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俳句の時間 2022.01.06

甥っ子の保育園送迎から帰った妹の第一声。

「今日はゴアテックスだと恥ずかしいわ」

雪解けてるし、朝からご機嫌に晴れてるからね。

それはそれはよく晴れて、関西の自宅の元朝を彷彿とさせる。

そういえばトイレが詰まったよな、ジーザス!

若水ではないが、水つながり。それはさておき。

元朝に最初に汲んだ水のことを若水というそうで、発想が貧困な私はどうしても厨仕事に縛られてしまうが、例句がすごい。

若水や天津広海星の綺羅 松根東洋城

思いっきり中八三段切。だけど状況がよくわかる。朝まだ暗き夜明け前の星々のきらめきと天津の広い海。自分が汲んだ若水に星々を映し取れば、目の前の天津広海と手元の若水が結ばれる。壮大で、かつ水なる命のつながりを感じる一句だ。

水といえば、こんな話を聞いたことがある。
人間の涙はおよそ20年かけて雨になる。
元朝、喪中ながら餅をゆでる水を鍋に取った時にふと思った。

娘が赤ん坊のころに流した涙が、いまここにある。
あの子が流していった涙が、まだまだ私を温めてくれるのだ。
私やあの子を知っている人たちがあの子を思って流す涙は、
20年たてば再び長く降り続ける。

若水や吾子の涙の吾に還る  要

いつまでもお前の水が私に帰ってきているよ。

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