見出し画像

中国のイスラム圏、新疆ウイグル自治区の奇妙な世界

標高900m、中華人民共和国ウイグル自治区の中心都市ウルムチ。

世界で最も海から遠い都市。
一番近い海まで2500kmある。

主にトルコ系イスラム教徒のウイグル族が居住し、東トルキスタンと呼ばれてきたが、戦後中華人民共和国に統一されて自治区となった。

ウイグル自治区の住民構成は、ウイグル族47%、漢族40%で、漢族の割合は年々増加している。
チベットと同じく、大量の漢族を流入させてウイグル独自の文化が失われていると聞いていたが、ここウルムチは予想をはるかに上回るほど漢族だらけで、街もいたって中国的。

容赦ない近代化によって支配力を強化させている。
人と金を注ぎ込んで発展させ、既成事実をつくって後戻りさせないようにする、という手口は他の国でも見てきた。

ウイグル語はトルコ語系の言語で、文字はアラビア文字。
漢字、アラビア文字、英文字の3種の表記が見られる。

中央アジアで「ありがとう」は「ラフメット」だった。
ウイグル語も同じで、「ありがとう」は「ラフメット」。
国境で分断されても、民族はつながっているのだ。

ここは本当に中国?

一口にウイグル族と言っても、ざっとトルコ系(中央アジア系)、モンゴル系、ロシア系、アラブ系、と多様に混在しており、とてもひとくくりにはできない。

トルコ系、というとトルコ人がここまでやって来たかのようだが、逆。
もともとここにいた民族がシルクロードの交易などで西へ移動してトルコ人となったので、ウイグル人はトルコ人のルーツだと言える。

女性は皆おしゃれだ。
イスラムだから肌や髪を隠すというよりは、おしゃれを楽しんでいるように見える。

それぞれの出自、自分が何者であるかを、衣装でアピールしているようだ。

しかしかれらの国籍は中国。
全然中国人には見えない。

ウイグル人が多いエリアはそこまで近代都市化していない。

就労年齢、低すぎじゃないすか?

世界中で見てきた、「支配者vs被支配者」の対立構造。
ここはあまりに露骨。
でも、人を見る目は可能な限りニュートラルにしたい。
メディアが発する情報や、人づてに聞いた話は、それはそれ。
僕は体ひとつで世界を旅しているのだから、自分の目で見たものを信じる。

実際に出会う中国人(漢族)は、気さくで親切だ。
登り坂で苦戦してた時、後ろから若い女の子が自転車を押してくれたこともあった。

礼儀、マナー、接客も悪くない。
物乞いやストリートチルドレンは少ないし、押し売りもたかりもいないし、通常の買い物でぼったくられることもない。

そして何よりも、ここでは「チャイナ!」と言われない!

英語はまったく通じない。
かれらが僕に中国語で話しかけてくるのは、英語が話せないからなのか、それとも僕が中国人に見えるからなのか。

カメラを持って街を歩いていても、外国人として見られている感じがない。
旅をしているとジロジロ見られることに慣れてしまうので、まったく見られないと逆に「あれっ」と思ってしまう。
撮影に対する抵抗感もあまりないようで、写真を撮ってもお咎め無しだ。

声はデカイ。
体格は日本人と変わらないのに、この声量の違いは何だろう?

中国旅行の楽しみは、なんといっても中華料理。

中国南部は米食文化だが、北部の乾燥地帯では小麦が主食で、麺文化。
麺のうまさに唸らされる。
何を食べても感動的なまでにうまいが、特に拌面が最高。

中国にもユースホステルがある。

客の8割ぐらいが中国人(漢族)。
ふつう、ホステルは外国人が集まるところだが、こんなに現地人が多いホステルは初めてだ。
レセプションの人は英語を話せるがルームメイトたちの大半は英語を話せず、代わりに片言の日本語を話せたりする。

宿ではWi-Fiが飛んでいるが、ブロックされているサイトが多すぎて、外国人旅行者はほぼ何もできない。

中国のネット規制。
ざっと、

☓Facebook
☓twitter
☓Istagram
☓YouTube
◯Google、Wikipedia
◯Gmail、Hotmail
ブログも読めないものが多い。
規制は年々強化されている。

国外のサーバを経由するVPNを使用すれば、ブロックされているサイトにもアクセスできるが、気が遠くなるほどスロー。
中国人でも若者の多くはVPNを使って外の世界を見ているようだ。

中国は、アメリカ発のGAFAに対抗する独自のプラットフォームを高度に発達させ、世界をリードするほどのIT先進国となった。
14億の人口大国は、内需だけで世界と戦えるほどの力を持つことができるのだ。

今やアメリカやヨーロッパがなりふり構わず中国潰しに必死になるほど、脅威的な存在となった。
2028年にはGDPがアメリカを凌ぎ、世界一の経済大国になるとの予測。
アメリカか中国か、ITを制した者が世界の覇権を握る。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?