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「ル・コルビジェ」の生涯について

こんにちは!
建築士のだいきです!

学生時代に建築物や建築家について、まとめたものがあるのでnoteで発信して行きたいと思います。


今回は「ル・コルビジェ」について、記事を書いたので、見て頂いたら幸いです。

*画像等は載せていないので、調べてながら読んでいただけると、知識になるかと思います。




1.序論

1.1生い立ちと背景

ル・コルビュジエことシャルル-エドゥアール・ジャンネレは1887年10月6日にスイスのラ・ショー=ド=フォンで生まれました。彼は芸術家の家庭に生まれ、幼少期から美術と様々な芸術的表現に親しむ環境で成長しました。この環境が後の彼の建築哲学に大きな影響を与えることになります。

16歳の時にアートスクールに進学し、その後パリに移住して建築を学びました。この時期、彼は自身のペンネーム「Le Corbusier」を採用し、これが後に彼の名前として知られるようになりました。

1.2 学びと影響

パリでの建築教育を受けたル・コルビュジエは、ジャック・ル・コワジエのもとで学びました。ル・コワジエは彼にとって重要な指導者であり、彼のアイデンティティや建築理念の形成に大きな影響を与えました。共同制作や美術運動への参加を通じて、彼は早くから芸術と建築の融合に魅了され、自身のスタイルを確立していきました。

1.3 芸名「Le Corbusier」

パリでの学び舎に住む際に、ル・コルビュジエはシャルル・ジャンネレという名前から派生した芸名「Le Corbusier」を採用しました。この芸名は彼の建築家としてのキャリアを象徴し、後に彼が世界的に知られるきっかけとなりました。

1.4 独自の建築哲学の芽生え

ル・コルビュジエの独自の建築哲学は、彼の早期の教育と経験から着想を得ていました。彼は芸術性よりも機能性を重視し、建築が単なる構造物ではなく、社会への奉仕であるべきだとの信念を抱いていました。これらの信念は後に彼のモダニズム建築の中核となります。

1.5 機能主義の信奉

ル・コルビュジエは機能主義の原則を強く信奉しました。彼は建築がその機能に基づいてデザインされるべきだと考え、余計な装飾や飾り立ては排除されるべきだと主張しました。これが後に彼の作品において見られるシンプルで機能的なデザインの基盤となりました。

1.6 モダニズム建築への貢献

彼の機能主義や合理主義の思想は、モダニズム建築運動において画期的なものとなりました。彼は建築が時代の進化や社会のニーズに適応するべきだと考え、これが彼のユニークで革新的なデザインに繋がりました。



2. 教育と初期のキャリア

2.1 パリでの建築教育

彼がパリに移住してからの教育は、彼の建築家としてのキャリアにおいて決定的なものでした。彼はエコール・デ・ボザール(美術学校)で学び、そこでジャック・ル・コワジエと出会います。ル・コワジエは当時の先進的な建築家であり、彼のもとで働くことはル・コルビュジエにとって重要な経験でした。ル・コワジエの影響で、彼は抽象的な美術運動や新しいアートスタイルに触れ、建築と芸術の統合に興味を抱くようになりました。

2.2 ピュリスム美術運動への参加

ピュリスムはル・コルビュジエが初期に関与した美術運動で、抽象的で幾何学的なデザインに焦点を当てました。この運動は彼の美術的な視点を形成し、後の建築においても抽象的なデザインと機能性の結びつきを追求する基盤となりました。また、この時期にはキュビスムやフォーディスト運動などにも触れ、多様な美術的要素が彼の視野を豊かにしました。

2.3 芸名「Le Corbusier」の採用

パリでの学び舎に住んでいた際、シャルル・ジャンネレは建築家としてのペンネームとして「Le Corbusier」を採用しました。この名前は彼の建築家としてのキャリアを象徴し、彼が世界的に知られる名前となりました。この芸名は独自のアイデンティティを確立し、後に彼のキャリアを通じて使用され続けました。

2.4 共同制作と美術運動への貢献

ル・コルビュジエは初期において共同制作にも積極的に参加しました。彼は他の芸術家や建築家との協力を通じて新しいアートスタイルやデザインアプローチに貢献し、彼自身の視点をより広げました。これらの経験が彼の個性的で先駆的な建築哲学の発展に寄与し、その後の彼の作品に深い影響を与えました。



3. モダニズム建築の提唱者

3.1 機能主義の信奉

彼の建築哲学は機能主義の信奉に基づいています。ル・コルビュジエは建築が単なる装飾や芸術的表現ではなく、機能と効率性に重点を置くべきだと考えました。彼は「機械的な美」を追求し、建築がその目的に合致して初めて真の美を持つと信じていました。この信念は彼の作品において機能性と美的な調和の追求に具現化されました。

3.2 芸術性よりも構造と機能性の重視

ル・コルビュジエは建築を芸術としてではなく、「機械」として捉えるべきだと主張しました。彼は構造と機能性が建築の中心であり、これが美と調和を生むと考えました。これにより、彼の作品は機能の要求に合わせ、冗長な装飾を排除したシンプルで効率的なデザインを持つこととなりました。

3.3 新しい建築へのアプローチ

彼は従来の建築様式に挑戦し、新しい建築へのアプローチを提案しました。伝統的な建築からの脱却として、彼の作品では直線や平面、ピロティ(支柱)などが多用され、これがモダニズム建築の特徴となりました。建築が機能を満たし、その構造が効率的である限り、装飾的な要素は排除されるべきだとの立場を取りました。

3.4 抽象的な形状と幾何学的デザイン

モダニズム建築の一環として、彼の作品は抽象的な形状や幾何学的なデザインが特徴的でした。これらの特性は、建築が機能的でありながらも視覚的に興味深いものとなり、彼の作品を他の様式と区別する要素となりました。

3.5 ヴィラ・サヴォワ(Villa Savoye)の象徴性

ヴィラ・サヴォワは彼のモダニズム建築の象徴的な作品で、ピュリスムの原則や機能主義のアイデアが具現化されたものです。ピロティを用いた浮遊感、オープンプランの採用、そして白い平面が印象的な美を構築しています。

3.6 モダニズム建築への影響

ル・コルビュジエの提唱したモダニズム建築の原則は、彼の死後も建築界に大きな影響を与えました。彼の機能主義的なアプローチや合理的なデザインは、後の建築家たちによって引き継がれ、モダニズムの基礎となりました。



4. 主な作品

4.1 ヴィラ・サヴォワ(Villa Savoye)

完成年: 1928年
所在地: フランス、ポワシー
特徴: ピロティ(支柱)を用いた浮遊感があり、地上からの広がりを創り出している。オープンプランの概念が取り入れられ、内外の空間が連続している。白い平面と水平線が強調された外観が、モダニズム建築のシンボルとなった。

ヴィラ・サヴォワは機能主義とピュリスムの原則を最も典型的に体現した作品であり、建築が機能的でありながらも美的であることを証明しました。

4.2 ユニテ・ダビタシオン(Unite d'Habitation)

完成年: 1952年
所在地: フランス、マルセイユを始めとする複数の場所に類似の構造が建造された。
特徴: 垂直な都市として提案され、多層の住宅が積み重ねられている。各住戸には専用のバルコニーと庭園が付属し、共有施設も備えられている。集合住宅としての新しい概念を示し、都市計画における可能性を模索した。

ユニテ・ダビタシオンは、都市の再構築と住宅の新しい形態に対するル・コルビュジエのアプローチを具現化したもので、その建築デザインはその後の集合住宅に大きな影響を与えました。

4.3 シャンディガル(Chandigarh)

計画開始年: 1950年代初頭
所在地: インド、パンジャーブ州、シャンディガル
特徴: 新しい州都の都市計画として、機能別にエリアを分割し、合理的な都市構造を提案。彼の建築哲学を都市全体に展開し、近代的で機能的な都市の実現を目指した。

シャンディガルは都市計画の分野でのル・コルビュジエの重要な貢献であり、建築以外にも彼の理念が都市全体に反映されています。

これらの主な作品は、機能性と美学を結びつけたモダニズム建築の代表作品として、建築史において大きな存在感を持っています。



5. 影響と遺産

5.1 影響としてのモダニズム建築

ル・コルビュジエは、機能主義や合理主義の原則を追求し、建築が機能と効率性に基づいているべきだとの信念を広く普及させました。彼のデザインアプローチは、モダニズム建築の中核的な要素となり、20世紀の建築を大きく変えました。機能性、単純性、そして形状への注意が、多くの建築家によって受け継がれ、モダニズムは国際的な建築様式として確立されました。

5.2 都市計画への貢献

ル・コルビュジエは単なる建築家にとどまらず、都市計画においても革新的なアイデアを提供しました。彼のシャンディガル計画は、機能別のエリア分けや合理的な都市構造の提案が盛り込まれており、近代的で計画的な都市のモデルとなりました。このアプローチは後の都市計画に影響を与え、機能的で効率的な都市設計の方向性を示しました。

5.3 教育への影響

彼は教育者としても重要な役割を果たし、多くの学生や若手建築家に影響を与えました。彼の建築理念や設計手法は、彼が教え子たちに伝えたことによって、建築学校やデザイン教育において広く受け入れられました。その結果、彼のアイデアは新しい世代の建築家によって進化し、さらなる建築革新が生まれました。

5.4 継続的な建築への影響

ル・コルビュジエの建築哲学は彼の死後もなお強力な影響を保ち、建築家やデザイナーたちによって採用され続けています。彼のアイデアは現代建築においても参照され、新しい建築プロジェクトに影響を与えています。

5.5 批判と論争

一方で、彼の機能主義的なアプローチは批判や論争も引き起こしました。特にその厳格な機能性に焦点を当てたデザインが、人間性や温かさを欠いているとの意見が提起されました。しかし、これらの論争も彼の影響力と重要性を物語る一部となりました。



6. 建築理論と著作

6.1 『建築の考え方』(Towards a New Architecture)

ル・コルビュジエの最も有名で影響力のある著作の一つが『建築の考え方』です。1923年に初版が発表され、彼の機能主義的な建築哲学や新しい建築へのアプローチが詳細に説明されています。この著作は彼の建築理論が広く知られ、後に多くの建築家に影響を与える基石となりました。

6.2 『人間の尺度』(The Modular)

「人間の尺度」は、ル・コルビュジエが提唱したモジュラーシステムに関する著作で、建築や都市のデザインにおいて人間の体や動作に基づく標準的な尺度を導入しようとする試みが見られます。このアプローチは彼の作品においても具体的に表れ、機能性と調和を追求した彼のデザインに寄与しました。

6.3 建築における3つの定律

ル・コルビュジエは「建築における3つの定律」を提唱しました。

  • ピロティ(支柱)

    • 建物を地面から浮かせ、土地を最大限に活用するためのアプローチ。

  • フリープラン

    • 内部空間を柔軟に配置し、新しい生活スタイルに適応できるようにするデザイン原則。

  • 水平窓

    • 平らな水平線を持つ建物において、視覚的な開かれた感覚を醸し出すための窓の配置。

これらの原則は彼の作品において視覚的かつ機能的な特徴として表れ、建築理論の基礎となりました。

6.4 彼の理論の特徴

  • 機能主義の強調: 彼は建築が機能に基づいているべきだと信じ、その概念を理論においても実践においても強調しました。

  • 比例とモジュール: 彼は建築において比例やモジュールを用いることで、調和や美を生み出すとの信念を持っていました。

  • 都市計画への応用: 彼の理論は建築だけでなく、都市計画においても応用され、シャンディガルなどの計画に具現化されました。



7. 死去

7.1 死と論争

ル・コルビュジエは1965年8月27日に、南フランスのロqワーレの水泳の時間中に心臓発作で亡くなりました。彼の死後、彼の著名な作品や建築理論に対しては依然として様々な評価が寄せられています。
一方で、彼の建築理論や都市計画の一部は、その機能主義的で合理的なアプローチからくる非人間性や、モダニズム建築が持つ批判にさらされました。特に、都市計画への影響が建築だけでなく社会にも深刻な問題をもたらすことが指摘されました。

7.2 遺産としての影響

一方で、ル・コルビュジエの遺産はその死後もなお続いています。彼の提唱した機能主義や合理主義の建築理論は、現代の建築家たちによっても引用され、モダニズム建築の礎として尊重されています。

特に、彼の作品や理論が後続の建築家やデザイナーによって採用され、発展させられたことが、彼の遺産の一部です。その影響は多岐にわたり、機能主義や合理主義のアプローチは建築界全体に広がりました。

7.3 賛否両論としての評価

ル・コルビュジエの評価は依然として賛否が分かれています。彼のデザインは一部で称賛され、その建築理論は進歩的であり、機能主義の重要性を確立したとされています。しかし、同時に彼の抽象的なデザインや都市計画の影響には批判が寄せられており、その建築が持つ冷たさや非人間性についての議論が続いています。

7.4 追悼と称賛

ル・コルビュジエの功績に対しては、建築家たちや建築愛好者からの追悼と称賛が続いています。彼の作品や理論は建築界において不朽のものとされ、彼の先駆的なアイデアは現代の建築においても活かされ続けています。


8. まとめ

  1. 概要:

    • ル・コルビュジエは20世紀の建築界で重要な存在で、モダニズム建築の提唱者として知られています。

    • 彼の建築理論やデザインアプローチは機能主義や合理主義を強調し、建築が機能と効率性に基づくべきだとの信念を広めました。

  2. 初期の経歴:

    • パリでの教育と美術運動への参加が彼の芸術的視野を豊かにし、後の建築哲学の基盤となりました。

    • ピュリスムやキュビスムなどの美術運動に参加し、抽象的なアートスタイルに触れました。

  3. モダニズム建築の提唱:

    • 機能主義の信奉と芸術性よりも構造と機能性の重視が彼の建築哲学の中心でした。

    • 新しい建築へのアプローチとして、伝統的な様式からの脱却を試みました。

  4. 主な作品:

    • ヴィラ・サヴォワ、ユニテ・ダビタシオン、シャンディガルなど、彼の代表作品は機能性と美的な調和を具現化しています。

    • 彼の作品はピロティやフリープランなどの新しい建築原則を導入し、モダニズム建築の特徴となりました。

  5. 影響と遺産:

    • モダニズム建築の確立から都市計画、教育への貢献まで多岐にわたる影響を与えました。

    • 彼の理論は後続の建築家によって継承され、その影響は現代建築においても感じられます。

  6. 死と遺産:

    • 彼は1965年に亡くなりましたが、彼の建築理論やデザインアプローチはその死後も建築界に影響を与え続けています。

    • 賛否両論の評価がありながらも、彼の先駆的なアイデアは建築の進化に大きな寄与をしました。

  7. まとめの詳細:

    • ル・コルビュジエは芸術と建築を融合させ、機能主義と美的な要素の調和を追求しました。

    • 彼の建築理論は現代建築においても重要であり、モダニズム建築の基盤を築いた建築家の一人として尊重されています。