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広報・PRを外注するときのポイント<企業がビジネス相性を見極める質問集つき> VOL.5

職種ごとに、なんとなく性格の分類はできると思っています。長年、事業会社と代理店で経験を積んできて、広報PRの方を多く見てきました。もちろん事業会社と代理店は全然違う業種なのですが、それでも広報を選ぶということは共通しています。

企業が「広報PR」という新しい力を加える時、どうすれば正しいマッチングができるのかはわからないということはよくあることだと思います。ただ問題が一つあって、広報・PRは、本質的にはよくわかっていないのに、わかったような気になりやすい職種のように思います。そしてそれがボタンのかけ違いの一つの要因のように思います。

正しく使えば、広報PRは企業の競争力になる部門です。うまく取り込んで、企業を成長させていかれることを望んでいる人は、フリーランス広報PR側にも多いように思います。

今回はVOL.4の続きとなり、「業務委託で広報・PRを継続的にお願いしたい」の性格面での相性を考える回となります。よく見てきた「ボタンのかけ違い」事例を紹介します。

ご参考までに、VOL.4はこちら



5.広報PRの特徴から、起こりやすい問題を事前に知る

長い付き合いの場合、仕事の能力だけでなく、パーソナリティの相性も重要になるかと思います。これは各社で用意されている質問もあるかと思いますが、一般的にフリーランス広報PRと企業側の軋轢で起こりやすい以下の4つの点があります。

  1. 過渡期が他社とかぶる

  2. 大風呂敷問題

  3. 独立型か主従型か

  4. あいまいな要望が引き起こす、すれ違い

5-1.過渡期が他社とかぶる

企業の忙しい時期は被りやすく、その場合いくつか仕事を掛け持ちしているフリーランスは同時に忙しさが訪れることになります。そして口には出さなくても優先順位があります。柔軟に対応して欲しいと思うのはどこの企業も同じです。

例えば、契約時に「XX月のXXという展示会に出展予定」と伝えていれば、それを理解してスケジュールを組むと思いますが、直前に展示会に出展を決めた場合などは、すでに決まっていた予定を優先し、「直前に言われても対応は難しい」となってしまう可能性があります。それを避けるためには、繰り返しになりますが、どのような活動をお願いしたいのかを契約前に企業がまとめているのがベストだと思います。

また、一般的に複数のタスクをこなせないタイプの人は、分類するとA.性格的にもともと一点集中型、B.自分の仕事量の見積もりができない(自分がどれくらい手を動かすのかわかっていないのに仕事を請け負っている)、C.仕事は一つであっても複数であっても、もともと適当にしかやらない、D.やるべきことがそもそも予期しにくい環境にいる、のどれかに当てはまることが多いように思います。

上記の場合、Aのタイプは真面目なタイプが多く、B、Cは未熟か責任感があまりないタイプですが、懐が大きくていろいろと頼めそう、何事もポジティブそうに見えるかもしれません。逆に言うと、真面目そうだなと思ったら、過渡期を乗り切れるかは頭に入れておく方が良いし、どんなことでも頼れそうと思ったら、いい加減なタイプかもしれないと疑うことも良いかもしれません。
ただ正解がない問題なので合う人を選ぶしかないのです。また感情がある人間なので、過渡期以外のコミュニケーションによって、プライオリティも変わると言うのが正直なところかと思います。

5-2.大風呂敷問題

次に、愛想や愛嬌などを持ち合わせている広報PRが多いというのは以前も書きましたが、「はい、できます」とクライアントに笑顔で答えて、その裏で「これってどうやればいいんですか?」という質問が飛び交うのが広報PRあるあるです。もちろん誰かに聞いて解決をすれば良いのですが、解決できる保証はありません。

ただ企業の顔として活躍するシーンもあるので、愛想が良く、愛嬌を持ち合わせている方が強みとなる場合も多いのも事実です。これも正解がない問題なのですが、広報PRに自走してほしい企業はスキルを見極める目を冷静に保つ必要があります。

5-1と5-2の問題は、相手の覚悟を決めさせるためにも強気な質問をぶつけてみるという手があると思います。例えば、

  • 弊社は12月はとても忙しく、アルバイト人員も増やしてもそれでもなお業務量が多くなる傾向があります。そういう時でも、頼りになる人にお願いしたいと思っていますが、局所的に仕事量が増えても対応していただけますか?

おそらく誰であっても「もちろんです」と答えると思います。これは質問で見抜くというより、相手にちゃんと真剣に向き合わせるためのお知らせでもあるのです。

5-3.独立型か主従型か 

そして、自立していろいろとできる人を求めているけれど、企業側がコントロールするのは絶対であると思っている企業と、自立していろいろスキルもあり独立するくらいなので対等な立場でいたいと思うフリーランスのバランス問題です。

前述の「社長は広報のプロフェッショナルな意見を求めているのではなく、気持ち良くさせてくれる人を望んでいるように見える」は主従型の典型ですね。実はこれも良く聞く問題の一つですが、ストレートに質問してしまって良いかと思います。

  • 弊社は中央集中型のマネジメントを行なっており、企業全体をコントロールしていく必要があるので、基本的にこちらから業務をお願いし、報告いただくという形になります。マイクロマネジメントと感じる方もいるかもしれませんが、ご自身の性格面で不安等はありますか?

これもおそらく「大丈夫です」と答えるでしょう。この質問も、相手にちゃんと真剣に向き合わせるためのお知らせです。「大丈夫です」と言うことによって、ある程度の覚悟を決めてもらうことも重要だと思います。そしてちょっと脅すくらいの方が、より覚悟が強まります。

5-4.あいまいな要望が引き起こす、すれ違い

あいまいな要望については、どんなことでも対応できる人にお願いすることは報酬、賃金は高くつくことを意味します。いずれにせよ企業側が金銭面で理解と覚悟ができ、フリーランス広報PR側がそれを受け入れてくれれば、何も問題ではありません。

また、VOL.4で記述した通り、あいまいな要望だと明確な要望をしてくる企業より、フリーランス広報PRにとっては後ろの優先順位になることは理解しておいた方が良いでしょう。簡単な例でいうと、締め切りがある仕事は締め切りに間に合わせるようにやるけれど、なるべく早くと言う要望を出してきた企業は後ろ回しになる、ということです。

企業側で何をすれば良いのかわからない場合、提案書の作成を求める企業もあるようですが、無償で提案書に長い時間をさくのは好まないフリーランスも多いです。

まずはカジュアルに、SNSなどで「壁打ち無料」のフリーランス広報PRを見つけて話してみることをおすすめします。30分だけでも話してみる機会があればそれを活用し、企業の要望をまとめられたり、正しく壁打ちができていれば、それは前進です。その方にお願いするのも良し、何がしたいのかを明確化できればそれもまた良しだと思います。

VOL.5 所感

トライ&エラーの精神を否定する訳ではないのですが、広報PRがコロコロ変わる企業を、「何か問題があるのかな」と思うメディアの人は多いことは理解しておくと良いでしょう。

面談は、企業の良いところばかりを言うのではなく、双方の相性を見極め、企業の競争力をつけていくための施策と捉えるべきだと思います。

根本的に、多くの誤解があり、広告は高いからメディアリレーションを持っている人と雇って、メディアに出してもらおうという安直な考えが広まっていると感じています。おそらく何もわかっていない、声が大きな人が間違っている方法を推奨しているのだと思いますが。

実際には、多くの企業がそれほど広報PRの恩恵を感じないからこそ、採用をトライ&エラーと捉えているのかもしれないと思った時、どちらが鶏でどちらが卵かわかりませんが、少しだけ道を正せればと思いました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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