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解釈-大理石の男 -Człowiek z marmuru-

解釈-大理石の男 -Człowiek z marmuru-

大理石の男 (Człowiek z marmuru)1977-ポーランドの映画      監督:アンジェイ・ワイダ(Andrzej Wajda,1926 - 2016/ポーランドの映画監督)                               脚本:アレクサンドル・シチボル・リルスキ
製作:バルバラ・ペツ・シレシツカ
出演者:クリスティナ・ヤンダ、イエジー・ラジヴィオヴィッチ

労働者の英雄は、なぜ、抹殺されてしまったのか(?)

スターリンの時代と現代(1978)のポーランド社会をつないだ構成で、ポーランドの戦後と、イデオロギーによって、労働者の英雄に仕立てられた若者である煉瓦積み職人エマテウシュ・ビルクート(イェジー・ラジヴィオヴィッチ)を描く。ビルクートの悲劇は、煉瓦積みのデモの時に、*熱く焼けた煉瓦を手渡したとする疑われる同僚をかばった、その行為が原因だった、そして、テロリストとして、投獄・離婚と重なる・・・                          (註)*熱く焼けた煉瓦を手渡した:そこには、サボタージュの意図があった・・

この事象を、後の時代の女子学生(アグニェシカ:クリスティナ・ヤンダ)のドキュメンタリー制作のプロセスからの切り口で描かれている。

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ポーランド現代史の裏面を描く-大理石の男

ポーランド 1976年 スターリン時代に労働者の英雄に祭り上げられた男の大理石像が、制作中の記録映画(放送用)の取材で訪れた博物館の片隅に放置されているのを映画大学の女子学生であるアグニェシカが発見する。

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彼女が、その像の男の真実を探り、ポーランド現代史の裏面に深く立ち入っ ていく様を、重厚なリアリズム描写で映画化したアンジェイ・ワイダ監督の作品。

この映画は、時の体制に翻弄される庶民を描くワイダ監督の次回の作品「鉄の男」につながる。それは、本来は、Net等で映画を観ることが的確に内容を捉える訳だが・・

出獄したビルクートは、入獄中に別れた妻を探してだが、再開は不明だ。ただ、ビルクートの前妻が、ザコパネ(Zakopane/ポーランドの都市)にいるという情報から、街を訪ねた制作者のアグニェシカは、前妻に会うことができた。そして、彼女の悲惨な生活と、夫との再会の話に胸を打たれる。しかし主人公が見つからなくては映画が完成できないという状況で、結局、テレビ局から、アグニェシカの企画は没になるが・・・

そして、鉄の男へ、つながる

ただ、アグニェシカは、ビルクートの息子が、グダニスクの造船所で働く事を知り彼を訪ねた。すでに、ビルクートは他界しており、それ以上のことは息子の口から聞き出せなかったが、諦めない彼女はビルクートの息子と共に・・・

 庶民の生きざま

大理石の男、それは、理不尽な政治的な背景の体制下での庶民の生きざまが、淡々と描かれている。

1978年の第31回カンヌ国際映画祭で、当時のポーランド当局に無断でスニークプレビューされ、国際映画批評家連盟賞を受賞。

(註)そして、続編である「鉄の男-1981」は、ポーランドの自主管理労組(後の連帯)の政治性についての考察な位置付けとなっている。

この流れで、ランダムになると存じますが、「鉄の男-1981」に続きます。お時間の許す折にでも・・・

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