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相場下落時の対処の仕方でその後の展開が変わる事も!?

2023年11月~2024年4月1週、生成AIブームが市場を牽引

2023年10月の底から2024年4月1週までの約24週間S&P500指数は大きな調整下落も無く4133P~5165Pまで約25%も上昇してきました。生成AIという大きなテーマを追い風に半導体関連銘柄等が市場を牽引する形で、金利上昇からくる業績悪化を懸念した相場サイクルでありながらこれらの企業は景気後退をものともしない決算を出し市場を沸かせてきました。日本国内では1月より新NISAが始まり、成長投資枠でNVIDIA、ARM、Super Micro Computerなどの銘柄を購入される方も多いのではと想像いたします。空前の生成AIブームは連日メディアで取り上げられ、YoutubeやX(Twitter)で爆益報告や乗り遅れるな~などのコメントも散見された記憶があります。ここで一つ・・・マーケットで取引をするという事は世界中の投資家さん達と同じ土俵に立っているという事を忘れてはいけません。世界中の投資家さんとは日本の年金を運用しているGPIFの様に超巨大投資家もいますし、誰でも知っている様な著名投資家さん(ば〇〇っとさん)ももちろん同じ土俵に立っているのです。

クジラと呼ばれる彼ら(大口機関投資家さん)は何を見ている!?

日本の株式市場や米国の株式、債券、コモディティ(金地銀類、穀類、原油類などの先物)は主に機関投資家の方々の売買で相場が動きます。彼らは時にとてつもない大きな金額を動かす為、投資家である以上彼らが今何を見ているかは考えておく必要があります。第一に現在のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を見ます(金利の状況、各種経済指標、為替、株価指数、各国中央銀行の政策の方向性)。これを踏まえた上でそれぞれの背景(必要益利回り、投資の方向性、リスク度合い)に沿って投資先を割り振っていきます。僕ら日本人の年金を支えてくださっているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は世界最大のクジラと呼ばれており、運用金額は2023年3月末でなんと約137兆円に上ります。これだけの金額を運用するということはそれ相応のリスクをヘッジする必要があります。もっと小規模の機関投資家さん達も同じで共通するのは人様の資産を預かって運用しているという事で、ここが個人投資家と大きく違うところです。こういう人様の資産を預かっている方は相場の不透明感を嫌います、方向性が見えない相場をひどく嫌います。何十億~何兆というまでの資金を運用する方々にとって相場の不透明感は資金を引き揚げる(持っているポジションを解消して現金にしたり、他のアセットに乗り換える(リバランスという)事をします)大きな要素になります。これが相場を動かすのです。

2024年4月2週目以降 相場は下落方向に動く

4月上旬、米国の3月のCPI(消費者物価指数)PPI(企業物価指数)雇用統計、失業率が発表され改めて米国経済の強さというものが世に示されました。これをうけたFRBは3月はもちろん、当面政策金利を下げる必要が無いのでは・・・!?という論調に傾きました。これまで市場はFRBが2024年中に政策金利を3回下げる事を織り込み(これが大きく株高を牽引してきた要素である)連日の高値更新に沸いてきましたが、利下げ自体が後退するとなるとそもそもの前提が変わってきてしまい今の株高を証明することができなくなります。(株価は未来の価値を現在価格に割引いて計算するため、政策金利が高いままだと現在の株価は高いと判断されやすい)これがまず基となりじわじわと機関投資家がポジションを解消(売り)し相場が下落していったのです。極めつけが4月20日、Super Micro Computerは事前に決算の予測値を公開しなかったというだけで約23%も下落、NVIDIAに於いては何も発信していないしBADNEWSも無いのに10%も下落(時価総額2.2兆$→1.91兆$に)するという説明のつきようが無い下落を引き起こしたのです。
2024年に初めてNISAを通して投資の世界に入って来られた方にとって最初に経験する大幅下落だと思います。なんでこんなに下がったの!?って聞いてもググっても、AIに聞いても明確な答えなんて帰って来ないと思います。でもここまで読んでくださった方なら気付いたはずです、相場を動かしているのは我々個人投資家ではなく機関投資家の方々なのだと。機関投資家の方々がこれは危ないと思った(ファンダメンタルズが変わった)から資金を引き揚げただけなのです。

今、機関投資家の方々は何を見て何を考えている!?

前項でファンダメンタルズが変わったと申しました、元々利下げを3回はするという前提で各投資家は株や債券を購入していたわけですがこれが利下げどころか経済が強すぎて最悪のシナリオは利上げもあるのではないか!?(まだここは織り込んでいない)という不安心理になったのでリスクポジションを減らしたのです。(大量に持っていた株を売却し、これがきっかけで連鎖的に売りが売りを呼ぶ形になったのが今回の下落の大きな要因かと思います)※あくまで個人的見解ではありますがこう考えるのが自然かと思います。さて、下落はしたと・・・次に考えるのは果たして売りつくしたのか!?、はたまたこれは更なる下落の始まりに過ぎないのか!?という点ではないでしょうか。これについて私はまず生成AIの恩恵でいままで相場を牽引してきた銘柄に関しての更なる下落は限定的なのではないかと思っております。(記事を書いている2024年4月20時点で生成AI銘柄と呼ばれる企業の決算はまだどこも発表していない)これは織り込んでいる決算数値(consensus予想)通りだった場合の話です。言い方を変えれば昨日大幅に下落をした銘柄は決算が悪かった時の事を先に織り込んだと考えるのが自然かと思います。(決算が良かったらまた買われるが決算が悪ければさらに売られる可能性もある)この時に大事なのは機関投資家が動くまで先取りしないという事です。我々個人投資家は機関投資家の方々の波に乗らせてもらう事で相場上昇の恩恵を受ける事ができるのです。

正直自分にも言い聞かせている点は多分にある

今回この記事を書こうと思った理由が2つあります。一つは表立った理由が見当たらないのに相場が大きく下落する時に、前提にあるファンダメンタルズのメカニズムを理解する事によって自分の中でおおまかでも何故相場が理由も見当たらずこれだけ動いたのかを理解できる事。もう一つはこの前提を理解することによって次の動きかたの予想が立てやすくなる事です。
4月22日の週からいよいよ各企業の決算が本格化します、この時にチェックして欲しいのが決算やガイダンスが強いのに売られている状態になるかどうかです。(これが現在のマーケットセンチメントを測るのに重要な点)要はマーケットセンチメント(前項で書いた機関投資家が何を考えているのか)が悪ければ例えその時の決算が良くても売られるのです。仮に買われても投資家心理が悪ければ上値は限定され、良くて横々悪ければ下落という理解に苦しむ展開になると思います。私自身現在のポジションは中期~長期での保有を意識してのものですので決算をみて判断したいと思います。(自身で描いているシナリオが見えるなら保持か買い増し、幻滅なら売り)
いかがでしたでしょうか、ちょっと長くなってしまいましたが相場のメカニズムを捉える事によって自身の精神状態はおろか、その後の展開もシナリオを立てやすくなるのです。この記事が皆様にとって今後の投資家人生の発展に寄与できる事を願っております。

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