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映画が始まる。航海前夜

前回noteを投稿してからずいぶん時間が経ってしまった。あのときは、クラウドファンディングが終わり、映画を出港させられる喜びを切々と綴っていた。その中でわたしは、これからは映画をかけてくれる映画館をお客さんでいっぱいにできるように頑張ろう、という決意を固めていたのであった。

あれから、3ヶ月近く経った。そしていま、来週の2月16日からいよいよ劇場公開が始まる。最初の映画館は、東京のシネマ・チュプキ・タバタ。日本で唯一にユニバーサルシアターである。

実は、去年、上記のnoteを書いた時点では、3月7日-19日で東京・恵比寿の東京都写真美術館ホールでの上映が決まっていたので、これが劇場プレミアになる予定だった。映画の世界では、最初に映画をかける劇場というのはとても重要である。あの劇場でかけるんだったらうちも・・・的に決まって行ったりするらしい。だから、東京都写真美術館ホールが決定した時は、あー、よかった、ありがたい、と心から感謝であった。ところが、まずそれが3週間も前倒しになってしまった。しかも他の劇場が先行するというありえない展開。それは、もう、映画業界のあれこれをまったくよくわかっていないわたしのせいだ。間違いない。すみません。

何はともあれ、公開は早まった。そして、来週からなのである。
毎日、シネマ・チュプキ・タバタでのサイトで予約状況をチェックする。幸い、なかなかのペースで席が埋まりつつあり、すでに最初の3日間は満席に。ほかの土日も残り少ない。

https://coubic.com/chupki/559174#pageContent

あー、よかった!

いやもう、感慨にふけりたいのだが、そんな暇はまったくないのが現状。この3ヶ月の間に、クラファンのリターンを発送し、試写会をひらき、宣伝に精を入れ、SNSで発信し、ポスターやチラシを作って送り、パンフレットを製作し、DCPを発送し……とやること多すぎ!!!


わたしは手書きの日記をつけている。
そこからちょっとだけ抜粋してみたい。

1月14日
メディア向け試写会@東京都写真美術館ホール。100人以上の方がきてくれて、大変な賑わい。久しぶりにお会いした方も。大学の先輩や友人などが、受付などを手伝いに来てくれる。ありがたい。映画に出てくる作品の作者、風間サチコさんも登場!!いやー、とにかく無事に終わってよかった。前日にギリギリ特設サイトオープンという・・・。


1月19日
ポスターが完成!!映画館に発送!!
そして、映画館にチラシなどのデータを送ることができた。
クラファン用の特別鑑賞券も入稿した。午後は、MOTION GALLERYのポッドキャストの収録と雑誌「アートコレクターズ」の取材を受けるともう夕方。すでに燃え尽きた。

1月20日
朝4時に起床。午前中はパンフレット用の原稿を書く。『午前4時の試写室』というタイトルの文章になった。他の原稿もほとんど集まってきた。良いパンフレットになりそうな予感!!

午後からは集英社インターナショナルのKさんたちの今後の映画と本の連携について相談。オンライン会議OKのコーヒー屋さんにて話す。

1月23日
クラウドファンディングのリターンの発送。SLくん、Sさん、Aさん、三好と私の合計5人で。我々の作業を心配した妹のサチコが、知り合いの日中使ってない部屋を借りておいてくれたので、広々ゆったり作業できてありがたい。SLくんは色々緊張して、前日2時間しか寝れず「もうボロボロです」と言いながらやってくる。途中で、荷物の一部が厚さ3センチを超えていてクリックポストで送れないことが発覚。パニックになりながら、やけになって普通郵便に変更。恵比寿の事務所では、パンフレット作りが進行中で、「発送作業が終わったら色々打ち合わせしたい」と言われていたが、全くできず。郵便局が終わる5分前に駆け込んだが、一部は送るところまでいかずに断念。

1月24日
三好くんも再び事務所にきて、みんなでパンフレットの打ち合わせ。固まってないテキストを書き、写真のセレクトを行う。細かいキャプションも書く。その間になぜかパンフレットのページ数が32ページから36ページに増えていた。パンフレットの進行はギリギリで、チュプキにはもはや間に合わない。ごめんなさい。

1月26日
以前から上映を希望していた鳥取の某所にメール。6月に再び鳥取での上映が決定した。

1月27日
今日もパンフレット用の原稿を書く。

1月28日
急に思い立って、中崎透さんの展示を見に水戸芸術館へ。森山さんなどにも会えてよかった。サイン本も作らせてもらい、できたてほやほやの映画のチラシを置いてもらう。映画の舞台となった千波湖にも寄る。白鳥も見られた。ラッキー。カフェをしていたら、「川内さんですか」と話しかけられる。なんと私も有名になったもんだ!!と思っていたが、会ったことはないけれど、間接的にこの映画でとてもお世話になっている方だった。

1月29日
近所の友人のひなえちゃんとたかくんが家に遊びにくる。「海外の映画祭とかにも出したいですねー」という話に。ああ、英語字幕版を作らないと・・・。翻訳してくれる人を探さないといかん。実は2社から見積もりをとったところ、完全に予算オーバーで絶望していた。もう少し探そう。ほんとに。

午後から近くのカフェで紅茶を飲みながら、突然増えたパンフレット用の対談原稿をまとめる。無線綴じだと2Pずつページを増やせてしまうのでどんどん分厚くなっている。しかも三好くんが書いた「バリアフリー版を作る」という原稿の長いことといったら。なにこれ。もはや本編には入らず、はさみこみにするも、それ自体が8Pの冊子になるとか。なんてこった。

1月30日
シネマ・チュプキ・タバタへ。Preciousという雑誌の撮影。インタビューでは意外と熱く「誰もが違いを楽しみ社会」について語る。夕方は再び宣伝チームとの打ち合わせ。

夕方はSNSチームとの打ち合わせ。こちらの打ち合わせは和やかでちょっと癒される感じ。Facebookをもっと運用しないと。

1月31日 
再びパンフレットの打ち合わせ。監督初回ページを作るという話になり、なんと38Pに!もうこれ以上ページは増やさないぞ!
大阪の映画館からメールが。上映日程が決定しそう。

三好くんからメッセージ。某映画祭の特別招待作品になることが決まったそう。やったー!

2月1日
出張で大分へ。小鹿田焼の取材。いろいろ焼き物を買ってしまい、荷物を増やしまくる。だって素敵なんだもん。
取材のあと、シネマテークリベルテ日田を訪問。コーヒーを飲んで原さんと色々話す。適度にパーソナルな空気が心地よい。ここでも上映できるかな?できるといいな、と思いつつ宿に戻ると、「上映とトークしましょう」というメッセージ。嬉しい。夜は大分のビジホから三好くんとスペースで話す。30人くらいの人が聞いてくれていた。スペースが終わったあとも、SNSチームと話し続けてしまう。仲が良くてよいことだ。

2月2日
ツイッターで、チラシ応援団を募集。要するにチラシを置かせてくれる場所を募集!続々と手をあげてくれる人が。すごい。別に上映場所と近くなくとも気にせず送る。映画を知ってもらうきっかけをとにかく作りたい。

2月3日
気がついたら雑誌やオンラインメディアからの取材の依頼が続々と。全部受けられるのかわからないけどなるべく引き受けたい。なんとか20くらいのメディア掲載が決定した。映画は本当にあっという間に上映が終わってしまう。いまが勝負なんだろうな。

2月4日
実家のリフォームの打ち合わせをした後恵比寿へ。事務所でパンフレットの全ページを確認する。やっぱり38Pだ!
奈良県立図書情報館での特別上映会(2月23日)の情報がいよいよアップされる。吉田亮人さんの展示の一環での企画。
映画の題字を書いてくれた矢萩多聞さんとトークだ。キャパ100人です!たくさんきてくれるといいな。

2月6日
岩波書店の「図書」という雑誌に寄稿する。映画の話をということだったので、パンフレット用の原稿をさらに長く拡大して書く。パンフレットは無事に校正の牟田都子さんの手にわたった。バンザイ!

2月7日
色々な調整事項が山積みで三好くんと5時間くらい連続打ち合わせ。今後の上映やゲストのブッキング、地方にいく交通手段など、いくら話してもまだ話すことがあるという恐ろしさよ・・・。

朗報は、英語翻訳をしてくれそうな人が見つかりそうなこと。

2月10日
雪の中、自転車を飛ばして吉祥寺へ。牟田さんから校正紙を無事にピックアップ。喫茶店などでチェックしようか、と妹の佐知子に提案すると、うちにきてやりたいとのことで、自宅に戻る。お茶を飲んでひといきすると早速サチコがきて、その後三好くんも。お昼ご飯にうどんを食べたあとは、3人でひたすら校正紙を向かい合う。窓の外は雪。なんとか夜までに全ページ終えて、佐知子は恵比寿に帰っていった。


とまあ、わたしはこんな感じの日々である。やること多すぎて倒れそうだけど、やることがなくなるとまた倒れそうだから、これはこれで良いのかもしれない。

さてさて、今後の詳しい上映情報はぜひ特設サイトへ!

シネマ・チュプキ・タバタ 2023/2/16〜2/28
奈良県立図書情報館
 2023/2/23
上田映劇 2023/3/3〜3/16
東京都写真美術館ホール 2023/3/7〜3/19

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