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エンドロール!その表現があったか

なるほど!あのCM、実は医療従事者に感謝するメッセージだったんですね。

エンドロールには、林遣都さんを支えた人たちの名前や顔がズラリ。
医療現場の裏方さんもスターになれるなんて、素敵じゃないですか。
EMシステムズという医療業界のITソリューションを提供している会社のCMだそうです。

映画みたいな感動と余韻のあるCM、すごいですね。
このCMの秘密を知りたくなりましたか?
今回は、映画っぽさとリアリティーにこだわったクリエイティブ手法について紹介します。

クライマックスからエンドロールという前フリなしの表現手法

このCMの最大の特徴は、クライマックスからエンドロールという前フリなしの表現手法です。

通常のCMでは、商品やサービスのメリットや特徴を伝えるために、ストーリーやキャッチコピーなどを用いて視聴者に訴求しますが、このCMでは、視聴者に驚きや感動を与えることで、印象に残るように工夫されています。

企画を担当した電通の村田俊平さんは、「人の心に残るなら、訴求ポイントはひと言で言えたほうがいい」と話します。
そのひと言とは、「私たちを支えているのは医療従事者。じゃあ、その医療従事者を支えているのは誰?」です。

このメッセージをインパクトのある表現でCMにしたいと考えたとき目に入ったのが、映画のエンドロールだったそうです。

「映像業界にいても、エンドロールを見ると、『こんなにたくさんの人が携わっているのか』と驚くんです。知らない職種を見ると、『どんな仕事だろう』とも思う。医療の現場も似ていて、お医者さんや看護師さんだけでなく、リハビリをしてくれる理学療法士さんや、薬剤師さんもいる。患者側から見えている人、見えていない人にかかわらず、たくさんの人が携わっています。
そこに類似性を発見して、これは企画になると思いました」と村田さんは語ります。

イントロ0秒ですぐサビメロというタイムパフォーマンス時代にマッチ

このCMは、イントロ0秒ですぐサビメロというタイムパフォーマンス時代の楽曲にも通じるトレンドを捉えています。

最近では、音楽配信サービスやTikTokなどの動画アプリで、曲の最初の部分が聴き手の心をつかむことが重要になっています。
そのため、イントロを短くしたり、サビメロから始まる曲が増えています。

このCMも、視聴者の注意を引くために、最初からクライマックスを見せるという手法を採用しました。

また、音楽にもこだわりBGMは、WANDSの「愛を叫びたい」です。

人の心に残るユニークなものに

このCMは、「人の心に残るユニークなものにしたい」というクライアントのトップの思いが、クライアントの社員・家族、視聴者、取引先から評価されるCMに結実しました。

EMシステムズの國光宏昌社長さんは、「当社は40年以上前から医療業界のデジタルシフトやDX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進めてきましたが、一般への認知が低いという悩みがありました。それを解消するために、インパクトのあるものを作って爪痕を残したかった」と話します。

國光社長さんは、コンペをせずに電通に依頼し、クリエイティブに口を挟まないようにしたことも成功要因だと語ります。
「コンペをすると、『こうしたほうが採用されやすい』といったノイズが入り、思い切った企画が出にくいと思うんです。それから、この業界に長くいると、1つ1つの言葉の正確さが気になったりするのですが、それを正すとどんどん説明的になって、メッセージが伝わりにくくなる。クリエーティブの方々は我々の何倍もの幅で考えてくれていますし、素人が口を挟めば挟むほどチープになると思ったので、電通さんに全幅の信頼を置いて制作しました」と國光社長さんは言います。

(とても、納得です)

完成したCMは、EMシステムズの社員だけでなく、医療従事者や業界関係者からも好評でした。
「個人的には昨年一番と言っていいくらいの温かい反響を感じました。SNSを見ると、医療従事者の方が、『エンドロールに私の職種もあった』と喜んでくださっていたり、『これだけの方が医療に関わっているんですね。ありがとうございます』と感謝している方がいたり。ほかの仕事では見ることができないコメントが多く、すごくありがたかったです」と村田さんは語ります。

さいごに

このCMは、医療業界の裏方的な仕事を紹介するとともに、医療従事者への感謝と敬意を表現するものです。

映画のエンドロールを模した演出は、多くの人が医療現場で働いていることを視覚的に伝えるとともに、視聴者の興味を引きます。

また、林遣都さんなどの有名人を起用することで、CMの注目度や認知度を高めています。

このCMは、EMシステムズの初めてのテレビCMとして、同社の存在感やブランドイメージを向上させる効果が期待できたのではないでしょうか。

クリエイティブのお手本として、とても参考になりました。

出典:
林遣都「エンドロール風CM」ができるまで 医療従事者からも反響

林遣都さん出演 株式会社EMシステムズ初の企業TVCM「エンドロール」篇 11月27日(日)から全国放映開始



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