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【エッセイ】きのうの月

 夜、洗面台でドライヤーをかけながら、風呂上がりにしては血色の悪い自分の顔を見ていた。この時間そのものがエッセイみたいだ、とわけのわからないことを思った。
 朝になって、人を待つあいだ隣の犬を観察する。しゃがみ込んで犬小屋をのぞく私を、飼い主のおじさんが窓から見ていた。

 きのうの月が、白い姿でまだ空のはしに残っている。

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