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シルヒンド(インド)2018


Punjab パンジャブ

 シルヒンドはパンジャブ州の州都であるチャンディーガールの近郊に位置している。デリーから早朝にチャンディーガールに向かう国内線ゲートを目指して歩いていくと、ターバンを被った男の比率が高い一角があった。パンジャブのことをご存知の方はお分かりだろうけど、パンジャブ州というのはターバンを被るシク教徒が多数占め、その総本山のアムリトサルを抱える地域だ。もう既にゲート番号の確認はいらなかった。

ところでこのチャンディーガールは不思議なことにパンジャブ州の州都であるにも関わらず、なぜかハリヤーナー州の州都も兼ねている。昔にも来たことがあるけど、その時は不思議な話だな程度にしか思わなかったが、ちょっと気になって調べてみた。するとどうやら元々ハリヤーナー州というのは存在せず、パンジャブ州の東部が分割されハリヤーナー州として独立したらしい。なおチャンディーガールは両州の州境に位置している。両州の州都を兼ねているんなら分割の意味があまりなさそう気もするが、その後チャンディーガールがパンジャブに移譲されハリヤーナーの州都でなくなりハリヤーナーに新しい州都をおくような案が出ているようだが未だに実現はしていないらしい。まぁこんな日本人からすると不思議なことが起こっているというのもインドらしい。

Sirhind シルヒンド

 今回はメインでアナンドプールに向かう前に、その序章とも言うべきシルヒンドに立ち寄った。このシルヒンドはシク教の聖地の一つ。シク教は第10代教祖グル・ゴービンド・シング(Guru Gobind Singh)で教祖の系譜が途絶えている。というのは4人いた息子が全てムガール帝国に殺されたためである。このシルヒンドにはその内の二人の息子が生き埋めにされた場所なのである。


Nihang 二ハング

 シク教の寺院はグルドワラ(Gurudwar)と呼ばれる。グルドワラに行くとこんな感じの方を時々見かけるが、この方々は二ハング(Nihang)と呼ばれるシク教の戦士の姿だ。(青色の服が基本とされ実際にも青が多いが)シク教はムガール帝国との血みどろの戦いを長年やってきた。(実際にはとても厳格なアウラングゼーブ帝の時が大半となるが) 第9代目教祖グル・テーグ・バハードゥルがアウラングゼーブによって処刑されると第10代教祖グル・ゴービンド・シングはカールサー(Khalsa)と呼ばれるシク教の軍隊を組織しムガール帝国に立ち向かうことを決意した。もちろん現在においてカールサーは存在しないが昔の名残でいまだに二ハング姿で生活している人が多くいる。インドに行くと様々な人がいるがこのような人がいまだにいるのもインドらしい光景だ。


Langar ランガル

 グルドワラではなんと無料の食事がふるまわれる。シク教に限らずこのように食事を無料でふるまうことをインドではランガルと呼ぶ。シク教ではこのランガルに重要性をおいていて、ヒンズー教などでは異なるカーストの人たちが一緒に食事ができないことへの批判であるらしい。近隣の農家から多くの野菜がグルドワラに寄付という形で納められ、それら大量の野菜をもとに厨房では多くの信者が料理に汗を流している。これらの人々も基本的にボランティアで働いているのである。
 シク教が生まれたパンジャブは肥沃な土地でもあり、インドの穀倉地帯の一つでもある。そんな中で生まれたシク教は貧者への救済ということをかなり具現化した宗教であるようだ。シク教創始者であるグル・ナーナクは世界を旅し様々な宗教を肌で触れ、修行の中でカーストによる差別に対し宗教的観点からおかしいと感じた。グル・ナーナクの考えた生まれながらの差別のない世界というのは今では基本的な考え方(もちろんそうでない地域もある)ではあるが、その当時は少数派の考えで、ある意味グル・ナーナクは未来を見ていたのかもしれない。今ではインドにおいても法律上カーストは禁止となっている、しかし実際には存在している。グル・ナーナクの夢見た世界のゴールはとても遠いけど、直実に実にゆっくりとではあるけれど近づいてはいる。



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