40.容疑者Xの献身(東野圭吾)感想・考察

東野圭吾さんの容疑者Xの献身を読みました。
恐らく東野圭吾さんの作品の中で最も有名なガリレオシリーズ。
その中で一番人気な作品ではないでしょうか?
第134回直木賞受賞。他にも数々の賞を取って5冠を達成しているようです。
時系列でいうと3作品目?1作目2作目は短編集で、今作が初の長編となります。
結構昔の話ですが、映画版も大ヒットした作品です。
福山雅治演じる湯川の「実に面白い」が有名ですよね。
小説では全く言わないので、恐らくドラマオリジナルなんでしょうが。

私自身はガリレオシリーズをドラマ版も映画版も観ていなかったので、小説として楽しむことを決めました。
これを読むために、探偵ガリレオ(1巻)を先に読みましたよ(笑)
そっちの感想は書かないです。
こういう有名ミステリーってふとしたきっかけでネタバレ喰らう可能性あるから早めに読んだ方が良いですね。

こっからネタバレ~~~~~~~
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いやーすごい。(実に面白い)
オチも、それに至るまでの過程もすごい。
本作は既刊の展開と同様に、最初に犯人が明らかになって、そこからガレリオ先生と呼ばれる湯川がどのように事件を解決していくかが描かれていきました。
最初に犯人がわかっている作品を楽しめるのか?という疑問もあるのですが、犯人を知っているからこそのトリックがすごい。
そして天才の湯川のライバルである石神哲哉のキャラもすごい。
中盤ストーカー紛いなことをしており、異常性を発揮するのですがそれすらも伏線だとは・・・。
他の東野圭吾作品を読んでいても感じるけど、犯罪者心理だとか人の感情を表現するのが本当に上手い。

さて、本作の肝であるとこは主に二つあると思います。
・一つは靖子と美里のアリバイを作るために、もう一人偽装の殺人を犯していたということです。
私はこれについては、顔を潰して自転車に指紋がついていたの時点で替え玉かなと予想していました。
そして、湯川の不要な歯車なんてない発言で確信。
これは小説の作り方が良くないのかもしれませんが、冒頭に意味ありげにホームレスにピックアップしてるの何か使うと思っちゃいますね。
ミステリー慣れしてる人なら気づいてしまいそう。
映画版の方がさりげなくブルーシートを映すだけなんだろうなと思うと、映画版で見た方が衝撃を味わえそうだったと後悔。
ちょっと突っ込むならば、借りていたホテルに身代わりを一日住まわせる言うても、
元の痕跡素人が消せるわけなくない?って思う(そもそも消した痕跡が不自然でばれない?)
意外と都会って防犯カメラの映像残っててすぐばれそうでは…?とかも思うけども(新宿までの移動とか)
これは『invert 城塚翡翠倒叙集』での受け売り。
まあ2006年くらいの作品なので、当時は警察の技術が発達していなかったということにします。

・2つ目の自らが自首することで完全犯罪にするという手法。
これは驚きました。

全ての違和感はここに繋がっていたのかと…。
・バレやすそうな公衆電話でのやり取り。
・尾行してまで工藤の写真を撮ったこと。

容疑者Xの献身というタイトルが正に納得できました。
こっからオチをどうするのか、というところで有名イギリス作家のあの作品よろしく、情状酌量の余地ありということで親子の罪を不問する流れかと思いきや、
流石に犯罪を助長させるようなオチは書かなかった模様。
それでも最後の靖子と石神が泣くシーンは、結局そうなるのかと石神も私もやるせない気持ちにさせる素晴らしいオチでした。
石神視点で描かれているシーンが多いからか、どこか共感してしまって悲しい結末すぎてもらい泣きしてしまいますね。

さて一つ疑問なのですが、真相にいち早く気づいていた湯川でしたが靖子に真実を伝えるのは果たして正解だったのでしょうか…。
友人として石神の気持ちを汲み取るべきだったのか
真相を伝えたのは殺人という罪が許せなかったのか、
はたまた物理学者としてライバルの出した問題を解きたかったのか、靖子に知ってもらわなければいけないと言ってはいましたがちょっとモヤっとしました。

娘の美里は殺人の罪に耐えきれなくてリスカしてしまったわけですが、そりゃ思春期の子供が抱えられる重圧ではないですよね。
誰も幸せにならないオチなわけですが、何だかこういう作品の方が読後感が良いのは何ででしょうね。
沈黙のパレードと真夏の方程式もすっ飛ばして読もうかな。

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