SNSとリテラシー

(注)この文章は、某ブログに書いた文章をほぼそのまま転載しています。


せっかくブログを始めたと思ったら、もうサービスが終わるとは…。移行先を考えないといけません。今のところ、noteが使いやすそうかな、と考えています。


そういえば、一つ前の記事でツイッターとネット右翼に触れたので、今回は、それに絡めてSNSについて書いてみたいと思います。


SNSの走りといえば、mixiやモバゲーでしょうか。10数年前、友達が「mixiをやらないか?」とやたらと誘っていたのを思い出しました。その時は即行で断りました。当時の私がネットを自由に見られる環境にはなかったのもありますが、本当の理由は「ニックネームを名乗って内輪でやり取りして盛り上がる」というのが気持ち悪かったからです。


実際に、「出会い系サイト」の代わりにSNSを使う輩が出てきて、いろいろと問題になりました。その後、SNSの本場であるアメリカ資本のツイッターやFacebook、韓国資本のLINEなどが国内に参入するようになり、国産のSNSは影が薄くなってきました。


話が明後日の方向に行ってしまったので、本筋に戻します。


当時はSNSに否定的だった私でさえ、今ではブログやLINEなどを使っており、多くの人がSNSを活用するようになりました。一方で、ネットに「洪水のように」出ている情報を正しく取捨選択する能力である「リテラシー」がないまま、これらのSNSを利用する危険も指摘されています。いわゆる「バカッター」とか「インスタ蠅」と呼ばれる輩とか、YouTubeなどの動画配信サイトにバカな動画を載せる輩が増えているのは、その証でしょう。


中には、「ネットにこそ真に正しい情報がある」とか「既存のメディアなどなくなればいい」とのたまい、ろくに裏取り(ファクトチェック)もしていない「まとめサイト」の情報に踊らされる輩もいます。「ネット右翼」が「右翼」ではなく「情報弱者」と揶揄されるのはそのためです。既存のメディアにいろいろと問題があるのはたしかですが、これらのメディアは報道機関・表現者として取材を重ね、裏取りをし、さらには厳しい校閲を内部で行い、発表をしているのです。例えば、「ウィキペディア」に載っている記事をそのまま引っ張ってくる「素人」が偉そうに「沖縄の二紙なんぞなくなればいい」などというのは、暴論以外の何ものでもありません。


私は朝日新聞や東京新聞の論調は好きではありませんが、「報道機関」としての矜持を持って調査報道をしている姿は素晴らしいと考えています。その点で怪しいのが産経新聞でしょうか。沖縄で起きた事故について裏取りすらしていない与太記事を載せてしまい、「ネット右翼の同人誌」と揶揄されました。ネット右翼界隈で「ねつ造」を意味する「アサヒる」という言葉は、そのうち「サンケイする」に変わってしまうかもしれません。


SNSの発達は、私を含めた「素人」が情報を集めたり発信したりする上で大きな役割を果たしています。しかし、「素人」が一丁前に政治・経済・社会を論ずることは上記のようなリスクが生じる恐れが大きいこともたしかです。私たち「素人」は趣向や好みに応じて、「見たいもの」や「聴きたいもの」だけを追い求めがちです。つまり、ネットやSNSで手に入れる情報に、いつの間にかバイアスがかかるのです。実際、ツイッターやFacebookに出てくる「おすすめユーザー」や「おすすめ情報」を見れば、いかに「偏っている」かが分かります。


自分が「見たいもの」や「聴きたいもの」を追いかけて「偏る」人間だと自覚し、目や耳にしている情報が事実なのか、示されている解釈が正しいのか、を常に疑う必要があります。そうしなければ、知らず知らずのうちに「まとめサイト」や「カルトサイト」に、濁流に流されるがごとく取り込まれてしまうことでしょう。この手のサイトに取り込まれるのは、どちらかというと「ごく普通の善良な市民」が多いのです。そんな「普通の人」が知らず知らずのうちにヘイトやカルトに加担してしまうことが、何より恐ろしいと思います。ハンナ・アーレントの「イェルサレムのアイヒマン」やジョージ・オーウェルの「1984」を読むと理解できます。


先日、沖縄県で実施された住民投票において話題になった「ミキオ算」なる与太丸出しのネタも、SNSにおけるネット右翼界隈では「真実」として語られているようです。「ネット右翼」や「カルト」に対抗できるリテラシーをしっかりと持っておられる論者の文章を読むよう心がけたいものです。なお、「ネット左翼」なる人たちにも同じ指摘が当てはまります。どちらも、「見たいもの」・「聴きたいもの」だけを追いかけ、内輪の生暖かい世界でオ●ニーをしているだけなので、根っこは一緒なのです。


最後は毒気が強くなってしまいましたが、SNSやネットは便利であるがゆえに落とし穴も多いことを自覚しつつ、うまく利用していきたいものです。

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