父を想う
遥か
1万m上空から見えるのは
漆黒に染まる
故郷の大地と
汚れなき群青色の空
そして
それらを遮る
真っ直ぐな夕焼けの炎
思い起こせば
実に長い間
いつも二つの色が
心の内に在って
決して交わることがなかった
恩讐の彼方に
二十一年の歳月をかけて
洞穴を貫通させた
市九郎と実之助の
一振の槌の力は
目の前に在る
夕焼けの炎を想わせる
それは祈り
それは懺悔
それは
数奇な親子の縁
ほら
こんなわずかな間に
空は完璧な闇に変わった
もはや何も見えず
ただ
静かな悲しみがある
それを
心に焼き付けた
夕暮れの炎を頼りにして
克明に描くだけ
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