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Art|芸術鑑賞

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美術館・博物館の展覧会リポート、舞台鑑賞などです。
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記事一覧

50arts|四月大歌舞伎(歌舞伎座)

とうらぶ歌舞伎を観た観劇好き審神者(さにわ)の友人と桟敷席デビューしてきました! 友人は歌舞伎座での歌舞伎は初めて、私も桟敷席は初めてです。 今回は、桟敷デビューのご参考になるよう、チケットを取ってから終演までをレポートします。 歌舞伎入門的な記事は、もうちょっと歌舞伎慣れしてきたら書きたいです。 桟敷席とは? 歌舞伎の劇場には、通常の劇場やホールのような1等席・2等席、A席・B席という区分のほかに、特別な席があります。 そのひとつが桟敷席です。客席の両側にあるテーブ

49arts|猿若祭二月大歌舞伎(歌舞伎座)

猿若祭二月大歌舞伎 昼の部を鑑賞してきました! 猿若とは、江戸歌舞伎の創始者である猿若勘三郎(のちの中村勘三郎)のこと。 今回は十八世中村勘三郎さんの十三回忌追善興行として、勘三郎さんの御子息やゆかりの俳優陣が出演します。 新版歌祭文 野崎村(しんぱんうたざいもん のざきむら)「うたざいもん」は読めない。 実際の心中事件を題材にした「お染久松物」と呼ばれるジャンルの一つです。 舞台は久松の郷里・野崎村。久松は地元に許婚がいるものの、奉公先のお嬢さんのお染と恋仲になりました

48arts|JAPAN ART BRIDGE(マーチエキュート万世橋)

旧万世橋駅の高架橋を利用した商業施設「マーチエキュート万世橋」に行ってきました! 飲食店や雑貨店などが集まり、走行する電車を眺めながら食事ができるカフェがあるとは聞いていましたが、なんと細長い空間を生かしたギャラリーでアート体験もできるんです。 JAPAN ART BRIDGEとはJAPAN ART BRIDGEは、JR 東日本各社、アートを用いたエデュケーション事業等を展開する株式会社 INERTIA、株式会社ルミネアソシエーツ(JR東日本グループの一員でルミネグループの

47arts|華麗なるコンチェルト・シリーズ第23回《!?なコンチェルト》篠崎史門 阪田知樹(横浜みなとみらいホール)

2023年12月9日、神奈川フィルハーモニー管弦楽団によるティンパニに頭を突っ込むコンサートに行ってきました! (今更な記事化をお許しください) Twitter(X)や「題名のない音楽会」などで聞き及んでいたトンデモ奏法。それが実際に上演(?)されると知り、これを逃すと二度と聴けないかもとチケットを取りました。 ステージにはモニターが置かれると公演情報にはありましたが、一応双眼鏡を引っ張り出してきました。 会場の横浜みなとみらいホールは駅直結の商業ビルの中にあり、利便性抜

46arts|パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ(国立西洋美術館)

20世紀初頭に起こったキュビスムは、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックの共同作業によって生み出された、幾何学的な形によって画面を構成する絵画技法を指します。本展はパリのポンピドゥーセンターから絵画を中心に、彫刻、素描、版画、映像、資料など約140点が来日、日本ではおよそ50年ぶりとなるキュビスムの本格的な展覧会です。 大事な前置き、心構え 「よくわからないアート」の三大巨塔が「現代アート(コンセプチュアル・アート)」「キュビスム」「書」だと個人的に思っているのですが、み

45arts|極付印度伝 マハーバーラタ戦記

「極付印度伝 マハーバーラタ戦記」が素晴らしかったので、もう千秋楽を迎えてしまったのですが、感想を書かせてください! ※本記事では登場人物の名称は読みやすくカタカナ表記にしました (後日、有料オンライン配信するので、よかったらご覧ください) 古代インドの神話的叙事詩「マハーバーラタ」は、2014年に宮城聰さんが演出した舞台『マハーバーラタ~ナラ王の冒険~』を鑑賞して、これは歌舞伎にできると直感した菊之助さんが発起人となり、実現しました。2017年の初演から6年を経ての再演

44arts|東洋の医・健・美(東洋文庫ミュージアム)+六義園

東洋文庫ミュージアムと六義園に行ってきました! 2施設+旧古河庭園を紹介した記事はこちら↓ この取材の際、東洋文庫ミュージアムの広報さんから「この夏の展覧会には美顔器が出る」とお聞きして、気になったのでやってまいりました。 今回は東洋文庫ミュージアムにて、六義園とのペアチケット1,000円を購入しました。140円お得です! 東洋文庫ミュージアムのチケットはシールになっているので、服やカバンなど見えるところに貼って入場します。 深くて広い東洋文庫オリエントホール 1階の

43arts|新作歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐(つきのつるぎえにしのきりのは)』(新橋演舞場)

初めての新作歌舞伎古典の歌舞伎はいくつか観たので、次は新作歌舞伎を観てみたい! そこで、友人の観劇好き審神者(さにわ/ゲーム「刀剣乱舞」のプレイヤーのこと)が話していた、歌舞伎『刀剣乱舞』を鑑賞することにしました(お互い別日に行きました)。 新しい歌舞伎と聞くと、Bunkamuraでやっていたコクーン歌舞伎のような古典を再解釈した公演、『あらしのよるに』や『ワンピース』『風の谷のナウシカ』といった絵本やマンガを原作にした公演を思い浮かべます。 歌舞伎は過去のものではなく、

43arts|ボンクリ・フェス2023(東京芸術劇場)

毎年、東京芸術劇場で開催される「ボンクリ・フェス2023」に行ってきました! ボンクリ・フェスは、アーティスティック・ディレクターに作曲家の藤倉大さんを迎えて、クラシックのアンサンブルや雅楽から電子音楽まで、さまざまなジャンルの「新しい音」ばかりを集めた、音楽フェスティバルです。 今年の特徴 昨年より夏の開催となり、さらに今回はメインのスペシャル・コンサートがA面・B面と内容の異なる2公演に分けての実施となりました! 過去2回のレポートはこちらです↓ ボンクリの全体像

42arts|マティス展(東京都美術館)

カラフルな色彩と躍動する造形、20世紀フランスの画家アンリ・マティスの展覧会が東京都美術館で開催中です! 「色、形、線、冒険のはじまり」というキャッチフレーズのもと、マティスが色や形の効果を追求した作品が並び、キリスト教やギリシア神話、ヨーロッパの歴史といった知識がなくても楽しめる展覧会となっています。 先日、アートの楽しみ方をご提案しましたが、あまりにも頭を使っていない感じで恥ずかしくなってきたので、今回は一歩踏み込んで、絵画を楽しむためのテクニックをご紹介できればと思い

41arts|そばにあった未来とデザイン 「わからなさの引力」展(21_21 DESIGN SIGHT)

13名のクリエイターが「わからないけど、なんかいい。」ものを持ち寄った展覧会が、21_21 DESIGN SIGHTで 3月26日(日)まで開催中です! 観覧無料で写真撮影も可能なので、お花見ついでに足を運んでみませんか? 「なんかいい」を紐解く言葉(出品作品ではなく)出展物は、参加クリエイターが手がけたアート作品やプロダクトではなく、いつも使っているものや部屋に飾っているもの。「なんかいい」と気に入って、そばに置いているものです。 それぞれに、①クリエイターの言葉 ②主催

39arts|恵比寿映像祭2023

東京都写真美術館(TOP)が主催する、国際的な映像作品の祭典「恵比寿映像祭2023」に行ってきました! 通称エビゾウ! 毎年テーマに沿った作家・作品が選ばれ、TOPを中心に、恵比寿ガーデンプレイスセンター広場、日仏会館などの地域連携施設にて展示・上映会を行なっています。一部の上映・イベントは有料ですが、展示は無料! 開催期間は約2週間と短いですが、お祭り気分でフラッと訪れてほしいイベントです。 エビゾウを楽しむアイテム展示は無料ですが、当日TOPの受付にてQRコード付きの

38arts|創遊・楽落らいぶ—音楽家と落語家のコラボレーション— Vol.65(東京文化会館)

コンサートと落語を気軽に楽しめる、東京文化会館の人気企画を初体験! クラシック音楽の楽器と落語、異分野がコラボレーションする「創遊・楽落らいぶ」。今回は邦楽界の若手演奏家である津軽三味線の駒田早代さん、尺八・篳篥(ひちりき)の佐藤公基さん、そして人気テレビ番組「笑点」の司会者の春風亭昇太師匠と、フレッシュな顔ぶれが揃いました。 第1部:ミニコンサート1月公演ということで、駒田さんは赤い振袖、佐藤さんは紋付袴で登場、新年にふさわしい華やかでめでたい曲も多く演奏されました。佐

37arts|おいしいボタニカル・アート 食を彩る植物のものがたり(SOMPO美術館)

英国キュー王立植物園の協力のもと、食にまつわる植物のボタニカル・アート(植物画)を集めた展覧会「おいしいボタニカル・アート 食を彩る植物のものがたり」が開催中です! 会場のSOMPO美術館は、新宿駅から徒歩5分。ガラス張りの楕円形ビル「コクーンタワー」の近く、損保ジャパン本社ビル(割り箸に力を入れたときの形をしている)に隣接した銀色の建物です。 ボタニカル・アートとは? 植物学や薬草学、博物学の研究目的で草花を描いたものをボタニカル・アート(植物画)と言います。 有名ど