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Poem

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Arimの詩…風のなかを通り過ぎる時、今日はどんな風景が広がるだろう…。それは、林の中を吹く風とは限らない。街の中を吹く風、貴方との境界を渡る風。…詩と歩く。
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2019年4月の記事一覧

Poem)花が咲くように、風は…

Poem)花が咲くように、風は…

懐かしい風が吹いてくる。
風そのものには匂いも音もない。
時々風が連れてくる風景は、
オーロラの裾のように、
風が衣を翻して通り過ぎながら
垣間見せるもの。
花が咲くように、
風の置き土産の包みが、
そっとほどかれる。

風は透明だけれど、
その体の中は時打っている。
風は、時の顔だと思う。
風は、時の手だと思う。
風は、時の足だと思う。

風は、遠い記憶を今に、
今日の記憶を明日へ運ぶ。
風は幼

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Poem)美しい音楽が流れてきた…

Poem)美しい音楽が流れてきた…

美しい音楽が流れてきた
この音楽を聴くために
生まれてきたのだと思ったら
幸せになった

花びらに朝露が結ばれて
白い花が咲いた
この花を見るために
生まれてきたのだと思ったら
楽しくなった

人の優しい心に触れた
深い眼差しのような
人の暖かな心に触れるために
生まれてきたのだと思ったら
涙が出そうになった
#詩 #現代詩

Poem)ポットンポットン…

Poem)ポットンポットン…

昨夜から、外でポットンポットンと
音がする。
夢の底で、水色の雨音を聞いていた。
ポットンポットンは土の上、ひっくり返したバケツの上、大きな木の葉に、出しっぱなしの黄色いサンダルの上に降りてきた。
ポットンポットンは、次から次から、天から伸びる雨糸の滑り台を伝わって降りてきた。

ポットン。ポットン。鳴り続く音。
朝、そっと戸口を開けてみると、
小さな葉っぱの子供が、土の上にたくさんの頭を
出して

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Poem)花の季節に歩く

Poem)花の季節に歩く

花の季節に歩く
木々が急に賑やかになったと
話しているだろう
音はどこから来るのだろうね、
と友人と話す
花はどこから来るのだろうね、
と、まるで同じような質問を
したくなる
誰かが答えてくれる、そんな楽しみを
袋に詰めて歩いてみたいのだ
#現代詩 #詩

Poem)風のようで

Poem)風のようで

今日も桜の花びらを
伝説のように追う
毎年咲きこぼれる花弁は
秘密の時間のある場所に
堆積されていく

ものみなひかり
ものみな消えていくのだけれど、
記憶とは、形がなくなるものの
永遠の姿。
それは、風のようで、
光のようで、
目の前を飛ぶ蝶のようで。

夕焼けの夢のように
本当にあったことですよ、花は咲いては
記憶のつづきを繋げていく
#現代詩 #詩