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イノベーション創出のためには社内における横串の情報共有が必要とされています。ただ多くのビジネスマンが日々の業務に忙殺されている中、それはとても難しいことでしょう。

例えば私の前職では、プロトタイプを社内に展示し、それが触媒となって横串のコミュニケーションを活性化させるという取り組みを行いました。特定のカタチにすることによって、一瞬で理解が進み、興味を沸かせ、それによって新しいアイデアやつながりが生まれることを狙いました。いわゆるショールーム的な取り組みでしょうか。

一方、一度、カタチにしてしまうと、そこで情報がフリーズしてしまい、事業環境の変化になかなか追いついていけないという面もあります。1〜2年は新鮮であるものの、情報が古くなるにつれ、その触媒たる効果は薄れていまいます。定期的に更新していく必要がありますが、それにはかなりの熱量が必要です。

1、イノベーションのためにはカオスが理想

市況は刻一刻と変わり、緊急事態宣言などビジネス環境は劇的に変わり、時に破壊的です。こうした環境下で、交流のために何かカタチにすること自体、そのエネルギーと効果を天秤にかけると、果たして期待する効果が得られるものかどうか不安にもなります。

事業は常に業務プロセスを上回るスピードで進化しなければならない。だからこそカオスこそ理想の状態だ。そして、カオスの中で必要な業務を成し遂げられる唯一の手段は、人間関係だ。社員と知り合い、関係を深めるのに時間をかけよう。(出典元:How Google Works)

何か秩序ある計画された交流は、あるべき交流とは呼べないのかもしれません。グーグルがいうように“カオス”であることがイノベーションの要諦ならば、社員と知り合い、関係を深め、さらには情報交換を活性化する上で、定型化された方法論など存在しうるのでしょうか。

2、情報を交流させるために、情報を出さない。

そもそも発信(カタチ)をするにもエネルギーがいるものです。そして、誰にどう評価されるかわからないものを気軽に発信することはありません。そうして発信に対する負のイメージが蓄積し、やがて発信が抑制されてしまいます。発信がなければ、他者にとって共創の接点がイメージできません。イノベート不能になります。日々の業務に邁進したくもなります。

「モモ」はファンタジーですが、情報を受ける側の”傾聴”によって、かえって情報が集まってくるというのは、なかなか痛快です。心理的安全性が担保されてこそ人は情報を開示します。

グーグルのいうカオスな中での人間関係においての要諦は、”傾聴”なのではないでしょうか。交流のための発信を発信者に強要するのではなく、受け取る側に発信者の発信のトリガーがあるというのは、逆説的であるが、いつも本質というのはそういうもののような気がします。

ドラマ「レンタルなんもしない人」を観ると、レンタルした側が悩みを勝手にしゃべり、自分自身で勝手に悩みを解決していきます。人は話すことで、問題を整理し、そして自分自身を知ることができます。そもそもその解決の糸口は、もっともその問題の情報が集約され、選択肢を有している自分自身であることに気づきます。なんもしないという傾聴が問題を解決してこともあるのです。

3、積極的な聞き上手が、今のリーダー

1on1ミーティングとは、上司と部下による1対1の定期的な対話の時間です。一般的な面談との大きな違いは「これは部下のための時間」だということです。〜中略〜 部下の気持ちがすっきりしたり、納得感をもったり、次へのチャレンジへ行動していこうとすることが最も重要なことです。(出典元:シリコンバレー式 最強の育て方)

マネージャーがよく口にする「最近の若手は発言が少ない」「言われたことしかやらない」「何を考えているのかわからない」など、いつの時代も変わらぬマネージャーの悩みでしょう。

一方、部下の方も「結局、どんなことを言っても何かしら反論される」「もう分かったといっているのに、“いやまだ、君は本当に納得していない” と話が長くなりがち」など、こちらもいつの時代も変わらぬ部下の悩みで、結果的に「言われたことだけをやろう」「自分で判断するのではなく、逐一報告した方が安心」となり、リーダーの悩みと部下の悩みは見事なまでに負のスパイラルになります。

私も前職時代に部下との面談は行ないましたが、せいぜい半期1度。内容は半期における目標のすり合わせであり、傾聴というより、一つの方向を見出す議論でした。まぁ それ自体は必要なのですが、部下との関係性構築ではなく、業務連絡に近いものでした。

週1回、30分程度、マネージャーが部下と面談をする「1on1ミーティング」はヤフーをはじめ、日本の企業でも広がっているようですが、「部下のための時間」とまで割り切るまで取り組んでいるところはそう多くないのではないでしょうか?

グーグルがいう「カオスの中で必要な業務を成し遂げられる唯一の手段は、人間関係である」のように、「1on1ミーティング」が経営戦略としてしっかり定義づけられれば、”忙しい”と行っている暇などなく最優先課題として取り組むべき課題になりうるのかもしれません。

4、山本五十六の隠れた言葉

やってみて、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ

最近になって私も知ったのですが、山本五十六の言葉は、実際には以下の言葉が続くようです。

話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。

人間関係構築、ひいては常に変化するビジネス環境(カオス)に対応するため、積極的に部下の言葉の”傾聴”、大切なことかもしれません。

記事:フクフクプラス アートファシリテーター 磯村歩


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