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かかりつけの歯医者さんが最高だと叫びたい

歯が痛み、歯医者に行ってきた。わざわざ電車に乗って、1時間もかけて通うほどこの歯医者さんが私は大好きだ。虫歯治療は痛いから嫌いだけど、とにかくこの歯医者は感じがいい。最高だ。

生まれつき永久歯が人より少なくて、カバーしようと子供の頃に行った矯正が失敗したこともあって、歯医者探しには人一倍苦労してきた。苦戦しながら探して、3年ほど前に出会った。

今日もやっぱりよかった。治療を終えた歯はまだ鈍く痛むけれど、心は晴れ晴れとしている。どうしてこんなにいいんだろうと思ったときに、最近読んだ本の中にあった「ユマニチュード」という言葉を思い出した。

最近読んだ、尹 雄大さん著の「聞くこと、話すこと。 人が本当のことを口にするとき」 という本で紹介されていた「ユマニチュード」。

ユマニチュードとは、フランスで生まれた認知症の介護のケアの技法のひとつ。寝たきりでも、水平な目線で見たり、相手の意思を尊重して、声をかけ相手の反応をみて介護をしたり、平等な存在として親密にかかわることで、「人間らしさ」を取り戻すのだという。

かかりつけの歯医者も、この「ユマニチュード」のようなものがある。ひとりひとりの患者を大切にみてくれて、大事にされていると感じるのだ。

予約枠は1時間にひとりしかとらない。だから、じっくり時間をかけてくれる。治療に入る前に、診察台ではなく椅子に座って、写真を見ながらじっくりと質問や不安に丁寧に答えてくれる。リスクを説明したうえで、患者に選ばせてくれる。

治療のときも最高なのが歯科衛生士さんに丁寧な言葉遣いをすること。嫌な歯医者ランキング一位は、イライラして歯科衛生士さんにきつい口調で当たる先生。患者の私に丁寧でも、衛生士さんに当たるのを見るのだけで気分悪くなる。この歯医者さんは決してそんなことはしない。「ありがとうございます」と優しい受け答えをしている。

穏やかな空気が流れているのだ。先生と衛生士さん、受付のお姉さんも余裕があって、互いを尊重する空気が病院に満ちている。その空気は、なにより一番患者に向いている。私を人として、尊重し、時間をかけて丁寧に治療をしてくれる。

医療処置は、何が正解なのかわからない。子供の頃に、両親が決めた歯の矯正が失敗した。セカンドオピニオンをなぜしなかったのだろうと大人になって思うけれど、少なくともその時点において、それが正しいと思い決めたのだ。だけど、失敗してしまった。そして、それはもう戻らない。医療処置は、賭けでもある。歯をひとつ削ることだって、削ってしまったら、その前には戻れないのだ。

私は今の歯医者さんなら、万が一医療ミスがあったとしても構わないと思っている。もちろん嫌だし、雑な治療をする歯医者さんではないけれど、良かれと思ってやったことが、うまくいかないなんてよくあることだ。

大事なのは信頼関係なのだ。何かあったとしても、構わない。この人を信じる。そう思えるほど、ちゃんと向き合ってくれた歯医者さんは、私が知る限りこの人だけだ。名前を出してみんなに宣伝したいくらいなのだけれど、すでに1か月待ちくらいの予約がとれないほど人気なので、もっと混むと嫌だから名前を出さない。ああでも本当に、最高なのだ。

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