すぐ恥ずかしくなる。恥ずかしくても表に出さず朗らかにして見せてる偉い人がたくさんいると思うから、自分のシャイが実際どの程度なのかは分からないけど。

まず定番で、ライブで体を揺らしたり拳を掲げたりペンラを振ったりするのが恥ずかしい。コールアンドレスポンスで声を出すのも恥ずかしい。それらを楽しんでやってらっしゃる人のことを恥ずかしいヤツと思うわけではない、自分がやるのが恥ずかしい。だからライブには行かない。テニフェスには連載が終わる前に行きたい。『リョーマ！』の応援上映も行きたい。ペンライト使うの初めてでも行っていいかな。

車を運転していて、狭い道で譲りあう時のハンドサインが恥ずかしい。どうぞ、と譲る意思を示す仕草も、ありがとう行かせてもらいます、と伝える仕草も。見ず知らずの方にいきなり手の動作のみでコミュニケーション図るとか何かすごくないかな。チャラくない？(チャラくない。)でも車ではあれ以外に相手に意思を伝える方法がないから仕方ない。思い切り目線を逸らしたままソソクサッて手を動かして、逃げるように走り去る。心拍数が上がって、すれ違った直後はひと仕事終えた気分になる。なぜか「はぁ。よいしょ」ってひとりごとを言っちゃって多分ドラレコにその声が録れててそれも恥ずかしい（それはそう）。

ラジオ体操も恥ずかしかった。ちびまる子ちゃんがラジオ体操のガニ股になるやつを恥ずかがってるシーンを読んだ時、わっかる～となった。でも私はガニ股以外も恥ずかしい。あれをみんなで時間を決めて集まってやってる状況もなんか恥ずかしい。本当に失礼なことでごめんなさいだけど「ｳﾃﾞｦお～ぉきく振るｳﾝﾄﾞｰ」とかのあの抑揚もちょっと共感性羞恥ってヤツで厳しい。

ドッジボールも恥ずかしかった。ボールで狙われて大勢でわらわら逃げ惑ってるの恥ずかしいし、人にボールを当ててやろうと意気込むのも恥ずかしいし。ボールにぶつかる瞬間ももちろん恥ずかしい。あんなのスポーツじゃないだろうと今でも私怨すさまじい。それはそれとして人にテニスボールをぶつけて戦い抜く熱い青春漫画『テニスの王子様』のことは大好き。

学校でやった運動だと、運動会の大玉転がしも何か恥ずかしかった。なぜわざわざあんなでっかい球を作成して、そしてそれを必死で転がすんだ？恥ずかしい運動会の競技と言えば組体操も外せない。あれはほんと...ほんとに...ナニ...?這いつくばったり開いたり人間同士で段々になったり...カッコいいかと言うと決してそうでもない完成系の数々を...担任が好きと言うだけの理由で選ばれたjpopに合わせて.......ナニ.....？最近やらないところが増えていると聞いて、そりゃそうだよと思ってる。

『ホテル・ニューハンプシャー』のフランクは、主人公で物語の語り手である弟から、体の動かし方がとにかくドンくさくてイケてないと評される。「生まれながらにしてどうしても動き方がヘンテコな人がいるものだがうちの兄がそれ」みたいな風に言われていたと思う。うろ覚えだけど。何でも自分に置き換えて自意識過剰だなぁとは思うけれど、自分も動きがギクシャクしてしまうことがあるから、このフランクの言われようが他人事と思えなくてヘコんだ。小説の最後辺りで、主人公のフランクへの評価が爆上りしているのを見た時、なんか我がことのように嬉しかった。

バスツアーが恥ずかしい。家族はバスツアーが好きだから何度か一緒に参加したことがあって、その際家族は純粋に楽しんでいたから、これは今後も家庭内では秘密にしていきたいことなのだけど、恥ずかしい。「観光客による観光のための観光地巡り」をすべく集まった集団で、意気揚々とそぞろ歩くのが、恥ずかしい。これもバスツアーに参加する人を恥ずかしいヤツと思っているのではなくてただただ私の問題。

温泉も銭湯も、以前は誘われて人並みに利用していたけど、自分の恥ずかしさに忠実になった今となっては論外。

そんなわけで、もしも富士山をみて「お～っ！」と言っている人たちと同じバスに乗り合わせることになったら、きっと恥ずかしいと思うだろう。

ラジオ体操のスタンプ全押しをクリアして、クラブで華麗に踊り、車内運転席から爽やかにすれ違いサンキューサインを送りながら山を登って野外ライブに参戦して騒ぎ、フットワーク軽く団体ツアーでお出かけしてはソフトクリームを食し、富士山にホッコリ感動して、大衆浴場でサッパリしてから扇風機の前で牛乳とか飲めるようになりたいのかというと…

そういうこともない。

自分を解放せずに諸々を恥ずかしがってやらない状態の自分が自分としてはいちばんマシで、自己肯定感をそれなり維持できるんだと思う。