよ

振り飛車側が得をしている理由は、先述したように銀が活用しやすいことです。▲5五銀とぶつける手を権利にしている点が大きいですね。

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