51.成瀬は天下を取りにいく(宮島未奈)感想考察

宮島未奈さんの成瀬は天下を取りにいくを読みました。
2024年本屋大賞受賞。
大賞を受賞した直後にポチりました。

滋賀県大津市を舞台に、主人公の成瀬あかりを中心とした出来事を描いた作品です。

こっからネタバレ(ネタバレっていうほどのネタバレがないから、別に未読でも感想読んでも良い)
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面白いというよりは読みやすい作品だった。

1話のありがとう西部大津店では
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」という書き出しで始まります。
小説の"天下を取りにいく"というタイトルから想像するに、本当に西武の復興を担う役割を果たすのかと思っていたらそうでもなく、
特に物語に抑揚もなく進みます。
地元愛のある特徴的な成瀬がテレビに映ってそれに対する周りの反応を描くという1話でした。
成瀬という存在は異質で、その異質さ故にいじめられたこともあるようですが、そんな不思議少女を取り巻く環境を描くというラノベを現代風にしたらこうなるだろうなという感想が浮かびました。

成瀬という存在は、まさに涼宮ハルヒを薄めたものなんですよね。
涼宮ハルヒを超常現象もなく、何も起きなくした感じですね。

2話のM-1の頂点を目指す話も同じようなノリでした。

正直3話の"階段は走らない"の話は冗長がすぎていらなかった。
4話の"線がつながる"と5話の"レッツゴーミシガン"と続き、
本書は成瀬の特異性を、成瀬本人の視点ではなく、他視点から見てきました。
これまでは周りを振り回していく、唯我独尊系主人公のような振る舞いを印象付けられて来ました。
(後ろめたさを無くした『白夜行』みたいな話の進み方だなと感じました)

しかし、最終話の"ときめき江州音頭"では成瀬本人の視点になります。
やはり、成瀬の考え方は異質なのですが、これまでの唯我独尊系の印象はありません。
どこにでもいるような女子高生で、友達の島崎との関係性を気にする俗物的なとこが垣間見えます。
作者の書きたかったところは、このギャップなんだろうなと感じます。
これまでの周りから見た印象値と、本人視点のギャップにやられます。
最後にゼゼカラは解散しないと宣言するところで、綺麗に短い青春を味わうことができました。

正直私の感想は本屋大賞を受賞するような作品か?という感想です。
もっと心が揺さぶられる作品を読みたい私には物足りなさも感じました。
しかし読みやすく、当たり障りもなく、後味も良いので全年齢読めそうな作風は一般受けは良いだろうなとも思います。
作者もこんな青春を味わってほしいし、味わいたかったんだろうなと思います。

ちなみに『成瀬は信じた道をいく』という続編も発売されています。私も気が向いたら読もうと思います。

私は涼宮ハルヒの憂鬱信者なので、この作品を面白いと思った方は涼宮ハルヒの憂鬱をラノベで呼んでほしいなと思いました。

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