ヒノ影アラン

でっかいやつがちいさいことばをこねくりまわしている。記録。小説。思考とか。 演劇では脚…

ヒノ影アラン

でっかいやつがちいさいことばをこねくりまわしている。記録。小説。思考とか。 演劇では脚本演出しております。台本もアップできたらいいなあ。

マガジン

  • 短編小説

    書き散らした短編小説置き場。なにとぞ。

  • 『ヒノ影アランは○○である。』

    赤裸々エッセイ書いちゃうよ。よろしくねん。

  • 形損ないの詩(ナリソコナイノウタ)

    歌詞として書いたんだけど、どうにも音が浮かばなくて今のところ詩になっちゃってるやつの置き場。リリックと思ったらこんなの書くよって名刺でもある。って言いつつ、ちゃんと歌にしたやつも載せようかなと。よろしくです!

  • 【詩集】garden

    テキスタイルデザイナー・CONCOさんの個展に提供した詩をまとめたマガジンです。 様々なお花をモチーフに6つの新作デザインが展開されました。 その1つ1つに詩をあて、物語仕立てに仕上げました。 気軽に、この植物園へ足を踏み入れていただければ幸いです! お待ちしております。

  • ヒノ影アラン詩集「欠けた頭の半月から(電子版)」

    みなさま初めまして。ヒノ影アランと申します。 言葉を書くのが生業、です。 ちょっと詰まったのはまだまだ売れへん物書きだからです。小五の頃から人知れずずっとカキカキしています。 こちらは、高校生〜大学生時分まで書きためた詩をもとに構成しました。 その名も 「欠けた頭の半月から(電子版)」 僕はいわゆる根暗ちゃんで、高校生で闇落ちし心が複雑骨折。 大学に入ってからは毎日そんな心をリハビリ。 そんな闇落ち期から回復期までの僕の全てが詰まった詩集です。 いわば、モラトリアムの結晶です。 思想の根幹です。 僕という創作者の基盤がここにあります。 テキスタイルデザイナー・CONCO氏による美しいイラストとともに、お送りいたします。 欠けた半月のような頭部の傷から、泡のように言葉が漏れ出す。 ねじくれた精神世界を一緒に覗きに行きませんか。 お待ちしております。

最近の記事

小さな頃はかがみなり

 青木のおばちゃんが引っ越す段になって慌てだしたのは、甥っ子の翔がちっとも家を離れたがらなかったからだ。  バケツで汲んだみたいな朝日がべらぼうに明るく注がれるその日に、俺と翔は畳の座敷で向かい合っていた。あちこちに閉じたダンボールが積み重なってビルを作っている。  甥っ子は小学二年生にしてはあまりに出来た子であった。顔に丸みが少なく、するりとした輪郭にほっそりした目の線をして、男の顔をしているのだがどこか女性の気品も思わせる。 「時に翔、なぜ君はここを動かぬ」 「教

    • ヒノ影アランは『「うわ、それはひどいね!」って覚えたパターンからのテンプレセリフじゃないの?』と言いたいのである。

      ども、ヒノ影アランです。 テレビでは発生確率高めの頻出イベントととして、不倫が扱われますな。 大概は男が(たまーに女も)、ホテルだ車だ野外だ(それはないか)とやんややんや猿のようにヤってはパパラちゃんに写真をパシャリされるわけですけれども。 まるで動物園ね。 こういうニュースを見たとき、 "1人の時"と"誰かといる時"に思うことが、だいぶ違うことに最近気づいた。 ○1人でいる場合 ああー、なるほどね、2人も子どもいるんだ、そっかあ。それで手を出すねえ…エッチする場所

      • スマホの目

        スマホが割れた 松屋の牛チゲに惹かれて ヘッドフォンを外したときだった すこんと手から抜けて そのまま落下 角から落ちて 悪いことに俺のスマホはすでに背面がバキバキだったから 嫌な予感がして拾ってみると その角のガラスの一部が欠けて カバーの内部で変に浮いていた ああ、と思って外してみると やはり、かけらがポロリと落ちてきそうに 俺はそれを慌てて戻して カバーを元どおりにした 内部機構の黒が見えた 恐ろしい あと2年は使う予定なのに 松屋に入り注文を終えてこれを

        • 《帰らなくちゃ》 Home Alone

          初めてコード進行というものを覚えて理論的に作った。やっすいソフトのデータなので音源化はしていない。でも、印象に深く残っている。メロディと言葉の関係性を意識して編む作業は、存外に楽しかった。今作り直してやってみたい曲の一つ。です。 帰らぬ人を待ちつづけても しずくは空を去らずに落ちゆく 冷めた空気がどうかあなたに 肌を思い出させることを祈ろう 「帰らなくちゃ 君の待つ家に ねえ宵闇が来る前に ドアを開けるよ今夜こそ」 ま、いつものことだからさ 靴のない三和土 それと濡れず

        小さな頃はかがみなり

        マガジン

        • 短編小説
          4本
        • 『ヒノ影アランは○○である。』
          3本
        • 形損ないの詩(ナリソコナイノウタ)
          7本
        • 【詩集】garden
          8本
        • ヒノ影アラン詩集「欠けた頭の半月から(電子版)」
          19本
          ¥500

        記事

          《夜の窓》 Forever pitch black

          これは本当に辛かった頃の自分を、少し時間の経った後で客観的にスケッチしようとしたものである。やりすぎて真っ暗になった印象。でもこれもまた俺の通ってきた道。恥ずかしいけれど載せておきます。 楽しくさせないよ、あなたの声が。 覚えたまんまの言葉に溺れて、生きてゆくしかないことに気付く。そんな憂鬱な気持ちに吊るされて……。 外は一つも音を立てぬ闇に包まれながら、この部屋を浮かしていくのだろう。 それが良いことか悪いことなのかは、意味がないの。 そうさ、今ただ

          《夜の窓》 Forever pitch black

          《泣き手紙》Unreliable grudge

          情念こもる怖い歌が描きたかった。中森明菜、中島みゆき、椎名林檎…そのあたりが歌うイメージで。これもメロディはあるけれど、未だ形にならない。ナリソコナイノウタ。ちなみに途中のカギカッコ内は、間奏でリーディングしたかったの。手紙を読み上げるみたいに。男の俺が歌う歌ではないだろうな。 あなた宛て 住所不明、切手無し 封筒に入れたままで 丸める しびれてく右ほほを しゃくりながら 筆を執り書き進む あなたの声を

          《泣き手紙》Unreliable grudge

          DawN

          昔、無料のやっすい音楽ソフトで作ったことがある。でもとても聴けるようなものではなく、作り直したいのだがまだ手をつけられずにいる。自分の中でとても好きな歌詞だと思う。夜明け、という意味のタイトルだ。 こんな夜が訪れるなんて思わなかった。 「嘘みたいね。」 ああ、透き通る闇の濃さ黒さ、行き辛さ。 聞こえてる吐息の音だけを拾う「今」を、ぼくは、わたしは、なんと呼ぼう? 時間も名前も、意味がない。 日が昇るまでのときを、永遠なんて言わないでいて。「今」にわかるさその身で、浴する明日

          おくるうた

          なんて言えばいいのかな ああ、いやあ、うんと そうね 世界が塗り替えられた気分? クサいか 塗りかけのキャンバスを 取り替えられた気分 そう、そんな感じ そこには空 ただ空があるだけ 好きです あなたがくれたもの まだ残っています 体を洗うのに まだ手を使っています なんでもないようで 一言一言が よく刺さりました いつかそれが 心臓に届いて 終わることもわかっていました そよ風もない 梅雨もそろそろ 明ける七月の井の頭公園 向こうにビル 空をジャマしている 好き

          反省会(self hate)

          ごめんなさいもありがとうも 上手く使えなかった 刺したあとで 刺さないでなんて おこがましすぎて無理よりの無理 死んだらグッバイ オルタネイティブ 1弦の限界 ピロピロ鳴っては返す波のように バカらしいな 感覚で言葉を繋いでる されど猿にはなれず いまだに人里をウロウロ 汗臭い朝帰り ロックオンした布団までは20キロ 刺さんねえよってセリフが刺さった 悪意のないトゲは薔薇のよう ごめんなさいもありがとうも 上手に使えなかった 寂しいのに 恋しがる人を裁いて 強いフリのひ

          反省会(self hate)

          皮肉屋だったあの子は

          皮肉屋だったあの子は 真っ黒い歌が大好きで でもよく月が冷えた夜に ボソッとつぶやいてた 「自分をね、なぐさめるための 歌を知らないの」 すぐそのあとにつづいたお得意の皮肉が よりいっそうそれを 彼女の本音らしくさせていた だから ららら 歌うだけ 夜の遠吠え 朝の煙り されど ららら すべての傷を隠す人たちへ ほんのすこしの手あて 怠け屋だったあの子は まったく遊んでばかりいた でも家が鎖で閉じる日に ボソッとなげいていた 「自分をね、よい子にしたくて 頑張るんだけ

          皮肉屋だったあの子は

          ヒノ影アランは最近悲しいことが起きすぎて書き殴ったやつをとりあえず読んでほしいのである。

          なんかネットが荒れてますよね。私的なことですが最近悲しいことも連続しててつらいっすわ。こういうのって重なるんだわなあ。 ところで俺、このウェブ漫画読んでちょっと震えてしまって。 読んだ? 独特の雰囲気で面白いしクオリティ高いよね。ある種怖いけどさ。 いやね、漫画の内容っていうより、周りのクリエイターたちの怒りの方に目眩が来たんですよ。 出るわ出るわ、引用リツイートでの批判の数々! すっげぇわかるんだけど、でもね、これってそんなにありえない話かな? とも思ってて。

          ヒノ影アランは最近悲しいことが起きすぎて書き殴ったやつをとりあえず読んでほしいのである。

          現代短歌を書いてみるの巻。

          駅前のカップルマスクで触れ合って目は口ほどにものを言うなり 男2人並んで歩くのはだめかなとの君へ手握りanswer 寂しくて泣けて仕方がないから通り抜けたよビルの穴、軽で 涙なしでは見られぬと謳うなら泣かずに見てようホトトギス ライフルで撃ち抜かれたような恋に逮捕確保と行かぬのも恋 わたしらが水と油ならボトルに入れ振り作ろうドレッシング どうも、ヒノ影アランです。 短歌は皆さん好きですか? 俺はかなり好きです。百人一首なんか、文庫本で買って持ち歩くくらい好き

          現代短歌を書いてみるの巻。

          エピログ

          ちょきん 思わずわたしは その花の一輪の根元に刃を差し込み、 太い糸の切れるような感覚を指先に感じた。 命の途切れるおと。 だと思えるのは、 この花たちが多くを語りかけるように、 色香を放っているからだろうか。 鮮明に残る、 閃光の一瞬をおもわせるその色を、 知らぬ間に愛してしまった。 心は喜びに満ちていた。 それは、あまりに残酷なことだろうか? ふと、横から、なにか灯りが差し出される。 あの、男か女かわからない支配人だった。 灯りとは、 ゆらゆら燃える一本のロー

          ロウバイ

           ふれる白雪の  朝を待ちます    そっと手で桶の水をすくい、  鏡がわりに顔を見る  冷たい産毛  ぱきりと柱から音がして  ひろがる煙のような不在の気配    窓から灰色のひかりがにじむ  もうこんなにも経ってしまったのですね  今日も米を食べ衣を洗い敷くように眠ります  ふさわしい生活です  ときおりこの家の隅から  けもののようにもうもうと湧く怪物をのぞいては  どうしてでしょう、どうしてでしょう  必死に問いかける頃にはもう  すべて終わっているのは

          パンジー

          首をぐにゃねて 背をかくツルのように それで下を見る君 ひだりほほに添えられた 花瓶の取っ手のような手 その先になにがある きっと君の少し前の未来がある なにを考えあぐねている なぜ苦いものが嫌いか ないと思って買った電池があとから出てくるフシギ 頭のどこにメモリーの保管庫 考える場所はどこにあると考える脳 優しくなりなさいと傷ついた君に言う だれかの タイミングの暴力 言いたい言葉でともだちを傷つけあやまれない足場のなさ 下がれないからいっそ、落ちるしかないの

          百合

          まとわせた糸の その色色を その両端を つまんで互い違いに ひっぱってほしい その独立しながらにして混ざり合うのを 私は体感したい 痛いのは嫌い だけれど、軽んじられるのはもっと嫌い だからね、痛みを知った気になって 成熟を前借りするの 十字に編んで 異なる色を 交わせて詰めていく 木造の喫茶店とか 曇り空とか パステルカラーのストールだとか 総じて私は 自分に優しくともなんともない なんでもない顔のものを選んでは 人生に組み込んでいくのが得意だ 得意だ、というのは決し