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しゃがみこんで絵を見ていたら私かもしれません

先日、あさイチを見ていたら原田マハさんが出演されていました。
「楽園のカンヴァス」など、アートを題材とした作品も多数あり、最近は「旅屋おかえり」がドラマ化されたようですね。
絵ってどうやってみたらいいのでしょう?という問いかけに、作品の前に立った時に画家が絵筆を持って描いたであろう位置に立って見てみるのも面白いですよね。とおっしゃっていました。
なるほど、その視点は面白いですね。

混雑した美術展でちょっと嫌だな、と思うことの一つに自分が見たい位置で作品を見ることが出来ない、ということがあります。
近い位置で、絵筆のタッチを見てみたい、そしてその絵を遠くで見たときに周りの色と融合してどんな風に見えるのか、少女の唇が光って見えるのは近づいてみると白の点が一つ唇に乗せられているだけなのだ、とか。
近づいたり、遠ざかったり、何度も見てみたいものです。

ところで私は、特に美術館で見ることを想定せず制作された作品を見るときは、この作品はどこに飾られることを前提として作られたものか、を考えます。

宮殿の大きな広間に飾られる為の絵か、個人の家の居間に飾られる為の絵か。
教会の壁の高い位置に掛けられる絵か、床の間に掛けられる絵か。

絵の大きさや何が絵描かれているか、襖か掛け軸かキャンパスか。
キャプションを見るまでもなく想像つく作品が多いと思います。

ミケランジェロ ピエタ

例えば、ミケランジェロの有名なピエタ。
正面から見ると明らかにマリアとイエスの大きさのバランスがおかしいですよね。マリア大きすぎ。
でも、この作品は依頼者のお墓の上に飾られる為に作られました。
そう、この作品は下から見上げることを前提として作られたものです。
ミケランジェロは他の大きな作品でも、下から見上げた時に一番美しく見えるように考えて作っていますので、たぶんそこまで考えて作ったのは間違いないと思います。

先日プラド美術館展でエル・グレコの作品を見ましたが、エル・グレコの作品も教会の薄暗い揺らぐろうそくの明かりでみんなが跪いている頭上に掛けられているのと、美術館の明るい電気に照らされて、正面から見るのでは見え方が違うと思うのですよね。
引き延ばされた感じの人物も、妙に揺らいだ輪郭も、生き生きと見せるためだったのではないか、と想像すると楽しくありませんか!

畳に正座してみる日本画の掛け軸も、手に取ってみる絵巻等もその目線で見ると新たな発見があるのではないかと思えます。

美術館の作品の前でしゃがみこんで絵を見ている不審な女がいたら私かもしれません(笑)
お邪魔になっていない限りそうっとしておいてくださいね。


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