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古民家暮らし

私が住んでる家は夫が生まれ育った家で、いわゆる古民家の部類に入る。
近頃は古民家というと、
おしゃれなカフェに再生されたり、
「丁寧な暮らし」を提唱する方々が改装して住んでおられたりして
脚光を浴びている。

私もいっときはそういうことに憧れた。
定年後は改装を施して、カフェとまではいかないけど
「友人知人が集えるおしゃれな空間にでもすっかな」
などと、幾らかかるとかどれくらいの手間がかかるとかは一切無視で
呑気に考えていた。

しかし、このところは古民家での古民家らしい暮らしのほうが温かみがあるな、
と思い始めている。
たまたま「メタモルフォーゼの縁側」や「海街diary」(こちらは再見)を次々と観て、
あらためて古民家での古民家らしい暮らしの良さを再確認したのだ。

おしゃれに改装した古民家の特徴として感じるのは
モノが恐ろしく少なくスタイリッシュということ。
私から見れば閑散としていると感じるほど笑。

しかし、先に書いた2本の映画の室内は適度にごちゃついているのだ。
と言っても散らかっているわけではない。
掃除もなされていて、清潔感があるのだけれど、
とにかくほどよい「ごちゃつき」があるのがいい。
これを、生活感と呼ぶのかもしれない。

茶ダンスの上に並ぶ、日本各地の土産物。
昭和の花柄の琺瑯なべ。
レターラックというよりは「状差し」といった趣の入れ物に入った様々な郵便物。
柄の統一されていないシーツと布団カバーと枕カバー。
ごちゃつきオンパレードだ。

そしてそれらのモノたちがそれぞれによく働き、
家主に使い込まれて馴染んでいる姿が愛しいのだ。
そういった風情が
「おしゃれにリノベされた古民家」
からはどうしても感じ取れないのは私の偏見かしらね笑

あとこの2作品とも、なんでもないような普段の食事の存在感がいいんですよ。
蕎麦、カレー、イカと大根の煮物、浅漬け、おはぎ、梅酒…
それらのメニューがスッと画の中にしっくり溶け込んでいるのです。

モノは捨てすぎずそこそこ手元に置き、
置いたからにはどれも毎日せっせと使い込む。
料理本を開くほどでもないような日常のメニューを、
淡々と毎日作っては食べる。たまに店屋物や外食。

あれっ、結局今の生活のままやないか?
定年を待たなくても、このままの暮らしぶりでやっていきますわ笑

#古民家 #海街diary #メタモルフォーゼの縁側 #エッセイ

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