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皮肉屋だったあの子は

皮肉屋だったあの子は
真っ黒い歌が大好きで
でもよく月が冷えた夜に
ボソッとつぶやいてた

「自分をね、なぐさめるための
歌を知らないの」
すぐそのあとにつづいたお得意の皮肉が
よりいっそうそれを
彼女の本音らしくさせていた

だから
ららら
歌うだけ
夜の遠吠え
朝の煙り
されど
ららら
すべての傷を隠す人たちへ
ほんのすこしの手あて

怠け屋だったあの子は
まったく遊んでばかりいた
でも家が鎖で閉じる日に
ボソッとなげいていた

「自分をね、よい子にしたくて
頑張るんだけど」
そのあとはもう笑ってゲームをいじるばかり
彼はきっと
そのつづきを知らないんだろう

だから
ららら
うたうのさ
夜の慟哭
朝の忘却
されど
ららら
すべてのずるさに泣く人へ
ほんのすこしだけ
ほんのすこしだけ
ららら

ポチッとしていただけたら泣いて喜びます。ヤッターッ!