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売出し前中古不動産マッチング、仲介手数料無料の家たち、その他の話(コンワダさん23週目)

 こんにちは、株式会社アーキロイドの津久井です。今週も社内で話題になった事例からいくつかを紹介します。バックナンバーはこちら

事例1:日本初 売り出し前中古不動産のマッチングプラットフォーム「ウルカモ」 2月10日より提供開始

―――リンク
今回リリースしたサービス:ウルカモ 
ツクルバの既存サービス:cowcamoカウカモ
―――概要
 中古住宅オンラインマーケット「cowcamo(カウカモ)」を展開する株式会社ツクルバが、「売買に手軽さとワクワクをもたらす新サービス」として「ウルカモ」の提供を開始しました。

トップページには「ウルカモ」しれない家が並ぶ。
物件ページで現在の住まいの様子が見れる。

 持ち家を売るかもしれない人(売却検討者)が住まいの情報を手軽に投稿して、買うかもしれない人(購入検討者)がその投稿にリアクションする、売出し前の中古不動産の「売買意向」マッチングプラットフォーム。※日本初のサービスでビジネスモデル特許出願中

サービスの仕組み(PRTimesより)

 ポイントは3点。1点目はウルカモしれない家を投稿すると、AI査定とプロによる内装査定を受けることができる。2点目はあくまでウルカモという意思表示なので媒介契約が不要で、匿名性が守られる。3点目は、購入検討者の購入意思が強いと分かってから、つまりマッチング成立状態から売却活動(媒介契約含む)をすれば良い。
 背景として、持ち家に対する価値観の変化があげらます。ツクルバが都内の持ち家所有者に実施したアンケートによると、「ライフスタイルの変化に合わせて住まいを変える」という価値観や行動を体現する層が増えつつあるそうです。家の購入は「一生に一度で、売るとしたら田舎に帰るか、やむを得ない転勤、という時代は終わりつつあるんですね。
―――この事例について思うこと
 昨年はリモートワークや地方移住などの影響か、東京23区が始めて転出過多を記録しました。ライフスタイルの変化に合わせて住まいを変える価値観が実態を伴ってきたと言えるでしょう。
 サービスの中身自体も売り手・買い手・仲介業者の三方良しの仕組みだと感じます。普通に家を売ろうと思ったら、まずは自分で売るか売らないかを悩み抜き、決心してから業者と媒介契約します。そうすると業者が買い手を探してくれます。でも売れるかはわからないし、仮に買い手候補が現れても金額等条件が折り合うかは分かりません。なんだか気が重いですよね。(筆者は家を買ったことも売ったこともないので、心情については想像です。)
 ウルカモはその名の通り「売るかも~」くらいのノリで登録できて、契約するのは自分が納得できた時で良い。Point of No Returnが従来よりもずっと先にある。早い段階でゼロかイチか決めなくてもいい。売り手側にもストレスが無く、仲介業者にも買い手を探さなきゃいけないプレッシャーが無い。買い手側は家具有りの現状の写真を見れて想像がしやすい。誰も損しない枠組みですね。成約事例などが発表されたらまたチェックしたいと思います。

事例2:仲介手数料無料で家が買える「チョク買い」2月10日より提供開始

―――リンク
今回リリースしたサービス:チョク買い
Non Brokersの既存サービス:いえうり
―――概要
 
不動産売却プラットフォーム「いえうり」を運営するNon Brokersが、「仲介手数料無料の不動産購入ポータルサイト」として「チョク買い」をローンチしました。一般的に不動産売買では、不動産会社(宅建業者)が売り手と買い手の間を取り持ち、契約を行います。この時、売り手と買い手の双方が不動産会社に仲介手数料を支払います。売り手が不動産会社自身という場合は、間に仲介業者が入らないので仲介手数料がかかりません。「チョク買い」ではこのような不動産会社が売主となる物件のみを掲載するそうです。

TechCrunchより

 不動産の購入希望者はの9割以上が不動産ポータルサイトを活用するとされています。通常のポータルサイトは物件数が多い一方、同じ物件を複数社が掲載していて、中には情報が異なる場合もあります。購入希望者の混乱を招いています。また、売り手にとっても大量の物件データの中に埋もれてしまうという問題があります。「チョク買い」はそうした双方の問題を解決します。
 Non Brokersとしては、既存サービスの「いえうり」と合わせて、家を売りたい人と買いたい人が直接マッチングできる不動産売買の新たなエコシステムの実現を目指すそうです。

TechCrunchより

―――この事例について思うこと
 不動産売買のマッチング・仲介、に関する事例が続きます。どちらも2月10日に提供開始です、すごい偶然。先程は売り手、こちらは買い手、どちらも名が体を表すサービスですね。
 一般的なポータルサイトは、様々な条件でフィルタ・ソートができますが、「仲介手数料無料」という検索条件はあまり目にしません。ですが手数料は決して馬鹿にできない金額です。例えば3000万円の家を買う時の手数料は105万6千円(売買代金の3%+6万円に消費税)です。物件価格は気にしていても、手数料や登記費用などの諸経費が想像よりもかかってくるものです。
 私達にとって家探しは、購入か賃貸かを問わず大きなプロジェクトです。不動産サイトは有名なSUUMOやHOME'Sの様にあらゆる物件を扱うサービスから、R不動産物件ファンなど運営者によってキュレーションされた様々な不動産サイトまで多岐にわたります。R不動産に載る物件が好みの人は、大手ポータルサイトではなくR不動産を見るでしょう。手数料無料の物件が良い人は、チョク買いを見れば良い。機械的でビジネス的な目論見ではありますが、現状の大手ポータルサイトには手数料無料フィルタがないので、R不動産などと同じように価値ある情報の整理だと思います。定性的か定量的かという違いです。売却不動産に限らず賃貸不動産でも同様の需要がありそうですね。
 同社の目論見としては概略図の通り、不動産売買エコシステムの一部になるようです。言い方はよくありませんが仲介手数料無料という餌で沢山の購入見込み客を集めることができそうです。

その他の事例

その1:人口800人の限界集落が「NFT」を発行したその後

 15週目コンワダさんで紹介した旧山古志村NFTの続報です。1万点のNFTが販売され、40%の購入者が初めてのNFT購入者だったそうです。このプロジェクトがNFT界隈に新たなユーザーをもたらしたわけです。
 当初のnoteでもこのNFTをデジタル住民票化するとしていましたが、このnoteでは改めて「山古志DAOへの挑戦」として、山古志地域を存続させるためのアイデアプランを、デジタル村民の投票によって決定すると発表しました。引き続き動向が気になります。(※DAO = Decentralized Autonomous Organizationについては、下記のnoteが大変わかりやすかったです。)

その2:自動プログラミングAIの「AlphaCode」をDeepMindが発表、競技プログラミングレベルのコード生成が可能

 Alphabet子会社のDeepMindが、競技プログラミングレベルのプログラミングが可能なAI「AlphaCode」を発表しました。AlphaCode以外にも自動プログラミングAIは存在しますが、414億ものパラメータを保持した特に精度の高いAIだそうです。精度の高さの重要性は、ソフトウェア業界では年間約35兆7000億円のデバッグ費用がかかっていることからもわかります。対応言語はC++、C#、Go、Java、JavaScript、Lua、PHP、 Python、Ruby、Rust、Scala、TypeScriptなど。
 当社アーキロイドでは、プロジェクトによって言語を使い分けていますが、C#, Python, jsをあたりをよく使います。近い将来、プログラムの概要を指示するメモを作成して、あとは自動プログラミングを利用できれば生産性爆上がりです。夢みたいな話が現実になる、そんな事柄の1つかもしれません。動作の様子はこちらのTweetで確認できます。

その3:受託事業と自社サービスについて

 事例紹介風自己note紹介です。当社は受託事業で売上ながら、誰もが住宅設計をできるプラットフォーム「archiroid.comを開発しています。同サービスをリリースしてから半年で8回のアプデをしました。そのアプデの概要と、受託事業と自社サービスの並行開発についての、現状でのまとめを記しました。お読み頂けると幸いです。(お金のこととかも書いてます。)

まとめ

 最後までお読みいただきありがとうございました。今週は「不動産回」となりました。先週は「マップ回」でした。来週は何回になるでしょうか。最後に「スキ♡」を押してシェアしていただけると励みになります。


「今週、社内で話題になった事例」 について
株式会社アーキロイドの社内で話題になった事例(ニュース、リリース、書籍、動画、論文などなど)のうち、いくつかをご紹介します。元記事の配信時期は必ずしも今週とは限りません。数ヶ月前、数年前のものもあるかもしれません。

社外にこれを発信することで、
①アーキロイドメンバーが日々どのようなことに目を向けているのか、を知ってもらいたい。
②せっかく読んでもらえるなら有益な情報をお届けするために、自分たちの情報感度をもっと高めていきたい。
という目論見があります。

メンバーも大半が30代に差し掛かってきたので、備忘録という意味合いが一番強いかも。ご笑覧ください。

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