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あれから1年

おはよう。
こちらは10月に入って急に涼しくなって、今朝は半袖では肌寒いぐらいの気温でしたよ。そろそろママのベッドの上で、兄さんと猫文字を描いてくれる季節ですね。

1年前の今日、君の魂は旅立っていきました。呼吸が止まると同時に涙が溢れて光を失う君の眼が今でも目にやきついています。

食道に癌が見つかり、君の命の終わりがこのままでは2-3ヶ月後と知らされた3月。この後だんだんと食べ物が喉を通らなくなるか、腫瘍に気道が圧迫されて呼吸ができなくなるかのどちらかと説明を受けました。宣告を受けた時の君は食欲も元気もいっぱい、どこか悪いところがあるようには見えませんでした。

寛解は望めなくても、少しでも長い間この時間を引き伸ばして、君が猫らしく最後まで生きられるように。そう考えて出した結論が毎日の投薬と注射でした。

そこから5ヶ月は変わらず元気で、10歳の誕生日も超えて、もしかしたらこのまま次の誕生日も迎えられるのかも、って一瞬夢を見た。でもその1ヶ月後ぐらいからお薬を急に嫌がるようになって、同じ頃から先生に言われていた通り食べ物がどんどん喉を通らなくなっていきました。

薬も喉を通らないから飲ませるのはやめて、代わりに注射が増えて、それでも君は相変わらずごはんが大好きで、食べるんだけど喉を通らないから吐くしかなくて、お腹は空いているからまた食べて、また吐いて、君の通り道の床をペットシーツに覆っているのにわざわざ外して吐いて、毎日水拭きするからおかげで床がずいぶんきれいになりました。窒息じゃなくてよかったと思った。

旅立ちの2日前に突然食べるのをやめたのは、君が自分で命の終わりを決めたのかな。

「知らなかったらごはんを食べられなくなっていくのをオロオロしながら見ているしかなかった。それを思えば、原因がわかってできる限りのことをして見送れたことに後悔は無い」と人には言ってきたけれど、でも実際は何もしなければ2-3ヶ月後だった終わりが7ヶ月後になっただけ。猫の時間は人間よりも早く流れているといっても、それでも人間換算で1年ちょっとの延命。それが君にとって良かったのか悪かったのか、今でも私には分かりません。

人間なら命の終わりが見えていますと言われてから1年のボーナスタイムができたら、あれをやろう、これをやろうと考えるのかもしれないけど、猫にとっては、その前も、その後も、同じ時間が流れているだけなのでしょう。その時間が幸せであれば幸せな時間が伸びて、辛ければ辛い時間が伸びる、ただそれだけ。

嫌いな薬と注射をがんばった代償は、苦しむ時間を先送りにして今までと同じ時間で埋めることでしかない。君は旅立ちを決めた時、「がんばって良かったにゃあ」と思っていたのでしょうか。それとも「割に合わなかったにゃあ」と思っていたのでしょうか。

私は頑張ってくれてありがとうと思っていたよ。今も思ってる。


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