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【メディアCheck】HugKum:離婚後は誰が「親権」を行使する? 国会で審議入りした「共同親権」のメリットや問題点も解説(2024年4月1日) その2 太田啓子弁護士

太田啓子弁護士が、このnoteの記事【メディアCheck】HugKum:離婚後は誰が「親権」を行使する? 国会で審議入りした「共同親権」のメリットや問題点も解説(2024年4月1日) について、X(Twitter)で引用ポストされています。
ご本人の了解をいただきましたので、こちらに掲載します。



(引用ここから)

@hugkumweb 小学館 @Shogakukan_Pubの子育て情報メディアの、共同親権の解説がことごとく間違っており、法的監修を経ないでこういうことをやるのはあまりにメディアとして無責任で罪深いです。今国会審議中の法案なのにこんなに読者に誤解与えて、どう責任をとるつもりなのでしょう
#共同親権を廃案に

誤り①「共同親権が認められれば、親権を巡って争う必要がなくなります」

→単独親権か共同親権かの争いがむしろ増えます。共同親権とした上で監護者をどちらに指定するか熾烈な争いは続くでしょう(今も親権者より監護者争いがメイン) 監護の分掌についても揉めます

誤り②「共同親権となれば、別居親にも子どもと関わる権利があるため、面会や交流がより円滑に」

→単独親権の今でも、非親権者/別居親も子の監護に関わる、面会も可能(民法766条)家裁手続もある。
 「親権者」でなくても「親」なのですがそこの混同があまりに多いです

誤り③「共同親権を選択すれば、同居親は別居親に対する面会拒否ができなくなります」

→完全な誤り。今も「離婚前別居中」という共同親権下で一方親が子と面会を希望しても家裁が直接面会を認めないことも。親権は「拒否されず面会できる権利」ではない。間違いすぎです

誤り④「共同親権が成立した後は、子どもは父母の家を行き来する二重生活となる」

→なぜこんな誤りを平気で断言できるんですか。当然こうなるなんてことはない。監護の分掌次第。「親権」と「監護」の区別という基本のキができてない記事です。削除し修正広報すべき

誤り⑤「単独親権には子の連れ去りや奪い合いが起きやすいという問題点」

→多発中のDVからの子連れ別居を「連れ去り」と表現することの問題に無頓着。それにしたって家裁の監護者指定手続があるのですよ。また、共同親権でも監護者争い「奪い合い」が起きますよ。根本的に間違いすぎ 

誤り⑥「多くの先進国では共同親権を採用しています」

→日本の今回の法案における「共同親権」を採用している国はありません(小川富之教授の解説等参照。国によって「親権」概念は様々で、単純にそのようにいうことは誤りです

誤り⑦「同居親は子育ての負担が軽減される上養育費を受け取りやすくなる」

→「親権」と「監護(面会・養育費)」の混同をしてます。今も、親権者ではない親にも養育費分担義務はあり、法的強制もできます。共同親権になったらそれを根拠に養育費を受け取り易いなどということはありません

→「子育ての負担が軽減される」 共同親権の効果にそんなことはありません。親権とは、子に関する事柄の決定を父母共同で行使するということであって、具体的な養育の分担を意味するものではありません。

誤り⑧「子どもは父親と母親の両方から愛情を受けられるため、父親または母親としかできない体験が得られるのもメリット」

→両親の愛情云々は、親権制度が保障するものではない。非親権者でも愛情を注いで子育てする人もいて、親権者でも愛情注がない親もいます。めちゃくちゃすぎます

(引用ここまで)


メディアは、「両論併記」すればそれでよしと思っていないでしょうか?
ネットから拾ってきたような俗説(ステレオタイプな「賛成論」「反対論」)をコピペしているだけで、思考停止に陥っていませんか?
「極論」や「誤った言説」を無批判に取り上げることは、「中立」でも「公平」でもありません。
今まさに国会で法案が審議されている状況において、読者に正しい情報を提供することは、メディアの最低限の責任です。読者に判断材料を提供する報道が増えていくことを期待します。


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