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昔の話、懐かしい話

もののけ姫を映画館に観にいったとき、席は全て埋まっていいたため私は立ち見でチケットを買った。

ぎゅうぎゅうに人が入っている中、私はなんとか最後列の後ろの手すりを掴み、もたれることができた。そのとき隣にいた爺さんが私に話しかけてきた。

「見るのは初めてかい?」見れば、爺さんはあまり身なりのいい恰好ではなかった。私は、立ち見といえど手すりの近くで視界が良好な場所を確保できていた。この場所を動きたくなかった。しかも私は2度目の鑑賞だった。好きだからこその2度目だった。

「ええ、そうです」めんどくさそうな雰囲気は感じつつも、何とかこの爺さんと上手い事すごせないかと思案するも、無理そうだなとも思っていた。

「そうかそうか、実はこの映画はとても面白い。どういう映画かというとな」爺さんは映画の内容をべらべらとしゃべり始めたのだ。私はすでにこの映画を見ていたため、ネタばれ自体には関心がなかった。むしろ、年配の人がこの映画をどのように表現するのだろうかという方に関心が向いた。

爺さんの話は続いていた
「タタラバにはエボシという悪い女がいてな、これは般若のような恐ろしい顔をした怖い女なのだ」
それまでも少し感じていたことなのだが、この爺さん、話し方がだいぶ子供向けなのだ。私を子供だと思っているのだろう。しかも、エボシってそんなに悪く、怖いか?という疑問から、私は爺さんの知性に限界を感じたので、黙らせることにした。

「映画をちゃんと見たいので内容は聞きたくありません」

寂しそうに立ち去る爺さんの後ろ姿に、移動するほどのことか?と思いつつ、悪い事したかもと思った映画にまつわる懐かしい思い出です。

#映画にまつわる思い出

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