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サッカーが下手だけど続けたい君へ。

この時期、進学とともに環境が大きく変わるサッカー少年・サッカー少女が多くいると思う。そんな中、中学生の君は「高校でもサッカーを続けたいけど下手な自分が続けられるかな?」という不安を抱いているかもしれない。そして、高校生の君は大学でもサッカーを続けられるか不安に思っているだろう。

そんな中で一つ選択肢を教えたいと思う。審判を始めてみないか?

サッカーが下手糞だけど、サッカー2級審判員として活動している私から君に読んでほしくて書いてみる。うざいと思うかもしれないが、サッカーが大好きだけど下手な君、サッカーは好きだけど選手としてプレーしたことのない君に届けば嬉しい。

審判はサッカー下手糞の集まりだ。

サッカーが上手い人は審判がうまいことが多い。でも、審判をやりたがらない。だからこそ、審判はサッカーが下手糞でも活躍するフィールドだといえる。そう、選手として挫折したからこそ、審判を始めるのだ。

私が知っている1級審判員の方でも全国大会に出場できた人はわずかだし、1級審判員でJリーグで選手として経験を持つ方は2人しかいない。そう、審判はサッカーが下手糞な人の集まりなのだ。

しかし、サッカーが下手だったとしてもトップレベルに立ちたいという熱い思いを持っているからこそ審判を続けているのだ。

審判だからこそ立てる舞台

こんなタイトルの記事を読んでくれている君はプロになれなかった人だろうし、プロなんて到底届かなかった世界だろう。

そんな下手糞でもJリーグに立てるかもしれないし、全国大会に立てるのが審判という世界だ。

審判の方が競争率は低いし、全国大会に立てる機会は本気でやっていれば転がってくる。夢の中にいるJリーグの選手たちの練習試合を担当することは比較的早くできるだろう。

自分が到達できなかったレベルの選手たちの華麗なプレーを最も間近で見ることができるのは本当に楽しい。

審判は誰よりも近くで選手のプレーを見ることができる「特等席」から試合を楽しめるのだ。

審判を目指すには

審判を目指すためにはまず4級審判員をとることが必要だ。下記のリンクに詳細は書いてあるが、日本サッカー協会が運営する「JFA Kickoff」というサイトから最寄りで開催されている「サッカー4級審判員新規取得研修会」に申し込めば取得できる。

そのあとはどんどん試合を担当して、級を上げていくことが全国大会や高いレベルの試合の担当には必要だ。そして、忘れてはならないのは審判業界において、「人のつながり」が大切だということだ。

コネのような部分も昇級には正直必要だと思う。なので、「サッカー4級審判員新規取得研修会」に参加するときの講師の人に、講習終了後に是非「審判で上を目指したい」といってみてほしい。そうしたら助けてくれるはずだ。なぜなら審判業界では慢性的な人不足になやんでいるからだ。若手審判員の育成は至上命題で、みんな歓迎してくれている。

大学・専門学校での審判養成

関西の大学・専門学校に進学する人は、「関西学生サッカー連盟」の審判部もレベルが高いと聞く。高いレベルの試合を担当できるチャンスを得ることができ、1級審判員も多く輩出しているので、是非参加してみるのもいいと思う。

関東学生サッカー連盟にも同様の組織はある様なので、関東の大学に進学する方は是非問い合わせてみてほしい。下記記事の柳岡拓磨さんは現在1級審判員として活動されている。

新潟県のJAPANサッカーカレッジでは審判に特化した授業を履修し、通常より早く2級審判員へ近づけるとのことだ。最初から審判を目指したい人にはうってつけの環境だ。

審判の魅力

中学や高校で補欠だった君は副審をじゃんけんで負けてやらされたこともあるのではないだろうか?多くの人にとって審判は嫌々やるものだと思う。

ただ、私が審判が大好きだし、勧めているのは審判に大きな魅力があるからだ。その魅力を少しお伝えしたい。

①選手としてより高いレベルのサッカーに携われる

私はサッカーがうまくなかった。だから全国大会に出たことなんてもちろんないし、プロになれると感じたことは一度もない。でも、審判を始めてからは自分が選手としては到底携われなかった高いレベルの試合を担当させていただくこともあった。前にも書いた通り、審判はその選手のプレーを特等席で感じられる。サッカー未経験の審判員も少数ではあるが、存在する。サッカーのうまさに関係なく担当できるのが審判の魅力だ。

②サッカーを深く知れる

選手をしていた時には考えもしなかった視点からサッカーを見ることが多くなったし、戦術についても選手をやっていた時よりも深く考えるようになった。サッカーを違う角度から知ることはサッカーがより好きになるきっかけになる。

③試合がうまく終わった時の喜び

審判は文句を言われることが多い。それは、審判としてある意味避けられない道だ。けれども、選手から終わった後に「ありがとうございました。」と本心から言ってもらえる時には大きな喜びを感じる。

それが、負けたチームの選手からだったら本当に嬉しいし、救われた気分になる。

まだまだあるけれど、長くなるのでこれくらいにしておく。選手と違ってお金をもらえるといった部分もあるかもしれない。試合を担当すれば、1試合3000円から5000円をそこらへんでやっているようなアマチュアの試合でももらえたりする。J1担当主審だと1試合12万円いただけるとのことだ。選手がお金を払ってプレーする中、お金をいただけることの責任はあるが、高校生や大学生・専門学生にとっては大きな部分だとは思う。

昇級の難しさ

良いことばかり書いているが、難しさももちろんある。一つは試合での難しさ。やはり、選手から文句を言われることも多いし、判定が上手く行かない経験はたくさんしている。それは難しいことである。

そして、もう一つが昇級の難しさだ。

Jリーグを担当するためには1級審判員になることが不可欠だが、その1級審判員の中でも全員が担当できるわけではない。そして、Jリーグで笛を吹くことを夢見た人でも途中で挫折する人は多くいる。実際私の仲間でも将来を期待された審判員が仕事の都合で途中で審判員をあきらめたケースを見てきた。

英検でも、簿記でも、漢検でも、何でもそうだと思うが、3級はとるのが比較的容易だ。2級となるとサッカーに関しては、全国で審判がおよそ28万人いる中4000人弱しかいない。

当たり前だが、1級になることはもっと難易度が高い。1級審判員は、全国で224人しかおらず、全体の0.7%という難易度だ。

正直2級審判員まではある程度一生懸命活動したら昇級できるかと思うが、1級にはごく一部のエリートしかなれない。2級審判員でも全国大会に派遣されることは多くあるが、Jリーグ担当には1級審判員になるしかない。そう考えると本当の意味でトップレベルになることは難しい。

最後に

審判は楽しいし、難しい。難しいからこそ面白い。そういう風に感じている。

審判は一昔前に比べると、大分目指す人も増えているかと思うが、まだネガティブなイメージが根強い部分もある。「ジャン負け」審判がいるように後ろ向きにする人が多い。

しかし、審判をやってみると喜びは多いし、サッカーの美しさを感じられる魅力的な役割だと思って、私は毎週末ボールを追っている。

選手としてはダメダメだった私でも、サッカーに関わり続けることは喜びだし、センスがないという理由だけでサッカーを諦めようとしている君がいれば是非君の選択肢に「審判」という選択肢を入れてみてほしい。

審判って何をしているか正直始めるまではよくわからなかったし、閉鎖的な環境だという風に思っている。

でも、選手としてダメだった自分が生きる道があるのだとすれば、審判だと思っている。

知られていないからこそサッカーをあきらめる君に届いてほしくて、拙文をしたためてみた。本当に悩んでいる君に届いたか分からないが、もし選択肢に審判が入ればこの上ない喜びだ。

謎は多いと思うので、分からないことがあれば尋ねてきてくれればお助けします。TwitterのDMでもこのnoteのコメントでも、質問箱でも大歓迎です。気軽に聞いてください。

どこかのピッチでサッカーをあきらめようとした君と試合を一緒に担当できるいつの日かに思いを馳せて、結びのことばと代えさせていただく。

サッカー下手糞の君、審判は楽しいぞ!


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