読書感想文(34)スペンサー・ジョンソン作、門田美鈴訳『迷路の外には何がある?』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回読んだこの本は、同じ作者の『チーズはどこへ消えた?』の続編です。
こちらも読んだのですが、読書感想文を書くタイミングを逃したので少しこの内容も含みつつ書くつもりです。
また、小説ですがビジネス書なのでネタバレ等は気にせずに書きます。

感想

まず『チーズはどこへ消えた?』を読んで、確かに柔軟に変化するのは大事だよなぁと思いました。しかし今振り返ると、全然心に響いていなかったなぁと思います。
なぜかというと、『迷路の外には何がある?』を読んで、こちらの方がめちゃめちゃ響いたからです。こちらは『チーズはどこへ消えた?』で変化についていけなかった小人が主人公なので、「あー今の自分はこの小人に一番近いんだなぁ」と実感しました。

さて、『迷路の外には何がある?』では変化についていけなかった小人がどのように変化を受け入れていくかが描かれます。その中で最も心に引っかかったのが「信念」というキーワードです。古い信念に囚われていませんか?という話です。
これを読んだ時、私はかなり動揺しました。なぜなら、自分の中で捨てた方が良さそうな信念はなんだろうと考えた時、真っ先に思いついたのは「嘘をつかない」という信念でした。
嘘をつかないというのは結構不便なので、嘘さえつければもっと上手く立ち回れるのになぁと思ったことがよくありました。でも嘘をつく方が良いとはどうしても思えずに、これまでずっと貫き通してきました。

しかし目的から逆算した時、むしろ嘘をつくべきなのは確信していて、わざわざ遠回りしている自覚もあります。それでも「嘘をつかない」から「嘘をついてもいい」という考え方にシフトすると、これは不可逆です。なぜなら「嘘をつかない」から一度「嘘をついてもいい」という考えに変えてしまえば、その後もう一度「嘘をつかない」という考えに変えたところで、また自分の都合の良いところで「嘘をついてもいい」に変えるんだろうなぁと思っているからです。

よく「自分は嘘をつかない」という人がいます。しかし普段人が嘘をつかないのは普通です。何か自分の都合が悪い時、自分の都合が良いように人は嘘をつくのです。この辺りは極論をするとわかりやすいのですが、要はどこまで自分を犠牲にしてでも信念を守り通せるか、だと思います。これは戦時中の文学者などを想像してもわかりやすいかと思います。

「自分は嘘をつかない」という人にはこう尋ねてみましょう。
「いつから嘘をついていないんですか?」
大抵の人は恐らく咄嗟に答えられません。
「じゃあ今まで一度も嘘をついたことがないんですか?」
と尋ねると、大抵「いや、そんなことはないけど……」と返ってきます。
これだけで、嘘をついているのにそれをそれほど意識していない、ということがわかります。そんな人が「自分は嘘をつかない」と言っても信用できるでしょうか?
尚、下手にやると人間関係が壊れかねないので、必要な時以外はしないようにすることをおすすめします。ほとんどの人は嘘をつくこともありますし、それが悪いこととも言えません。

ということで、嘘についての話が大半になりましたが、抽象化すると信念の話です。この信念を変えるかどうか、まだ結論は出ていません。

おわりに

この本は短くて読みやすいので、月に一回くらいは読み返したいなと思いました。『グッドラック』と同様、身体に染み込ませたい考え方です。

この本とその前作、『チーズはどこへ消えた?』はお話の後にディスカッションの例が書かれています。
読書会でこの本についてみんなで話し合うのもなかなか面白いのではないかなと思いました。

というわけで、最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
次は『高校に古典は本当に必要なのか?』です。そろそろ小説が読みたいのですが……

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