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さらっと西洋建築史7〜ビザンツ建築について〜

395年ローマ帝国は西と東に分裂することになります。コンスタンティノーブルを首都に置く東ローマ帝国は、徐々に独自の建築文化を形成していくこととなります。

東西ローマ地図s

ローマ帝国の地図 放課後の夕焼け

その中で、15世紀まで続く長い歴史の中、東ローマ帝国で建てられた建築物を総じてビザンツ建築と呼びます。

ペンデンティブを活用した新たな建築ハギア・ソフィア大聖堂

初期のビザンツ建築であるハギア・ソフィア大聖堂はバシリカ建築の空間構成を持ちながらも、その構成の上に巨大なドームを乗せた形式の建物になります。

この構築物の巨大性は、ローマ末期の建築を受けついだものですが、一方、バシリカとドームの融合は今までにない新しい建築形式の出現を告げるものとなりました。
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ハギア・ソフィア大聖堂 写真:wikipedia


箱形空間の上にドームを乗せるという建築課題は、正方形の平面の上に円形の基礎を持つドームを架けるという技術的問題をはらんでいました。
その課題に関してハギア・ソフィアでは、ペンディンティブという新たな工法の開発により、それを実現します。

ペンデンティブに関しては以下を参照ください↓

ここで用いられたペンディンティブによるドーム建築はビザンツ建築の特徴の一つとして挙げられます。

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ハギア・ソフィア大聖堂 写真:wikipedia

ギリシア十字式教会堂のサンマルコ大聖堂

ビザンツ建築で最も有名なのはヴェネチアにあるサン・マルコ大聖堂ではないでしょうか。

サン・マルコ聖堂は西ローマ圏であるヴェネチアにて建てられたものではありますが、東ローマ帝国の首都コンスタンティノープルにあった聖使徒大聖堂を模して建てられたビザンツ建築として分類されています。

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サン・マルコ大聖堂 写真:wikipedia

教会堂の平面の中にギリシア十字型が形作られ、腕の交差する中心部にドームの架かる教会堂をギリシア十字式教会堂といいます。

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サン・マルコ大聖堂の平面図 西欧建築のドームについて

サン・マルコ大聖堂はギリシア十字式教会堂の代表作となります。

サン・マルコ大聖堂以降、ギリシア十字式教会堂の形式は、ギリシアにあるオシオス・ルカス修道院等、様々に踏襲されていくことになりました。

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オシオス・ルカス修道院 写真:wikipedia

ここで一つ、日本でも十字形の平面を基本としたしたとても有名な教会が東京に建てられています。

それは1964年に完成した故丹下健三氏により設計された東京カテドラル聖マリア大聖堂です。

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東京カテドラル聖マリア大聖堂 写真:丹下都市建築設計

コンクリートによるHPシェル構造の構造体にステンレスが貼られたとてもシャープで美しい形態は、サン・マルコ大聖堂とは似ても似つかない外観ですが、平面形式は同じ十字式で形成されています。

堂内の見どころは、天井にあしらわれた十字架形のトップライトです。

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東京カテドラル聖マリア大聖堂 写真:PHOTOHITO

建築の様式の歴史はつながり続けているものです。歴史を学び、様々な知識をもって建築を見て歩くことで、より深く、建築を楽しむことができますね。

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