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人工透析① -治療法編-

今回のコラムは人口透析その1として治療法についてお話していきます。

人工透析とは


人工透析(人工腎臓療法)は、腎臓が正常に機能しない人々のための治療法です。通常、腎臓は体内の老廃物や余分な水分をろ過して尿として体外に排出しますが、腎臓が機能不全になるとこの能力が低下します。その結果、老廃物や余分な水分が体内に蓄積し、命を脅かすことがあります。
人工透析は、腎臓の機能を代替するために、特殊な装置を使用して行われます。一般的には、透析機と呼ばれる装置を使用して、患者の血液を体外に取り出し、不要な老廃物や余分な水分を除去し、清澄な血液を患者の体内に戻します。このプロセスは、通常、週に数回、各セッション数時間かかります。
人工透析は、慢性腎臓病や急性腎障害など、腎臓の機能が低下している患者にとって生命を維持するための重要な治療法です。ただし、透析治療は継続的で負担が大きく、生活の質に影響を与えることがあるため、患者やその家族にとっては大きな挑戦となります。

腎臓の機能と主な疾患


それでは腎臓について説明します。 腎臓は、背中側の腰より少し上あたりに左右1個ずつある臓器です。握りこぶしほどの大きさで、そら豆のような形をしています。腎臓は1個が150g程の小さな臓器ですが、心臓から送り出された血液のうち約4分の1もの量が送り込まれており、私たちが生命を維持する上で重要な働きを担っています。

腎臓の機能 腎臓には、大きく分けて3つの機能があります。

老廃物を排出する

腎臓の重要な役割の一つに、血液をろ過して、老廃物や毒素、余分な水分などを尿として体外に排出することがあります。体内の「排水処理場」のようなもの、というとわかりやすいかもしれません。
尿をつくるのは腎臓の「糸球体」と「尿細管」の役割です。健康な成人の場合、糸球体では1日に約150~180リットルの尿のもと(原尿)がつくられます。さらに、尿細管を通過する過程で必要なミネラルやたんぱく質を回収し、からだの中に戻すため、最終的に尿として排出されるのは、原尿の1%に相当する約1.5リットルといわれています。

体内の水分量と電解質のバランスを調整する

腎臓の働きは尿をつくり出すことだけではありません。尿の量や濃度を調整し、からだに必要な成分を再吸収することで、体内の水分と電解質(ナトリウムやカリウムなど)のバランスをコントロールしています。腎臓の機能が低下すると、これらのバランスが崩れるため、むくみや高血圧、心不全などが出現することがあります。

ホルモンを分泌する

私たちのからだを健康に保つためには、腎臓でつくられるホルモンが必要です。腎臓は赤血球を増やすホルモンや血圧を調整するホルモンを分泌して、貧血を防ぎ、血圧を一定にコントロールしています。また、腎臓の尿細管において、食品から吸収したビタミンDを「活性化ビタミンD」というホルモンに変化させ、カルシウムの吸収を促して、丈夫な骨をつくり出しています。

主な腎臓疾患


糖尿病性腎症

糖尿病の合併症の一つで、高血糖により腎臓のろ過機能が低下する疾患です。透析患者のうち、原因疾患で最も多いのは糖尿病性腎症で、約40%を占めています。

慢性糸球体腎炎

腎臓のろ過装置である糸球体に慢性的な炎症が起こる疾患です。腎機能が低下して、持続性(1年以上)のたんぱく尿や血尿が認められます。透析導入患者の原因疾患として、糖尿病性腎症に次いで多い疾患です。

腎硬化症

長期にわたる高血圧が原因で腎臓の血管に動脈硬化が起こり、だんだんと腎臓の機能が衰えていく疾患です。進行すると、腎臓自体が硬く小さくなり、腎不全に陥ります。

ネフローゼ症候群

尿に大量のたんぱくが排出されることで、血液中のたんぱく質が減少し、全身にむくみが起こる疾患です。 腎不全とは 腎臓の病気によって糸球体のろ過機能が正常時の30 %以下に低下し、腎臓の働きが悪くなった状態を腎不全といいます。 腎不全は急激に腎臓の機能が悪化する急性腎不全と、自覚症状がないまま長い年月をかけて腎臓の機能がゆっくりと低下する慢性腎不全の2種類があります。急性腎不全であれば適切に治療を行えば回復の可能性がありますが、慢性腎不全では腎機能の回復が見込めないケースがほとんどです。

腹膜透析と血液透析


透析は前述のとおり弱った腎臓の代わりに、血液から尿毒素と呼ばれる老廃物や余分な水分を取り除き、血液をきれいにする方法です。 透析治療には「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があります。

血液透析


血液透析は、腕の血管に針を刺し、ポンプを使って体内から血液を取り出して、ダイアライザーと呼ばれる血液透析器に通すことにより、体に溜まった老廃物や余分な水分を取り除く方法です。ダイアライザーで浄化された血液は体内に戻ります。
一般的に、血液透析は、1回4時間、週3回ペースで行われるのが基本です。それだけの時間を拘束されることに大きな負担を感じるかもしれません。しかし、私たちの腎臓は毎日休みなく働いています。その働きを週に換算すると、24時間×7日で168時間となりますが、透析で補えるのは週12時間程度ですから、腎臓本来の機能を代替するにはまだまだ不十分なのです。合併症予防の観点からも、透析に十分な時間をかけることが望ましいとされています。
日本で血液透析が健康保険適応になったのは1967年と古く、日本では約32万人の患者さんが血液透析を受けています。
血液透析を行うためには、体内から大量の血液を連続的に取り出して循環させる必要があります。シャント(バスキュラーアクセス)とは、静脈と動脈をつなぎ合わせて部分的に一本の太い血管にすることで、血液を取り出しやすくする方法です。シャント作製には手術が必要になり、通常は利き腕と反対側の手首付近にある静脈と動脈をつなぎ合わせます。
シャントには、静脈と動脈を皮膚の下でつなぐ内シャントと体外でつなぐ外シャントがありますが、外シャントは感染症のリスクが高いため、現在ではほとんど行われていません。自己の血管による内シャント作成が難しい場合は、人工血管を用いてシャントを増設することがあります。


腹膜透析


腹膜透析は、お腹の中に透析液を入れて、体内で血液を浄化する方法です。お腹の中に透析液を一定時間入れておくと、腹膜の細い血管を介して、血液中の老廃物や不要な水分が透析液に移行します。その透析液を体外に排出することで、血液が浄化されます。腹膜透析を行うためには、カテーテルと呼ばれる管を腹部に挿入する手術が必要です。
腹膜透析は、毎日時間をかけてゆっくり透析を行うため、血液透析に比べてからだへの負担が少なく、残存する腎機能が長く保たれるというメリットがあります。また、腎臓が機能しているうちは、食事の制限も比較的緩やかです。そのうえ、通院が月1〜2回と少ないので、自由度の高い生活を送ることができます。
毎日自分で透析液を交換するのに時間と手間がかかりますが、その手順はさほど難しくなく、繰り返し練習すればほとんどの人が難なくできるようになります。重要なポイントは、カテーテルの皮膚から出ている部分を清潔に保ち、感染症を防ぐことです。
腹膜透析は一生続けられないケースが多く、一般的に治療が行える期間は5~8年程度といわれています。腹膜透析で取り除ける老廃物や水分の量に限界があるので、残腎機能が衰えて腹膜の働きが悪くなった場合は、血液透析へ移行するか腎移植を検討する必要があります。
腹膜透析が健康保険適応になったのは1984年です。治療を受けている患者は約1万人と血液透析と比べ圧倒的少数です。

腹膜透析の種類


CAPD(連続携行式腹膜透析)

お腹の中に透析液を入れ、透析液の中に尿毒素が移行してきたら、排液を捨てて新たな透析液バッグを注入します。CAPDでは、この交換を4~8時間ごと、1日に4回繰り返します。透析液バッグの交換時間は、1回あたり30分程度です。大きな装置は使わないので家庭や職場でも透析を行えますし、液を交換する時以外は自由に活動できます。患者様本人が液交換を行うことが基本になりますが、ライフスタイルに合わせて調整することが可能です。


APD(自動腹膜透析)

自動腹膜灌流装置(サイクラー)を使って、夜寝ている間に透析液を自動的に交換する方法です。夜間に透析を行うため、日中の時間を有効活用できます。就寝前の機械のセットは自分で行います。

まとめ
今回は人工透析についてまとめてみました。次回は人工透析器についてまとめます。

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