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術後3カ月目の小旅行ー「9年に一度の凶運年?!」と名刹での出会い

手術から3カ月。思い切って旅に出た。目的地は、電車で2時間ほどの海沿いの温泉だ。

どうにもならない体の痛み、だるさ。復帰できるのか、治るのかなど、先の見えない不安。そういったものから逃れたくて、小旅行に出かけた。

もともと旅は大好き。以前は、時間があればふらりと近場に遠出していた。そんな日々に、早く戻りたくてお試し旅行をしてみよう、とも思った。

移動は簡単、乗り換え少なく座れる時間帯。現地では観光しない、出歩かない。体力を使い過ぎないために。2泊して、ひたすら温泉に入ってのんびり。いつもはがちゃがちゃ動いてしまうけど、とにかくストレス(疲労も含む)を排除することが狙い。

もちろん、不安はあった。体力は持つのか?出先で何かあったらどうするのか?

予備のコートリルは持った。体温調節がしやすい洋服、小腹が空いたときのエネルギー補給のための軽食もばっちり。もしもの時の緊急連絡先などが書かれた「副腎カード」も、ヘルプマークも持った。あとは、リラックスのお供の本と、いろんな思いを書き出すためのノート。

目的はひたすら、のんびり。温泉に入りまくり、布団で本を読みまくった。

最終日、宿の目の前にあるお寺に行った。日蓮上人ゆかりの由緒ある名刹だという。

お守りを買い、のんびり境内を眺めていると、生まれ年ごとに今年の運勢が描かれた紙が置いてあった。
どれどれ、私の生まれ年の運勢は…?
なんと、「9年に一度の凶運の年」らしい。「困難、試練の年」だという。

ええっ!もうすでに試練、困難にはどっぷりつかっておりますが…これでもまだ足りないというのですか…😢😢😢

思わず売店に駆け戻り、厄除けと身代わりのお守りを買い足してしまった。なんだか必要な気がしたから…

お寺の方が柔和なお顔でこちらを眺めているので、つい「9年に一度の凶運らしいんです」と言い訳をしてしまう。

するとその方は、じっくりと(運勢が書かれた)紙を眺め、「確かに。大きな決断は先延ばしにしたほうがよいけど、だからといってやりたいことを我慢してはダメよ」と仰った。

そして「特に大事にしなければいけないのは健康」と仰る。
ビンゴ!
まさにそれな。
「はあ、実は私いま病気療養中なんです…」と伝える。

「あら」。と一言おっしゃると、その方は、静かに、でもとうとうと話し始めた。

「”厄”というのは”役に立つ”の”役”でもあるの。だから、小さくてよいから人の役に立つことをするとよいのよ。ゴミを拾うとか」
「でもあなたの場合は、まずはあなたが健康になることが最優先。あなたが元気であれば、周りも”よかったね”といって元気になる。誰かを笑顔にするのは簡単なことではないからこそ、笑顔にすることで誰かの役に立っている。だからまず、あなた自身が健康になることが厄除けになるのよ」

そうか、そうなんだ…うんうん、と頷きながら、ぽろぽろと涙がこぼれた。

私の家族、友人、その他大事な人たち。
みんな「心配してるよ」なんて言わないのは、あえて私を心配させないようにしてくれているんだろう。でも、私が愚痴ったり不平不満を言ったり、具合が悪くて寝込んだりするとき、どれだけ心配をかけているんだろう。

その人たちを早く安心させたい。

話を聞きながら、健康に不安を感じる自分自身の気持ちも再確認できた。

焦ってない、と思い込みつつ、実は回復したくて焦りまくる自分の姿も。

もうこうなったら、覚悟を決めて、焦らずのんびりやっていこう。
身体の声を聞き、健康最優先で。

帰宅すると、家族が何事もなかったかのように「お帰り」と迎えてくれた。でも本当は、「何かあったら…」とドキドキしていたのかもしれない。

思い切って小旅行に出たことで、ちょっと自信がついた。泊りがけで遠出したり、慣れない環境や他人がいる場所でも体調を崩さずいることができた。何より、普段とは違う美しい景色を見て、温泉に入ることで、精神的にはとてもリフレッシュができた。

一方で、姿勢を変えたり、食事や着替えなど日常の動作をするだけ痛かったりすることは変わらず、自分の症状を思い知らされて落ち込むことも続く。

はあ、この状況は変わるんですかね…

そして、主治医との乖離も広がっていく…

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