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音楽〜新芽から円熟まで(日記 3/27〜3/29)

3月27日(水)
午後から小さい子(年少、年中、年長)たちの発表会なので、午前中に家事を大急ぎで済ませておく。これでも働き方改革でずいぶんと楽になった。以前は丸々2日間、朝から晩までホールにずっと詰めて、出番以外も裏方をせねばならなかったが、今は自分の生徒の部だけ行けば良い。もちろん、1年のうちには従来のような働き方をせねばならない大きなイベントもあるけど、いい塩梅に年間の行事が振り分けられたものだなあと感慨に耽る。やればできるんだよ(笑)。

緊張した時の様子が、小さくてもそれぞれに個性が表れるもので、やたらハイになってる子、明らかにガチガチになってる子、嬉しくて嬉しくてニコニコが止まらない子、動じずに行動も落ち着いていて人の話もよく聞ける子、と十人十色。特に最後の「動じずに行動も落ち着いていて人の話もよく聞ける子」というのは、どう考えても人生を何周もしていると思われ、もしかしたら私より「先輩」なのかもしれないとすら感じさせる惚れ惚れす流ような佇まいである。

この日のためにそれぞれに日々練習をコツコツと積み上げて、その成果をスポットライトの下で披露する姿は毎年感動的である。兄の孫と同じ歳くらいの子たちなので、なんだったら私の孫でもおかしくない。昔はご両親に感情移入していたが、この頃はおじいちゃんおばあちゃん方のお気持ちにグッと肩入れしてしまう自分を感じる笑。みなさん目を細めて舞台を見つめておられ、その姿は慈愛に満ちていた。尊い光景です。

終了後は今回の発表会には関係のない大きい子たちの通常レッスンがあり、ホールから教室へ車で移動。夜までレッスンをしてヘトヘトである。それでも心地よい達成感です。


3月28日(木)
今日から少しお休み。発表会が終わると毎年いつも数日間はお休みをいただいている。

本日は大阪へ。こちらのステージを聴きに行きます。



指揮者の井上道義氏が2024年末で引退を発表しているのだが、そのファイナルカウントダウンのコンサートのひとつ(本当は昨年の7月に開催されるステージだったのだけれど井上氏のご病気により今日に延期されていた)。大好きなピアニストの小曽根真氏がショスタコーヴィチのコンチェルト2番で演奏という、自分としてはなんとしても聴かねば!というステージ。なんとなんと、一番前の真ん中ブロックの席が取れたのだ!!

仲の良い同僚と一緒に行ったのだけれど実際に座席に座り、私たちはわかってはいたもののあまりの近さに「どうしようどうしよう」と、何が「どうしよう」なのかわからんけど狼狽した。もう手のすぐ届きそうな1〜2メートルのところに井上さんが!小曽根さんが!井上さんの頭の汗の粒や、小曽根さんの手の指の皺までくっきりと見える。お二人とも時に低い唸り声のようなものをあげたり歌ったりするのも聞こえるし、言うまでもなくオケの音もど迫力の近さである。私も同僚もずっと涙目。井上さんのアクティブで華やかなあの踊るような指揮は迫力満点で、時にはオケに分け入ってしまうんじゃないかというくらいの激しい移動距離。小曽根さんの、まるで地熱のように体の内側からふつふつと熱くなる音はいつにも増していて、私たちの心に火を灯しカッカと燃えた。

会場の多くの人も涙目で、私と同僚も終わってもしばらく放心して言葉も発せない状態だった。

昨日は、音楽人生の入り口に立ったばかりだけれど、生き生きとした新芽のような清々しいステージ。そして今日は引退を決意しカウントダウンを始めたマエストロと世界を股にかけるピアニストの円熟みと熱さみなぎるステージ。人生で音楽を友としてずっと歩いてきて本当に良かった、と心底感じる2日間だった。


3月29日(金)
昨日は最終の新幹線で帰ってきたので眠ったのも1時半頃になり(早寝の自分にとってはド深夜)、それもあるしやはり昨日の興奮が冷めやらないこともあってしばらくぼんやりとしてしまった。

そうは言っても義母の送迎業務などあり、すぐに全開で家事に勤しむ。明日から一泊二日で実家へ帰省するのでその準備なども。お正月に帰省しなかったので少し久しぶりである。

さすがに疲れが溜まっている。やたらと眠い。こういう時は猫を吸う(近頃、吸う頻度が高い)。今日はもう1匹の方、トムさんを吸わせてもらう。ついでに肉球の匂いも嗅がせてもらう。猫の肉球の香ばしい匂い、落ち着く。いつもありがとう、猫。

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