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おとなになってからの、プール【耳で聴く美術館】

私は二年前の夏、よくジムのプールに通っていた。

都会にあるプールは小さく、25mも取れない短いプールだが、気晴らしには十分の広さだった。

そんなにうまくもないけれど、平泳ぎと背泳ぎとクロールをして、最後に潜水する。

背泳ぎをしたとき、そのプールには天井に鏡がついていたので、水色のプールをゆらゆら泳ぐ自分の姿が面白かった。

プールの底が鮮やかな水色に塗られているのも好きだ。

水中に潜ると、耳が「バッ」と音がして、世の中の音が遮断される。

横のレーンで歩いているおばあちゃんや、プール教室に来ているちびっ子たちのキャッキャッという声が遮断される。

音が遮断されるということが、これほど安心感を与えてくれるものだとは思わなかった。

普段街に出るときに、ノイズキャンセリング機能の付いたイヤフォンを好むのも似たようなことかもしれない。

30分くらい泳いだら、ジャグジーに入る。
もはや大浴場に来たような気分で、とてもあたたかく、気持ちがいい。

濡れた髪は適当に乾かして、外に出ると太陽が照り付けるじりじりとしたいつもの生活。

全身を疲労感が包み込み、嫌なことはすべてシャワーで流してきたようなそんな清々しい気持ちになる。

今年もプールを探そうかな。

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