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乳児保育で大切にするべき8つのこと!現役保育士が解説!

来年度の担任発表をされ、初めての乳児クラスに配属されてどうしようと思っている方がいるのではないでしょうか?

「初めて乳児と関わるけど、どうしたらいいか困っている」
「言葉を話さないからあまり反応がないし、自分が一方的に話しかけているみたいだけど、これでいいの?」
「なんで泣いているのか分からない」

新卒の保育士さんが、いきなり乳児保育を担当するとなると、より不安も大きいのではないでしょうか。また保育学生さんも乳児クラスの実習に入る前はドキドキしますよね。

そのような保育士さんや保育学生さんに向けて、乳児保育で大切にするべきことを現役保育士がお伝えします。筆者は保育士10年目で、10年間乳児クラスを担当してきました。現役保育士からみた細かい乳児保育のポイントもお伝えできたらと思います。


乳児保育で大切にするべき10のこと

乳児保育とは0.1.2歳児の子どもを対象に保育をすることです。この時期の子どもたちは、著しい発達をしていきます。その中で日々、大人からの丁寧なサポートが必要です。

ここでは、保育士が大切にするべきことを現役保育士の目線で伝えていきます。

①愛着関係・アタッチメントで信頼を深めて

乳児保育には特定の大人との愛着関係・アタッチメントが欠かせません。

特定の大人との愛着関係が形成されてから徐々に人間関係が広がっていきます。

保育園でもいつも同じ保育士が対応して、まずは特定の保育士との愛着関係を築くことを意識するといいです。

クラスの中でも複数担任の中でゆるやかな担当制にしてもいいでしょう。対応できないときは臨機応変に対応してください。

生理的欲求を言葉にしながら満たしていくこと、スキンシップを多くとっていくことを意識しながら愛着関係を築いていくことが大切です。

②生活リズムは家庭から引き継ぐ

保育園には家庭によって様々な保育時間や家庭のリズムの子が登園してきます。

朝起きる時間、夜寝る時間、朝ご飯を食べる時間など家庭によって様々です。

そんな子どもたちが保育園にきて、全員が同じ時間に寝る、食べる、遊ぶをするわけにはいきません。

たとえば、朝登園の早い子は、午前寝をさせたり、登園の遅い子はお昼ご飯を遅くしたりなど工夫しましょう。。

家庭のリズムを引き継ぎながら個々に合わせて園での生活リズムを整えていくことが大切です。


③見守る位置は常に横

子どもの表情を見るためや顔を合わせるために正面で見守る保育士も多いかもしれませんが、見守る位置は横がいいです。

なぜなら大人が正面にいると、せっかく集中して遊んでいるのに視界が遮られて邪魔をしてしまうからです。

また1人でじっくり遊んでいたのに大人を見ると助けをすぐに求めたりします。これは自分で考える力や自立する力、遊ぶ力の妨げになってしまいます。

また子どもが集中して遊んでいる時は声をかけずに見守ることも大切です。

横で見守りながら、子どもがこちらを見た時に初めて「できたね!」「おもしろいね」など、褒めたり、共感する言葉をかけることが大切です。

目を見て頷くだけでも充分です。安心できる人がそばにいて「みてるよ」というメッセージを伝えるだけで安心して遊ぶことができます。


④五感の刺激を出来るだけたくさん与える

乳児期に五感を刺激する体験をたくさん行うことが大切です。

なぜなら五感を刺激することで、脳が発達して成長をするからです。

赤ちゃんの脳細胞の数は大人とほとんど同じですが、神経細胞はまだ繋がっていない状態です。神経細胞が繋がっていくときに「シナプス」という接続部分を作っていきます。

そのシナプスを増やすためには、五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)の刺激が必要なのです。

意図的に保育の中に取り入れるには、食育活動や感触遊び、ベビーマッサージやスキンシップ遊び、わらべうたなどを活動中に行ってもいいでしょう。

筆者は、ジョイントマットに様々な感触のもの(芝生、卵パック、半分に切ったテニスボール、ジップロックに入れたスライムや寒天、小豆やビーズ、)を貼り付けた五感を刺激するセンサリーマットを手作りしていました。

赤ちゃんはハイハイを促す一つの環境設定にもなりますし、歩けば足の裏の刺激にもなります。

雨の日の活動や、0歳児クラスのお部屋の床に常設してもよいでしょう。

⑤発達を促す遊びの工夫

月齢を重ねるごとにどんどん成長していく乳児期は、発達段階にあった遊びをしながら発達を促す必要があります。

例えば、ハイハイでなかなか前に進めないような赤ちゃんに対しては、目の前に大好きなおもちゃを置くことで、「前に進みたい!」という気持ちを引き出して赤ちゃんの発達を促すことができます。

、他にも、保育者が足の裏に大人の手の平で壁を作ってあげて蹴る感覚をつかませてあげと、うつぶせの時間が長くなり、腹筋や胸筋の発達に繋がります。

このように目の前にいる子どもをしっかり観察しながら発達を促す遊びの工夫をしていくことが大切です。


⑥興味関心をキャッチして活動に活かす

子どもの興味関心を捉えて日々の活動に活かすことが大切です。

例えば、消防車や救急車など働く車が大好きでブームの子どもたちには、実際に近くの消防署にお散歩に行く活動を取り入れてみましょう。

また、ダンゴムシに触れて丸くなる面白さや捕まえる面白さを感じている子どもたちには、園庭の様々な場所で虫探しをしたり、散歩先でも園内で出会わない虫に触れるられる機会を作ってみてはいかがでしょうか。
捕まえた虫を部屋でケースに入れて観察し育ててみてもよいでしょう。

このように、子どもたちの今の興味関心をキャッチして活動に取り入れることで、遊びが盛り上がります。また子どもたちが興味関心があることは自分で学ぼうとして、成長にも繋がります。


⑦発達・興味関心に沿った環境つくり

先程も述べたように子どもの興味関心を捉えることが重要ですが、その環境をさりげなく整えることも大切なことです。

例えば、先程の消防車の例でいうと、様々な種類の消防車の写真をラミネートして壁にはったり、消防車などの働く車の絵本や図鑑を用意したりすることで、子どもたちの興味関心をさらに深めることができます。。

ここで今興味関心のある消防車だけでなく、働く車の絵本を用意することで、パトカーや救急車、工事現場の車に興味が広がるかもしれません。

このように興味関心を広げる環境や保育士の工夫があると、より興味関心が発展してきます。


⑧食事は丁寧に!

乳児期の食事は、個々の発達に合わせた食事の形状、大きさ、柔らかさ、食器や食具を提供することが大切です。

離乳食の段階では、段階にあった舌の動かし方を丁寧に見ていくことや、手づかみ食べを経験していくこと、咀嚼を促すことなどが重要です。

保育士だけでなく、看護師、調理師、栄養士と連携をとりながら見守っていく必要があります。また家庭とも情報を共有しながら、園と家庭で同じように進めていくことも大事なことの一つです。


⑨目線は低く表情は穏やかにゆっくり動く

保育者の声、表情、動きなど、人的環境も環境設定の一つです。

小さな乳児は特に目線は低くすることが大切です。なるべく立ち上がらず低い姿勢を心がけましょう。

表情は穏やかにすることも大切です。言葉を話さない乳児は特に大人の表情を読み取っています。

ゆっくり動くことも大切です。ねんねの赤ちゃん、小さい子どもの周りをバタバタと動き回っていると子どもたちは落ち着きません。

せっかく集中して遊んでいたのに、目の前の大人が立ち上がったり、入れ替わったりすることで遊びが終わってしまったりします。
出来るだけ大人の移動は少なくすることも大切です。


⑩保護者と共に子育てをする意識をもって

保育士の大きな役割の一つとして「保護者支援」があります。

特に乳児保育を受け持っていると、保護者の方も育休復帰明けで、仕事と育児、家事の両立に悩んでいる方も多くいると思います。

基本的に保護者の話をよく聞きましょう。。
その上で

「ただ聞いて欲しいだけなのか」
「答えが欲しいのか」
「実は本当の悩みは別にあるのか」

など保護者の隠れた思いにも気づくことも大切です。

保育士は、気持ちに寄り添って共感すること、「子どもの成長を一緒に見守っていますよ!」というメッセージを常に出しながら保護者も安心して園に預けてくれるように目指すことも大切です。


乳児保育に向いている人の特徴


次に乳児保育に向いている人の特徴5つを伝えていきます。

①赤ちゃんが好き

赤ちゃんが好きではないと乳児保育は出来ません。
言葉を話さない赤ちゃんでも、関わることがおもしろい!と思うことが出来ないなら乳児保育を楽しめないでしょう。

②お世話が好き

乳児保育は基本的に生活です。おむつ替え、食事、着脱、寝かしつけなど、生活のお世話をしながら、言葉にして伝えていくことが大切です。
おむつの匂いが嫌…食事援助で汚れることが苦手という方は向いていないかもしれません。

③表情が豊か


子どもは大人の表情をよく見ています。言葉が話せない赤ちゃんは特に大人の表情を読み取っているのです。笑顔でいることは子どもたちに「安心」を与えるでしょう。

しかし保育士は笑顔だけが重要ではありません。例えば子どもが悲しいとき「悲しかったね」という言葉をかけながら、悲しい表情を浮かべている子どもと同じように、悲しい表情をする。

これはミラーリング効果といって、言葉だけでなく表情も同じようにすることでより共感してもらえたと感じて信頼関係が深まります。普段から子どもの気持に寄り添いながら、表情豊かに過ごせる人は乳児保育に向いていると思います。


④ゆっくり動いて喋る

基本的にテキパキ忙しなく動き回る人よりも、ゆっくりまったり穏やかな動きや喋り方をする方が向いています。

乳児保育は特に大人も環境の一つです。ねんねの赤ちゃんや、まだ小さな乳児にとって、大きな大人が頭上でバタバタ動き回っていると落ち着きません。

また発語を促す大事な時期が乳児期です。身近にいる大人がゆっくりはっきり話すことが、発語に繋がっていきます。また早口で話してしまうと、乳児にとって理解が追いつきません。

テキパキ動く元気な人は幼児保育のほうが向いています!

⑤コミュニケーション力がある

保育は子どもとの関わりだけでなく、大人同士のコミュニケーションもとても大事なことの一つです。

なぜなら、乳児保育は幼児保育より子どもに対する大人の配置人数が多く、大人同士の連携がより求められるからです。

0歳児は大人1人に対して子どもが3人。0歳児クラス9人定員のクラスならば担任は3人。
食事や着脱などの養護の場面など、時間帯によっては非常勤さんや看護師などが入ることもあります。クラスの中で5人の大人が入りながら連携をとって動き合います。

どんな人とも良い関係を築きながら保育に入らなければいけません。

特に言葉を話さない乳児は大人の表情や雰囲気を察する力がとてもあります。
大人同士の険悪な雰囲気のあるクラスは、子どもたちが落ち着かない、荒れてしまう、ということも多いです。

逆にクラスに入る大人同士が良い雰囲気で仲の良いクラスは本当に子どもたちが落ち着いています。

これは筆者が受け持ったクラスで両方経験済みです。

先程も伝えましたが、大人も環境設定のひとつです。
大人同士の関係性をうまく築くことがクラス運営の秘訣ともいえるでしょう。

幼児保育ならば一人担任で自分の好きなようにクラスを作ることができますが、複数人とクラス運営をしていかなければならない乳児保育は、コミュニケーション力があり、どんな人とも良好な人間関係を築くことが大切です。


乳児保育で感じるやりがい


筆者が10年間、乳児保育を経験してきた中で感じたやりがいを3つ伝えていきます。


①深い信頼関係が築ける

まだまだ大人のサポートがいる乳児の子どもたち。日々の排泄、食事、着脱など生活面のお世話をする中で深い信頼関係を築くことができます。

保育時間は7時間から12時間以上。長い子は睡眠時間を除いたら家にいる時間より保育園にいる方が長い子が多いです。

そのため、長い時間一緒にいる保育士とは本当に深い信頼関係を築くことができます。

0歳児クラスなら特に後追いをしてくれたり、人見知りの時期になると担任以外受け付けない、という姿も出てきます。これは乳児保育ならではの姿だと思います。

「〇〇先生じゃないといや」
「〇〇先生がいい!」

と自分を求めてくれると嬉しい気持ちになります。


②著しい成長が近くで見られる

乳児期は特に成長が著しいです。

寝返りやはいはい、歩行などの身体発達だけでなく、お友達とのやりとりでの心の発達など。

昨日できなかったことが、今日できるようになったりします。

何かが出来るようになるまで毎日、丁寧に伝えていくことや繰り返しの援助が根気強く必要ですが、子どもの成長に立ち会えた時の喜びと感動はとても大きいです。

③保護者からも頼りにしてもらえる

保護者との信頼関係を築くことが出来れば、日々の送迎時や連絡帳で悩みを打ち明けてくれたり、育児相談も気軽に伝えてくれたりします。

保護者の方から頼りにしてもらえている、と実感すると嬉しい気持ちにもなります。

また、気難しい保護者などもいるかもしれませんが、そんな保護者にも日々の送迎時に子どものエピソードを伝えたり、保護者を労ったり毎日の小さな積み重ねをし続ける中で、自分に心を開いてくれた時は、やりがいを感じるかもしれません。

筆者も年度末には担任をしたクラスの保護者から

「〇〇先生で良かった」
「毎日お迎えに行くと〇〇先生に元気をもらえていた」
「私の心の支えだった」

というありがたい言葉を頂いたことがあります。

筆者の中で「保護者に寄り添う」
ということをずっと心の中で大切にしてきたことの一つでした。

毎日必死で目の前のことをやっていたけど、保護者の方々にそんな風に思ってもらえていたこと、自分の存在が保護者の方々にとって力になっていたことが本当に嬉しくて、来年度も頑張ろう!という意欲にもつながりました。


まとめ


この記事では乳児保育について
「大切にするべきこと」
「向いている人の特徴」
「やりがい」
の3つのことに関して
現役保育士の筆者から解説しました。

⚫︎乳児保育とは0.1.2歳児の子どもを対象に保育をすることです。

⚫︎乳児保育で大切にするべき10のことです。
①愛着関係・アタッチメントで信頼を深めて
②生活リズムは家庭から引き継ぐ
③見守る位置は常に横
④五感で感じる体験を出来るだけたくさん与える
⑤発達を促す遊びの工夫
⑥興味・関心をキャッチして活動に活かす
⑦食事は丁寧に
⑧発達・興味・関心に沿った環境作り
⑨目線低く・表情は穏やかに・ゆっくり動く
⑩保護者と共に子育てをする意識を持って

⚫︎乳児保育に向いている人の特徴は5つです。
①赤ちゃんが好き
②お世話が好き
③表情が豊か
④ゆっくり動いて喋る
⑤コミュニケーション力がある

⚫︎乳児保育で感じるやりがいは3つです。
①深い信頼関係が築ける
②著しい成長が近くで見られる
③保護者からも頼りにしてもらえる

筆者は乳児保育が本当に大好きです。
10年間、専門的に乳児保育について日々子どもたちからも学びながら、楽しんできました!

これから保育士を目指す方、現役保育士の方がこの記事を見て、乳児保育について参考にして頂ければ嬉しいです。


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