物語の中へ迷いこんだかのような異世界、カシュガル
標高1300m、タクラマカン西端のオアシス都市カシュガル。
人口の80%がウイグル人。
ウルムチとは違い、ここはウイグルの存在感が圧倒的で、漢族の影は薄い。
今まではモスクもミナレットも見られずアザーンも聞こえてこなかったが、ここに来て初めて、大音量のアザーンが轟くようになった。
改めて、ここは本当に中国?
どんなことを思いながら生きているのか。
言葉の壁でうまく聞けないのはいつものことだが、民族のアイデンティティを大切にする姿勢は強く伝わってくる。
まるで異世界。
物語の中へ迷い込んだかのよう。
乱暴な言い方になるが、日本は単一民族の閉ざされた島国。
もちろん厳密にはそうではないが、1億人クラスの人口大国で、圧倒的大多数が日本語を話す日本人で、日本文化を受け入れて生きている、世界でも稀有なほど均一的な国だ。
世界の大半の国は、複数の民族、人種、言語、宗教、文化が混在しており、そこには必ずといっていいほど対立構造、支配関係、著しい格差がある。
みんな仲良く平和に共存、できるわけがない。
中国は、人口の92%を占める漢族の他、55の少数民族を抱える多民族国家。
中でもウイグルとチベットの問題はよく取り沙汰される。
いずれも現状として独立の見込みはない、中国共産党が崩壊でもしない限り。
いや、現代の中国共産党に限らず、アジアの大陸国家はずっと侵略と征服の歴史を歩んできた。
支配しようとする者と支配されまいとする者の戦いは、今も昔も世界中にある。
早くも自動運転によるEVの実用化が進んでいる中国だが、スクーターはだいぶ前から電動化されている。
せっかく静かな電動スクーターなのに、クラクションを鳴らしまくるので結局騒々しい。
ウルムチと同じくホステルに滞在したが、カシュガルの方が観光地として人気があり、日本人旅行者もいるし欧米人旅行者もいる。
英語を話せる若い中国人(漢族)旅行者も多く、中国人(漢族)がどんな考えを持っているのかを知るのに良い機会だ。
しかし、なにせ14億人もいるのだから、中国人といってもいろんな人がいる。
一概に「中国人はこういうものだ」というのは言えない。
僕と話してくれた若い中国人たちは、驚くほど親日で、日本文化についてよく知っているし、基本的な日本語を話せる人も多い。
ホステルのスタッフも、英語を話せる若い中国人(漢族)。
「私たちはここでは生きづらい、ウイグルの人たちから憎まれてるから」
と言っていた。
中国の国土面積は、アメリカとほぼ同じ。
アメリカには4つのタイムゾーンがあるが、中国は時差を設けていない。
東端にある北京を基準とした時間で統一しているため、西端であるこの辺は明らかに時間設定がおかしくなる。
夏は、日没が22時頃。
屋台が活気づくのもそれぐらいの時間から。
旅行者も、昼は暑いので宿でダラッとして、22時ぐらいから活動しだす。
残念ながら、ウイグル料理は残念な感じだ。
よくわからない謎の食材で、よくわからない味、そして辛いものが多い。
腸皮に米を詰めたもの。
寒天のような麺。
宿で出会った旅行者たちもウイグル料理は受け付けないようで、ひどく腹を壊している人もちらほらいた。
なので結局、食べに行く時は無難に中華を探すことになる。
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