見出し画像

公認心理師現任者講習会〜教員、看護師、SWの受講者が多い理由とその他〜

運営している法人である「一般社団法人国際心理支援協会」では、現在「令和2年公認心理師現任者講習会」の募集を行っています。

公認心理師とは

公認心理師とは、2017年の公認心理師法の制定により、2018年から試験が始まり、2019年には第1号が生まれたという心理学系はじめての国家資格です。管轄は厚生労働省と文部科学省の共管とされています。

公認心理師ができるまでは心理学系の国家資格は存在せず、臨床心理士資格認定協会が認定する「臨床心理士」が最も認知度の高い信頼性の高い資格として、文部科学省後援で有名でした(現在もおそらく最も有名といえるでしょう)。

公認心理師はまだできたばかりの資格ですので、正規ルートである大学4年間の公認心理師カリキュラムを経て、大学院2年間の公認心理師カリキュラムを減るルートに関しては、未だ終えている人がいません(6年間が経過していないため)。そのため、公認心理師ができてからの経過措置として、5年間に限って、様々なルートが用意されました。その中でもGルート(現任者講習会ルート)では多くの公認心理師が輩出されています。

公認心理師現任者講習会とは

公認心理師現任者講習会とは、これまで5年以上(願書を出すまでの間に)の間、心理支援にかかわる業務を行ってきた人が、施設長の許可を得て、本現任者講習会を受講することによって、公認心理師国家資格の受験資格を得ることができるとしたものです。

とはいえ、心理支援にかかわる業務というものの幅が大きく、臨床心理士や産業カウンセラーなどとして心理支援業務を行ってきた人だけでなく、教員として心理支援(教育相談など含む)を行ってきたり、看護師や保健師として、心理支援を行ってきたり(精神科、心療内科が多いが、その他の診療科も含む)、ケースワーカーや社会福祉士、精神保健福祉士として心理支援を行ってきたもの、あるいはキャリアコンサルタントや保育士、介護福祉士なども含まれています。

厳密な意味での心理支援といえるのか、(臨床)心理学に基づいた心理支援なのかということはグレーなところがあるのですが、厚生労働省としてのある一定の基準を示す必要がある中で、このような多様な方々が公認心理師現任者講習会を受けるに至りました。

公認心理師現任者講習会は、2018年(平成30年)、2019年(平成31年)、同じく2019年(令和元年)と行われ、現任者講習会は2020年(令和2年)8月〜12月までの第4回目と、2021年(令和3年)4月〜11月に行われる第5回目と残すところあと2回のみとなっています。

教員や看護師、SW(ソーシャルワーカー)の受講者が多い理由

その中でも、特に小中高や特別支援学校の教員、看護師、SW(ソーシャルワーカー)が多く受講されています。

その理由としては、そもそも公認心理師現任者講習会を受けるルートであるGルートで認められる要件がゆるく、色んな関連する職種の方が国家資格ということでこぞって受講・受験していることが挙げられます。

教員や看護師、ソーシャルワーカーの母数自体が大きく、公認心理師現任者講習会において、これらの方々が受講される場合が多いのは必然のように思われます。臨床心理士やキャリアコンサルタント、産業カウンセラーの数は少ないですが、やはり教員や看護師、社会福祉士なども含むソーシャルワーカーの純粋な数自体が圧倒的に多いのです。

公認心理師現任者講習会自体は、特に受講資格もなくどなたでも受講していただくことが可能ですが、本当に現任者として認められるかどうかについては、施設長の判断や、試験機関である日本心理研修センターの判断がかかわってきますので、あらかじめよく調べておくことが重要でしょう。

以下の記事にも掲載したとおり、このような現状ですので、公認心理師取得者に占める臨床心理士の割合は、年々減ってきているといえるでしょう。

このことに対する是非はよくこれまで語られてきたのですが、これから重要になってくると思われるのは、そのような形で心理学を必ずしも学んできていない方が公認心理師になった場合に関しても、しっかり後からでも学べる環境を作っていくことだと考えられます。

そもそも、臨床心理士指定大学院の大学院生やその修了生、臨床心理士の学ぶ機会自体が、なかなか整えられてこなかったという経緯もあるので、この機会にそのような研修が充実していけばと考えています(研修機会がなかったのではなく、研修機会をどのように探せばいいか、どの研修に行けばいいかなどの指標が示されていなかったことがあります)。

弊法人(国際心理支援協会)では、今年も公認心理師現任者講習会を行う予定で、現在すでに募集を開始していますが、今回オンラインでの公認心理師現任者講習会の受講も可能となったことから、ますます受講者は増えるものと思われます。

今後、このような形で公認心理師資格を持つものは増えてきますが、それに見合った実力、心理学や精神医学、統計学などの知識や技術を持つ方が増えていくことを願っており、また国際心理支援協会でもそのような機会を増やすべく、プラットフォームを作っていきたいと考えております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?