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青い僧侶

南禅寺

岡山出張から帰る途中、妹家族のいる京都に半日だけ寄りました。妹と1年半ぶりに会い、甥っ子の成長に微笑み、近くのお寺に寄ることにしました。それは「南禅寺」。禅寺の格式高いお寺。訪れるのは久しぶりです。

先週からの夏風邪で絶食、体重もさらに痩せていて、妹も驚いていました。それでも向かった南禅寺。夏の終わりを感じる気配、霊気の違いを肌で感じます。その場に存在する、すべての命の気配が、空っぽな心身に吸い込まれ、満ち満ちていくようでした。

気持ち良い山門


ひとしきり歩いて山門に座っていたら、70歳くらいの海外の僧侶の方がいました。薄い青の作務衣を着て、すれ違うエネルギッシュな観光客に微笑んでいます。話しかけてみると、彼はカナダ出身で8年アメリカで修行し、京都に来て6年だと、片言の日本語で答えてくだささいました。スケッチをしていいですか?と聞くと、「お金はないんです」と申し訳なく答えるので、笑って「いえいえ、もちろんプレゼントです」と伝えると笑顔で了承してくださいました。

僕は画家です、と伝えて絵を見せると、「ジョウズですね!」と喜んでくれ、僕が「こちらにはよく来られるのですか?」と聞くと「たくさんたくさん・・・」と英語で答え、お互いの魂をかけた本業に対して、ちょっとピントが合わないやりとりで滑稽でした笑。言語が通じれば、もっともっと深い話もできたでしょうが、僕と、その僧侶には、ただ座っている時間こそ大切なのだと感じました。

彼の半生とは・・


お寺を後にして、ふと思い出しました。本殿の奥にある南禅院という小さな庭園の池のほとりに、たった一匹、薄青いトンボが止まっていたことを。小さな葉っぱを愛おしそうに食べていたトンボ。その薄青と同じ色の作務衣を着た僧侶は、果たしていったい誰だったんだろう。

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