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俳句の時間 2022.02.01

おととしの暮あたりからよく眠れない。一度眠りに落ちてもすぐに目が覚めてしまう。時計を見て、ああ、一時間か、三時間か、とそのつど落ち込む。子供相手の仕事をしていた時は、あっという間に眠りに落ちて、6時間くらいまとめて眠れた。あんなによく眠れた日々(夜?)はもう来ないんだろうか。これまで何度か期待したけど、多分もう来ない。そんな私にうってつけの一句が今日の裏季語。

或夜半の炭火かすかにくづれけり 芥川龍之介

眠れなくていつまでもいつまでも炭火を見ていたんだろう、ただぼんやりと。

リアルに炭火を熾した経験はないけど、芥川のようにぼんやりと炭火を見てみようと妄想したら、私の聴覚が灯油ストーブの安定感のある送風音をとらえた。これ、同じ暖房でも炭火だったらどうだろうかとさっそく音源を探すと、今どきはASMRといって睡眠用のBGMになっているらしい。炭火だけじゃなくポテチの袋のガサガサ音やカバがスイカを咀嚼する音まで幅広い。よし、今夜はこれらを試しに聞きながら就寝しよう…

…そうそう、炭火。炭火の立てる音は燃えたり爆ぜたりきっと忙しいに違いない。

或夜半の炭火と語る吾子のこと 要

涙乾く炭火ぞんがいおしゃべりで 要

独り言上手くなる夜の炭火かな 要

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