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身体の動きを学んでみる3;筋力について(11)〜筋トレをする前に知っておくこと

ここまで、
筋力について主にトレーニング(筋トレ)をする前に
知っておいた方がいい情報について述べてきました。
以下に簡単にまとめてみました(順不同)。

  • 筋繊維の種類・・・これは前回述べたのでそちらを参照ください。

  • 筋収縮の種類・・・これも筋力について(5)(6)を参照ください。

  • 筋パワーについて・・・筋力について(9)を参照ください。

  • 筋出力に関わる神経の働き・・・筋力について(2)(3)(4)などを   参照ください。

  • 筋の協働(共同)作業・・・今日はこれについて書きます。

筋の協働作業について

さまざまな運動・動作を行うとき、
働く筋肉は1種類ではありません。
多くの筋肉が参加して一つの動きを形成しています。

当たり前のことですが、
意外と意識していない可能性があります。

例えば、
上腕二頭筋(力こぶの出る筋)を鍛えようとすれば、
ダンベルなどを握って肘を曲げる、ゆっくりと下げる
という繰り返しの運動で、目的を達成できます。
<もちろんこの時に、拮抗作用の上腕三頭筋(肘を伸ばす筋)
は弛緩(リラックス)していなければなりません>

では、
体幹筋である腹筋(腹直筋)の場合はどうでしょう?
伝統的なシットアップ(下写真参照)を想像される方が
多いかと思います。

シットアップ(ペアで行う場合)

よく上のように、
ペアで一人は足を固定して行うのが伝統的?方法ですが、
実はこれ、
一人で行う(下写真参照)よりも簡単に体を起こすことができます。

腹筋運動(単独で行う場合)

どうしてでしょう?

実は、
腹直筋と同時に働かなければならない筋肉があって、
その働きが弱い人は、
一人で体を完全に起こすことができません。

その筋肉が腸腰筋です。
主に太ももを持ち上げる(腿上げ;ももあげ)動きを
行うときに働く筋肉群ですが、
それだけではなく骨盤を前傾に維持する(前に傾かせておく)
時にも重要な役割を担っています。

一方で、
腹直筋は骨盤を後ろに傾かせる作用があります。

ですから、
腹直筋で体を起こそうとすれば、
骨盤を後ろに傾けないように固定する力が必要になります。
この固定作用を腸腰筋が果たしているわけです。

自分で体を起こせない人は、腹直筋が弱いというよりも、
固定作用の腸腰筋がうまく働いていないと
考えた方がいいと思います。
※もちろん単に体幹の可動性が減少していて
硬い場合にも体は起きづらくなります。

なぜうまく働かないか?
腸腰筋は太ももを曲げる作用があるので、
太ももが浮いてきてしまうからです。

太ももの浮きをを抑えるにはさらに、
ハムストリングス(太ももの裏にあって、
太ももを股関節から伸ばす作用ないし膝を曲げる作用を持つ)や
大臀筋(股関節を伸ばす作用などを持つ)の働きが必要になってきます。
太ももを浮かないように固定するわけですね。

そういうわけで、
腸腰筋の代わりあるいは補足として、
ペアを組んだ人が足を固定してあげているのです。
こうすると腸腰筋が働きやすくなります
(太ももが浮かずにすみます)。

腸腰筋を固定筋として使わない方法もあります(下写真参照)。

腹筋運動(保持)

いずれにしても、
何らかの運動・動作を行うときには、
私たちが思っている以上に多くの筋肉が参加しています。

これらの筋肉群が協働して、
初めて目的とする動きができるわけですね。

詳しい話は、
私のホームページのブログ
筋肉は共同で働く」をご覧ください。

最後に

今回もややこしい話になりましたが、
逆にここが面白いところでもあります
(理学療法士としては・・・かな?)。
みなさまはいかがでしょうか?

筋トレを行っていく際には、
多くのことを知っておくことが
トレーニング効果を上げるために必要ではないかと
改めて思います。

次回、
もう少し筋肉の協働作業、固定筋の役割について
書こうと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ではまた次回に。


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