働けなくなったら【エッセイ】

こういった記事を書いても、あまり読者に利がないように思い、避けようかと思ったが、私と同じような思いをしている障がいのある方もあるかと思うので、書く。

私の病気の説明を簡単にする。50パーセントの確率で遺伝する、血管の病で、多発性嚢胞腎という。主に腎臓に症状が出やすいのでそんな名前がついている。次いで肝臓、脳動脈瘤などだ。ほかの合併症としては、心臓弁膜症、憩室などがある。
さて、私の今の症状としては、そろそろ透析が必要といったところだ。傍からは分かりにくい症状が多いが、ひどい貧血のため息切れや頭痛、体に毒素が溜まるためだるく疲れたり、頭がぼうっとしたりやる気が起きなかったりする。
こんな状態でも、働かざるを得ないのは、お金がないからだ。資本主義社会において、貯蓄しておかなかったのが悪いと言われれば、ぐうの音も出ない。けれど今ないものはないのだ。

さて、こんな状況なので腎臓に関する掲示板で、「働けない場合にお金を得る方法はありますか」と質問した。答えは「福祉につながれ」だった。では具体的にどういうことかというと、障害年金と生活保護を受けろということだった。これが現実的でないのは火を見るより明らかだ。障害年金は7万円ほど、生活保護を受けるためには実家を出て車も手放し家賃を払う必要がある。本末転倒である。障害年金をひいた額が生活保護では出るのであと5万円ほどだろうか。
今のところは実家にいるべき状況なので生活保護を受けるつもりはないが、両親とも死んで弟に出ていくように言われたら生活保護に頼るしかないが…現実にそう簡単に受け取れるものでもないらしい。

この記事で私が言いたかったのは、この国では福祉に頼って生きていくことは不可能であるということだ。
障碍者についてのライターだと名乗る人も回答者にいたが、生活保護をすすめられた。つまり、ほかに生きていくためのお金を得る手立てがないということである。けれど生活保護は出ししぶられるし、しかもそれだけの金額で独居ではやっていけないということである。
現実に、透析を受けながらパートナーとも言えない関係で暮らしている初老の男女も知っている。2人でなら暮らせるけれど、1人では暮らせないから一緒にいるということなのだ。

医療費が無料になると教えてくれる人もいたが、生活費は無料にはならない。
図太くお金のために結婚してでも生きていくか、それとも潔く去るか。
これは全ての人に向けられている質問だ。
なぜなら働けなくなる可能性は、誰しも持っているからだ。
人は自分が痛い目を見ないと、だいたいのことは想像の域を出ない。こうしてここで痛い目を見ている私ならば、働けなくなって家を失っている人のために何かできるかもしれない。

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