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イベントホライズンラブストーリー

「アルマ。無事帰ってこれたら、、」

「行かないで、ヒカル。お願いだから私の傍にいてよ。」

「また会おう。」

私の願いも虚しく、ヒカルは行ってしまった。

宇宙の果てへと向かって。

ここから動くことすらできない私には、彼の姿がどんどん遠ざかっていくのをただ黙って見ていることしかできないのに。

季節だけが私の前を通り過ぎていく。

何度目かの桜が散り始めた頃、ヒカルの速度が上がりはじめた。

グングン、グングン。

これ以上速くなってしまったら、彼の姿を追うことすらできなくなってしまう。

彼の姿が光に変わったその時だった。

彼が止まった。


「ヒカル!!」

私の心は震えた。

これでヒカルの姿を見失うことはないのだから。

たとえ追いつけなかったとしても、

離れているのは距離だけなのだから。



「さよなら。アルマ。」

ヒカルは漆黒の世界へ吸い込まれていった。



             ~事象の地平面より愛を込めて~