有楽町ウィンドウギャラリー2024
国内有数のブランド街である丸の内仲通り。
その通り沿いには、草間彌生さんや舟越桂さんといった、国内外で活躍するアーティストの彫刻作品が設置されています。
そんな「丸の内ストリートギャラリー」とは別に、現在、丸の内仲通りで営業する店舗数件を舞台に、“有楽町ウィンドウギャラリー2024”なるイベントが開催されています。
参加店舗は、全部で8軒。
それらの店舗には、お店のイメージに合わせて、それぞれセレクトされた8人のアーティストの作品が設置されています。
“ウィンドウギャラリー”というイベント名ゆえ、
各店舗のウインドウに作品が飾ってあるだけかと思いきや。
店舗内のあちらこちらにも、さりげなく、(全然さりげなくないのもありますが、)作品が設置されていました。
さらに、各店舗には、ショップカードのような、美術作品カード(?)もそれぞれ設置されています。
こちらは持ち帰り可能。
思わずすべてのアーティストの作品のカードを集めたくなること必至です。
なお、カードに記載されたQRコードを読み取ると、アーティストに関する詳細な情報を知ることができます。
さらに、掲載された情報の中には、作品購入の問い合わせ先も。
なるほど。実際に購入できるので、“ウィンドウミュージアム”でなく、“ウィンドウギャラリー”なのですね。
普通に営業しているお店の中に美術作品が、それも活躍中の作家の美術作品が溶け込んでいるというのは、ありそうでなかったタイプのアートイベント。
今年で3年目とのことですが、ぜひ来年以降も継続して頂きたいものです。
⭐️
ちなみに。
個人的にもっとも印象に残っているのは、人気キャラメル専門店「NUMBER SUGAR」のために、山本万菜さんが描きおろした新作《Somewhere not here》でしょうか。
パッと見は、マティスの切り紙絵を彷彿とさせる抽象的な絵画ですが、横たわる女性が、花が活けられた壺を持っている様を描いた作品とのこと。
飾られているだけで、空間全体が華やかになる。
そんなポジティブなパワーが感じられる作品でした。
このアートイベントが終っても、そのまま飾っておけばいいのに。
そう思ってしまうくらいに、店舗の空間にマッチしていました。
なお、山本さんは「NUMBER SUGAR」のパッケージのデザインも担当されているそう。
どうりで店舗の空間とマッチするわけです。
それから、もう一人印象的だったのが、THE LAKOTA HOUSEに作品が設置中の篠崎裕美子さん。
彼女の肩書きは一応(?)陶芸家のようですが、陶芸というジャンルの枠に捉われない作品を発表し続けています。
例えば、こちらはテディベアをモチーフにした作品とのこと。
テディベアらしさは、ほとんどありません。
突然変異で生まれたクリーチャーのような、『バイオハザード』に出てきそうなヤバさがあります。
なお、ウインドウに飾ってあったの作品も、クリーチャー感が溢れていました。
ただ、こちらはクリーチャーはクリーチャーでも、ウイルス感染の突然変異で生まれたタイプではなくて、遊星からやってきた地球外のクリーチャーといった印象。
ねっとりと垂れた透明な釉薬が、エイリアンやプレデターの粘膜を彷彿とさせます。
THE LAKOTA HOUSEで販売されているのが、王道も王道のトラディショナルな革靴や革製品だけに、篠崎さんの作品の異質さが際立っていました。
そうそう、陶製の作品と言えば。
粗い粘土を用いて、独特の表情を持つ動物作品を生み出す、イギリス出身・在住の彫刻家ステファニー・クエールも本イベントに参加しています。
作品が展示されているのは、紅茶ではなく、お茶屋さん。
その店舗のあちこちに、ウサギやカエルなど、
鳥獣戯画からインスパイアされたという動物作品が設置されていました。
ちなみに。
入り口の扉を開けると、まず出迎えてくれたのが、こちらの作品でした。
ニホンザルをモチーフにした作品なのでしょうが、
一瞬だけ、割烹着を着たお茶屋の女将に見えました。
きっと京都弁の。
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