41.白夜行(東野圭吾) 感想・考察

東野圭吾さんの白夜行を読みました。
前回に続いて東野圭吾作品。
2006年に放送されたドラマ版の方が有名だと思います。
桐原亮司を山田孝之、唐沢雪穂を綾瀬はるかが演じたのを記憶にある方もいるでしょう。
私はドラマ版も映画版も観ていないため、完全初見で読み進めていきます。
こういう有名ドラマ系の原作を読むの外れがない気がしています。
827Pと普通の小説の2倍以上ある文量ですが、楽しみです。

こっからネタバレ
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文量の割に一瞬で読めた。
面白い。
この作品、ちょっとしたミステリーになっており、一章の時点では誰が犯人なんだ?って追い求めていくのかと思いきや
2章で亮司と雪穂の繋がりが、RKのイニシャルの贈り物で仄めかされ、3章はいるころには確実にこいつら犯人やないかいって読者視点は理解できます。
しかも、絶対に亮司と雪穂視点ではなく、その周りの人視点で物語が進むから何か得体のしれないものを追い求めていく様を見れるんですよね。
しかもそれが現実にありえそうな非現実。2章での強姦事件や3章での違法売春はそれ自体が非日常すぎて読んでるだけで面白いんですよね。
小説の見せ方としてすごいのは、
いかにも脱線した話のように見えて、地続きに繋がっている物語を、読者が退屈しないような物語構成になっているのがすごい。
雪穂の周りで起きる不穏な事件の数々を見て、あー裏で亮司がやってるんだろうなーって読者に想像させるのが上手い。
毎章新しい登場人物が出てくるのですが、その人たちが不幸になる未来が見えて、読み進めるの辛いとこもあるのですが、それ以上に怖いもの見たさで手が止まらないんですよね。
雪穂の最初の結婚相手の高宮誠も不倫により多額の慰謝料を取られ、不幸になっていく未来が見えるのですが、
その過程は読み物として、非日常すぎて面白かった。
そしてここまで読んでいると、第三者視点なのにも関わらず少なからず亮司と雪穂に感情移入するところもあり、結末がどうなるのか気になりました。
肝心のオチはというと、亮司死ぬのかよと思うわけですが、雪穂が「知らない人です」と言い放ち去っていくという終わり際は割と好きでした。
白夜行というタイトルよろしく、亮司が望んだように、雪穂はこれから太陽の下を歩いていくのだろうと思いました。

しかし私が察するに、東野圭吾さんはオチを書くために白夜行を書いたわけじゃなくて、
子供のころから生きるために犯罪を犯していくという二人の男女とそれに関わる人々を書きたかったんだろうなと思います。
明らかに騙される側の視点の人を書くのと、悪女を書く時の筆の乗り用を感じる。
だからこその、感情を揺さぶるような陳腐な主人公視点を書かずに、第三者視点で物語を進めたんでしょうね。

ドラマ版や映画版では流石に主演の感情表現を割愛するのは無理だったみたいで、普通に亮司と雪穂が話すシーンもあるし、最後も雪穂は涙を流しながら去るようです。
どちらの方が好きかと言われればどちらも良さそうという感想。

突っ込みどころといえば、
・亮司と雪穂に恋愛感情がないとおかしいのに、その描写を一切しないこと
・少年法的に14歳以下の犯罪は捕まらない
・殺人を隠すために殺人をするなよ
・強姦にトラウマがあるはずの雪穂が使う手段として強姦はどうなのよ
というところですが、物語に波を持たせるために仕方ないんだろうな。
些細な気になる点なので、物語全体としては凄く面白かったです。

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