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アロマセラピスト、アロマインストラクターとして、楽しみながら毎日の暮らしに活かせる自然…

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アロマセラピスト、アロマインストラクターとして、楽しみながら毎日の暮らしに活かせる自然療法としてのアロマテラピーのご提案をさせていただきます。 文学、心理学にも興味があり、日々の読書を心の糧にしています。

マガジン

  • 子どもの本の世界を旅して

    子どもと一緒に読んでも、大人が一人でひっそりと読んでも、心に残る絵本や児童書をご紹介します。

  • 50のリアル~穏やかな50代のために~

  • My Little Garden

    小さなベランダガーデンと窓辺で育てる植物の毎日をお届けします

  • 松江 暮らし日記

    神々のふるさと島根県松江市での日々の暮らしの風景を綴っています

  • Daily Aroma Cfart

    毎日の暮らしに役立てるアロマの活用法をお伝えします

最近の記事

★『氷の花たば』アリソン・アトリー

自然の生命力と、夢のような世界を信じることのできる、 小さな人たちに向けて語られた素敵な物語 この本は「グレイ・ラビット」シリーズや、長篇ファンタジー『時の旅人』で知られるイギリスの作家、アリソン・アトリーが1948年に発表した短篇集 『John Barleycorn:Twelve Tales of Fairy and Magic』の中から翻訳された、6篇の物語からなる作品集です。 訳者は日本を代表する二人の児童文学作家、石井桃子と中川李枝子。 6篇の作品は原題通り、どれ

    • ★『街とその不確かな壁』村上春樹

      世界はきっと、共有され、共感され、そして変容されていくに違いない── 望まれたように、<永遠>に。 2023年4月、3年近くかけて完成させたといわれる村上春樹の最新作、長編『街とその不確かな壁』が書下ろしで発表された。 本書の巻末に記された「あとがき」によると、この作品の核となった作「街と、その不確かな壁」は、今から40年以上も前の1980年に文芸誌『文學界』誌上に中編小説として掲載された。 しかしその完成度に作者自身が不全感を抱き、単行本として出版されることはなかった。

      • ★『ゆきのひ』(こどものとも傑作集)加古里子

        忘れかけた雪の日の楽しさと、美しい日本の里山の風景を、 ぜひ親子でお楽しみください。 子どもたちに人気のロングセラー『からすのパンやさん』や『だるまちゃん』シリーズで知られる絵本作家・加古里子(かこさとし)さん作の1966年に出版された絵本です。 山間部の里山を舞台に、ある冬の雪の日々を描いた絵本ですが、今から60年近く前の作品ということもあって、今ではもう、日本のどんな田舎にも残っていないような情景も、この絵本の中には描かれています。 子どもたちが元気に遊ぶ野山に、雪

        • ★『二百十日・野分』夏目漱石

          新しい社会を生きる、新しい価値観を持った若者を「素材としての人物像」として描いた作品 テキストとして選んだ新潮文庫には、「二百十日」、「野分」の漱石の二つの作品が所収されているが、これらは前者が明治39(1906)年、後者が翌40年に発表された中編小説だ。 漱石の小説史のなかでいうと、『草枕』と『虞美人草』の間の時期に発表された作品、ということになる。 別々の作品を一緒に論じるのもどうかと思うが、この二つの作品は、一冊の本に一緒に所収されているほど、そのテーマ性に似通っ

        ★『氷の花たば』アリソン・アトリー

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        記事

          ★『ベル・ジャー』シルヴィア・プラス

          他者の力に怯え、自分の存在価値に疑いをもって傷ついた若者の、 挫折と再生までの物語 先日読み終わり、ここでも書評で紹介した短篇集、『メアリ・ヴェントゥーラと第九大国』の作者、シルヴィア・プラスの長篇作品が入手できたので読んでみた。 この作品は、シルヴィア・プラス唯一の長篇小説でありながら、同時に自伝的な内容であることから、彼女の代名詞のような位置づけの作品ともされている。 物語は一人の若い女性が社会に出て行く時期の葛藤と成長、そして挫折、さらに再生までを描いている。

          ★『ベル・ジャー』シルヴィア・プラス

          ★『メアリ・ヴェントゥーラと第九王国 シルヴィア・プラス短篇集』シルヴィア・プラス

          「否定の王国、凍りついた王国」の肌ざわりをたしかめながら、 そこからの脱出を試みる 久々に、魂を削って作品を生み出すタイプの作家の作品を読んだ。 シルヴィア・プラスはマサチューセッツ州ボストン生まれのアメリカの女性作家だ。1932年に生まれ、1963年2月に英国ロンドンで亡くなった。 わずか30年の生涯。自死だった。 この本との出会いも偶然で、雑誌の企画でその年のオススメベスト3を挙げるコーナーを読んでいて、ほんの100字ちょっとの短評ながら、読みたいと思える書評を目に

          ★『メアリ・ヴェントゥーラと第九王国 シルヴィア・プラス短篇集』シルヴィア・プラス

          ★『ユング自伝─思い出・夢・思想(2)』

          心という、目に見えない、 不可知なものを理解することに対する情熱的な欲求 以前、『ユング自伝1』の方を読了して↓ ★『ユング自伝―思い出・夢・思想 (1)』 『ユング自伝2』の方もやっと読了しました…。 『自伝1』のほうの書評でも書いたのですが、ユング心理学の肝、人間の心の「無意識」と呼ばれる領域について、この二冊目の自伝においても、ユングは自らの研究・仕事について、詳細に語っています。 この『自伝2』も『自伝1』同様、ユングは、自分の心理学という仕事の根幹にかかわ

          ★『ユング自伝─思い出・夢・思想(2)』

          ★『ユング自伝─思い出・夢・思想(1)』C.G.ユング

          心を、宇宙のように、その果ての分からない部分にまで、 その探求の範囲を無限に広げていったのは何故か。 人間の心の奥深さ、特に「無意識」と呼ばれる自身にも理解することが難しい意識の領域についてユングは、心理学の世界で初めて、その本質に生涯をかけて切り込んでいった人です。 よく同じ心理学者のフロイトと比較されますが、フロイトはユングの先人で、ユングと同様に心というものを、無意識、というより本能(性欲)の部分から捉え、心理学に新たな地平を開いた巨人です。 そしてユングもフロ

          ★『ユング自伝─思い出・夢・思想(1)』C.G.ユング

          ★『霧のむこうに住みたい』須賀敦子

          人生は物語。物語こそ、人生──かけがえのない時間の積み重ねを 言葉で紡ぎ出す。 この人の作品を、何故に読むのか…と聞かれたら、明快に答えることはできないけれど、新しい作品が読めなくなった今でも、時折無性に読みたくなる、私にとって、そんな作家が須賀敦子です。 須賀敦子は、1929年に兵庫で生まれ、日本の大学を卒業後、フランスのパリ大を経てイタリアに留学し、そこで後の夫と出会い、イタリアに魅せられ、長きに渡って当地に滞在しました。 イタリア、というと、かの塩野七海の著作が有

          ★『霧のむこうに住みたい』須賀敦子

          ★『人間の建設』小林秀雄、岡潔

          天才二人による知についての高度な異業種対談 評論家・小林秀雄と数学者・岡潔、日本の文系頭脳と理系頭脳の最高峰の二人による、知的刺激に満ちた対談集です。 対談の内容は、二人の仕事である学問にとどまらず、教育、芸術、文化、文明、そして人間そのものの本質について、縦横無尽、どこまでも広く、深くとどまるところがありません。 典型的な文系人間の私には、数学に関して語られている部分は、さっぱりわかりませんでしたが…。 しかし、数学や自然科学の分野の学問も、単に理論の部分だけではなく

          ★『人間の建設』小林秀雄、岡潔

          ★『パムクの文学講義: 直感の作家と自意識の作家』オルハン・パムク

          楽しみのための読書が、単なる楽しみ以上の意味をもつとき── 読者の内面で何が起こっているのか。 オルハン・パムクは1952年、トルコのイスタンブールで生まれ、1982年にデビューし、その後、2006年にノーベル文学賞を受賞した作家です。 小説家は、文学論、小説論を自ら語るタイプと、そうでないタイプに分かれると思いますが、パムクは間違いなく前者のタイプであり、自らの作品を生み出す過程の方法論に意識的な作家、といえるでしょう。 この本は、2009年にハーバード大学でパムク

          ★『パムクの文学講義: 直感の作家と自意識の作家』オルハン・パムク

          ★『職業としての小説家 』村上春樹

          書くことを職業にしたい人への、具体的で実践的な文学論 この本の存在は、ずいぶん前から知っていたのですが、個人的に好きな作品を書いてくれた作家でも、その作家のいわゆる「文学論」を読むのはあまり好きではないので、長らく読むのをためらっていました。 それでも、たまたま古書店で目が合ってしまったので、たぶん、今日が連れて帰る日なのだろう、と思い、ついでもあったので購入したのが数年前でした。 「目が合う」というのは比喩的な意味でも誇張でもありません。 この本の表紙…正直、村上春樹

          ★『職業としての小説家 』村上春樹

          ★『クリスマスまであと九日―セシのポサダの日』エッツ&ラバスティダ

          クリスマスまであと九日! 初めてパーティを主催する小さな女の子の物語 12月になりました! 今年もあと一カ月…早いものです;; 12月は、世界中の国の子どもたちにとって、とても大事な行事が待っています。それは言うまでもなく…クリスマスですね^^ クリスマスは、宗教としてのキリスト教の影響力が比較的少ない日本のような国の子どもにとっても、季節の行事として、家族や大切な人とすごす楽しい時間です。 この絵本に出てくる小さな女の子、セシの住むメキシコでも、クリスマスは子どもたち

          ★『クリスマスまであと九日―セシのポサダの日』エッツ&ラバスティダ

          ★『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹

          ファンタジーでもユートピアでもなく、確立したシステムや合理性でもない、 「個」としての人間の境界さえ曖昧な、不確かなこの世界 まだ存命中ではあるが、村上春樹の前期ともいえる時期の集大成であり、今でも多くのファンが、おそらく村上文学の代表作の一つと考えている作品、 それがこの『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』という長篇作品だ。 この作品は1985年に書下ろしで出版され、私が現在所持している版は、1987年で第19刷となっている。 いかに本書が、当時広く読まれてい

          ★『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹

          ★『近代日本人の発想の諸形式 他四篇』 伊藤整

          その時代を生きる人のための言葉だけでなく、 未来の人に残したい何かが表現されている。 岩波文庫版の初版は1981年ですが、実際にこの本の内容が最初に発表されたのが昭和28年から33年(1953~1958年)なので、すでに70年もの月日が経っているわけですね…。 移り変わりの早い出版業界で、いまだに絶版にもならずに版を重ねているということは、それだけ、読み続けられているということでもあり、初版からの年月の積み重ねだけでなく、この点を加味しても、すでに古典、といってもよい作

          ★『近代日本人の発想の諸形式 他四篇』 伊藤整

          ★『家と庭と犬とねこ』石井桃子

          これから長く生きる人たちの未来にとって、 何が大切なことかを考えるために。 児童文学者・石井桃子さんの随筆集のシリーズのなかの一冊です。 このシリーズの本は、過去に二冊、こちらで紹介させていただきました。↓ ★『みがけば光る』 ★『新しいおとな』 今回ご紹介する『家と庭と犬とねこ』は、上記二冊以上に、著者の普段の生活の中でふと心をよぎった情景や心象、そして思い出の中にあらわれる人や物や風景などについて書かれた、文字通り「エッセイ集」というにふさわしい一冊です。 なので

          ★『家と庭と犬とねこ』石井桃子