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【エッセイ】たぬき寝入り

 馬屋の空き馬房にタヌキが現れた。
 すみのすき間に身を縮めて隠れたつもりでいるらしい。そのまま動かない。見れば皮膚炎なのか、背中の毛がところどころはげている。
 ホックでつついても動かない。まさか、このまま力尽きてしまうのではあるまいな、と姉は警戒心をあらわにした。

 その後、しばらくしてからタヌキはそっと馬屋を出た。
 倉庫の横で寝て、毛づくろいをして、また寝てからヨチヨチとお隣に向かって歩いていったという。

 ことのなりゆきを姉に報告され、とにかく死んでしまわなくて良かった、と伝えた。これに姉は同意したが、次に送った「タヌキ寝入りだったね!」とのことばには、返信をくれなかった。

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