スウェーデン語の話

ビザのステータスにも依るけれど、こちらではスウェーデン語学校に無料で通えるので今回はその話を書いてみようと思います。

スウェーデン語学校、通称、SFI(svenska för invarandraが正式な名前だった気がする)は移民向けの語学学校であり、1年以上のビザを持っている人ならほとんどの人が通える。

私は9月の終わりから通い始めた。コロナの規制もあって、当初はオンライン、今は通学スタイルで、住んでいるコミューン(市みたいなもの)によって週何回通うかなどが決められている模様。
学生は自分で好きな学校を選ぶことができ、学校は生徒に応じてお金が公から出される仕組み(ちなみにこれは中・高校も同じで市場原理が導入されている)。どの学校が評判がいいとか、そういうことも知らなかったし、日中は大学があるので私は夜間と土曜日の週3(1回3時間くらい)で通っている。

こちらでスウェーデン語が重要になるのは知っていたので、ある程度勉強していった。だが、SFIの進度が早すぎて日本で勉強した分はすぐにつぶされてしまった。SFIは最初は英語とスウェーデン語のミックスだったが、基本的に授業はすべてスウェーデン語だ。単語の意味を説明するのもスウェーデン語だったりするので、わからない時は本当にわからない。

スウェーデン語は英語とよく似た言語で、かと思えば、違うところもある言語だ。例えば、大学で勉強する、というのは、
Jag studerar på universitetet.
となり、語順的にも、単語的にも似ている。

ただ、違うところもあって、英語でいうa, anはen, ettなのだが、どちらを使うかは単語ごとに覚えなければいけない(ただ、75%くらいはenなので、わからなければenと推測してみたりすることはできる)。
英語でいうtheや複数形のsも単語そのものが変化するし、その変化に合わせて形容詞も変化するので、混乱する。しかもその変化はen,ettでパターンも変わってくる。

例)少女
en flicka, flickan, flickor, flickorna

例)美しい少女
en vacker flicka, den vackra flickan, vackra flickor, dena vackra flickorna

*一人の少女、その少女、少女たち、その少女達

書いていて、合っているのかさえ微妙である。もちろんettバージョンもあるし、所有を示すもののバージョン(英語でいうmyなど)もある。
これらをきちんと使い分けてしゃべれる自信がない。

大学の時に勉強していた言語は過去形も未来形もなかったので、本当に楽だった。英語より簡単だと思っていた。でもスウェーデン語を勉強すると英語ってまだ楽なほうだと思う。
そして多分、というか絶対、スウェーデン語だって楽なほうだ。スラヴ系の言語と比べれば、スウェーデン語のほうが楽で、彼の母語がスウェーデン語で本当に良かったと思っている。

ちなみにスウェーデン語を学ばなければならない理由はあって、一つは彼ママは英語を話さないこと、スウェーデンは基本的にスウェーデン語で社会が回っているからだ。

よく、スウェーデンは非英語圏で英語が一番通じる、とかいう話を聞く。でも日常で暮らしていて話しかけられる時はスウェーデン語だ。
電車が運休している時の代替手段のアナウンスだってスウェーデン語だし、PCR検査を届けてくれたタクシードライバーだって、スウェーデン語しか話さなかった。

でもそれが当たり前だと思う。無料の語学学校まであるのになんで在住者が英語を話さなければならないのか、ということなのかもしれない。
SFIには色々な背景の人がいて、パートナービザで来ている人もいれば、生活のために来た人もいる。話すことができても、読み書きが母国でできなかった人もいる。
夜間クラスでは働いている人、育児をしている人が多く、学生はほとんど見かけない。働く人の多くは掃除やレストランなどの仕事かプログラミングなどの技術系に分かれる。
”スウェーデン語が話せなければ、一生、掃除人だ”、と教師も言う。

留学生として伝統ある大学に通う一方、SFIで自分が社会の底辺にいることを実感する。現状がどうであろうと、今はやれることを精一杯やるのみと思う。


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