37.蜜蜂と遠雷(奥田陸)感想考察

奥田陸さんの『蜜蜂と遠雷』を上下巻読みました。
2016年に刊行され、直木賞と本屋大賞をダブル受賞した作品となります。
ピアノコンクルールで4人の天才が、予選・本線と互いに刺激を受けながら成長していく話です。
正直私はピアノに触れたことない人生なので、読み切れるかどうかちょっと不安でした。
内容も長編小説で上下巻合わせて950P
『四月は君の嘘』楽しめたし、本屋大賞だからまあ読めるだろと読み始めました。

こっからネタバレ感想(正直ネタバレとかないから未読でもこの先読んでいいです笑)
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面白い!
けど、難解。
というか不満点も多々ある感じ。
音楽何かしらやってれば、もしくはクラシック詳しければもっと楽しめそうだとは思いました。
本作はピアノコンクールの予選から本選までを描くのですが、天才たちの人間模様と成長を見るのが面白い作品でした。
作者の奥田陸さんは取材のために実際にピアノコンクールを見たようで、クラシックに関する知識やピアノコンクールで実際に起こったことがあるであろう舞台裏が覗けました。
コンテスタントがピアノを弾いてる中、実際にその曲を聴いてみたいと思うような表現力で実際に音が出せない小説という作品なのに、キャラクターたちが惹いてる姿が浮かんでくるような文章力でした。
映画化もされているし映画作品で見た方が初心者はわかりやすそう。

しかしまあ難しい。
こっからはちょっと愚痴なので、素晴らしい作品だったで終わりたい方はブラウザバックをしていただきたい。

本作は多種多様な視点から描かれるわけですが、その人間関係をそこまで描かないんですよね。
主軸はコンクールと曲の表現だぞと言うような・・・。
天才たちの音楽への熱意というのは読んでいて、胸が熱くなりはするのですが、共感しにくい。
『4月は君の嘘』では単純に恋愛模様や死生観を書いてくれたから月並みに感動できたのですが、
『蜜蜂と遠雷』での盛り上がりポイントって、おー風間塵天才すぎ!っとか、予選受かったか落ちたとか。
物語は淡々と進むし、予選と本選をそれぞれのコンテスタントで4回やってだからだれるだれる。
審査員も忍耐が必要と描かれていましたが、読んでいる私もちょっと忍耐が必要でした。
演奏中の表現も詩的すぎて、頭に入れるのが難しい。
最後の栄伝亜夜の演奏もまるまるカットで、その後日談も順位だけわかるだけです。
続編もあるらしいですが、それぞれの後日談はちゃんとほしかった。
これじゃ打ち切り漫画みたいな終わり方だなと残念。

世間ではかなり高評価されているみたいですが、一般人の私には難しい小説でした。
しかし、ピアノコンクールやクラシックっていう難しい題材な上に、音楽を文章だけで表現しているその技術は素晴らしい。
直木賞をとるほどの作品というのはわかります。
やはり読書というのは自分が知らない世界を知れるので、そういう意味では大変面白い作品でした。

最後に、タイトルの蜜蜂と遠雷ですが
"蜜蜂"はもちろん風間塵のことでしょう。
"遠雷"ですが下巻にちょっとだけ記述があって、遠くの方で雷が聞こえると。
"遠雷"とは遠くで才能を燻っている栄伝亜夜のことなのでしょう。
タイトルオシャレで好き。


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