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【#21】材料力学の強化書 〜SFDとBMDについて(1)〜

今回のトップ画像は、皆さんもご存知の京都の観光名所である「金閣寺」です。金閣寺の正式名称は鹿苑寺(ろくおんじ)だそうです。

過去に何度か焼失することがあり、その度に建て直されているようですが、外観が豪華なだけあり、かなりの費用が掛かりそうですね。

さて、材料力学の話に戻りましょう。

前回は平行軸の定理を利用した複雑な断面形状に対する断面係数の計算方法について見ていきました。

今回はせん断力と曲げモーメントの軸線方向(はりの長手方向)の変化を数式で表す方法について、具体的に見ていきます。これまでは定性的なはりの力学について学んできましたが、これからは数式による定量的な見方を理解していきましょう。

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はりの支持条件

はりは空中に浮いているわけではなく、何らかの方法で支持されて固定されているはずです。支持条件としては主に3種類に分けられます。

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はりの問題においては、せん断力と曲げモーメントを考える際に横荷重(はりの軸線に垂直な力の成分)の存在が重要です。つまり、はりの軸線方向の力の成分はせん断力と曲げモーメントに無関係であり、はりの問題では考慮しないことにします。

なお、移動支点と回転支点をはりの力学的条件の上で区別せず、この2種類の支点をまとめて「単純支持点」と呼ぶことがあります。

また、複数の支点が存在する場合、はり全体が軸線方向に移動しないことを示すために、少なくともひとつは回転支点または固定支点を置くことが通例です。

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基本的な例題

はりのせん断力や曲げモーメントの軸線方向の変化を図的に表したものをせん断力線図(SFD)曲げモーメント線図(BMD)と呼びます。今後はこの略称で表記していくことにします。

SFD:Shearing Force Diagram
はりのせん断力の軸線方向の変化を表す。
BMD:Bending Moment Diagram
はりの曲げモーメントの軸線方向の変化を表す。

実際にSFDとBMDを描くときのルールについてまとめます。

(1)はりの左端を原点にして右向きにx軸(軸線)をとり、y軸は下向きにとる。
(2)支点反力は常に上向きを仮定する。左端の固定端では固定モーメントは時計回りを仮定する。
(3)せん断力と曲げモーメントは常に正であると仮定する。
(4)せん断力と曲げモーメントを未知として静力学的なつり合い式を作り、せん断力と曲げモーメントについて解く。

今回は例題として、1点(C)に集中荷重が作用する単純支持はりのSFDとBMDを考えてみます。

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モーメントのつり合いでは、注目している面の中立軸の回りのつり合い式を立てています。また、集中荷重の作用点ではせん断力の不連続を生じます(不連続の大きさは集中荷重の大きさに等しい)。曲げモーメントは集中荷重の作用点でも連続です。

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おわりに

今回は曲げの状態を定量的に表す方法として、せん断力線図(SFD)曲げモーメント線図(BMD)について見ていきました。例題として、一点集中荷重が作用する単純支持はりの問題について扱いました。

他の支持条件の場合でもSFDとBMDを描くことができるので、最初は慣れないかもしれませんが、どんどん試してみるのが一番の上達の道だと思います。

次回も引き続きSFDとBMDについて扱います。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。

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